ワコム Research Memo(3):ブランド製品事業はディスプレイ製品が順調ながらそれ以外の製品での苦戦が目立つ
[19/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
2. ブランド製品事業の動向
ワコム<6727>の2020年3月期第2四半期のブランド製品事業は、売上高19,329百万円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失170百万円(前年同期は532百万円のセグメント利益)となった。
中核のクリエイティブビジネスの売上高は、前年同期比1.8%減の16,684百万円となった。その製品カテゴリー別内訳として、ディスプレイ製品が同30.0%増の8,212百万円となる一方、ペンタブレット製品が同12.9%減の8,090百万円、モバイル製品が同72.2%減の382百万円となり、製品カテゴリー間で対照的な動きとなった。特に売上構成比においてディスプレイ製品がペンタブレット製品を上回ったことは、消費者ニーズのメインストリームの変化を象徴する動きとして意義深いものがあると弊社では考えている。
ディスプレイ製品は2019年1月に発表した16インチサイズのエントリーモデルがフルに寄与したほか、7月に発売した22インチサイズのシリーズも順調に売上を伸ばして増収に寄与した。
ペンタブレット製品はプロ向けモデルが発売から3年が経過したこともあって売上が減速したほか、中低価格帯モデルは競争環境の変化によってやはり減収となった。“競争環境の変化”には、他社の低価格品との競合激化という側面と、黒板のようなペンタブレット製品(それゆえ“板タブ”と称されることもある)よりも液晶画面上に直接入力できるディスプレイ製品に需要がシフトすることの大きく2つの動きがあるが、後者の影響が大きかったと弊社では推測している。
(プロユースが中心の)モバイル製品は、既存製品が製品のライフサイクル後期に入ったことが大幅減収の直接の要因だが、一方で、次世代の5G技術を中心とする通信環境の大きな変化がプロのユースケースに新たな機会を提供する可能性があり、その点を踏まえた製品戦略の再構築に重心をシフトさせる考えもあるようで、新製品投入については限定的に進めていることも減収幅の拡大につながった。
コンシューマビジネスの売上高は前年同期比41.4%減の691百万円となった。マイクロソフト社との共同開発によるウインドウズ・インク対応スタイラスペンの新製品を2019年6月にリリースしたが、売上高は引き続き低調に推移した。
ビジネスソリューションの売上高は前年同期比21.8%減の1,954百万円となった。前期に米国大幅増収の牽引役だった金融機関向け液晶サインタブレットの大型案件獲得があったが、2020年3月期第2四半期は市場動向や競争環境変化の影響などで、米国を始め、欧州、アジアと全般に減収となり、日本の増収で吸収しきれなかった。
利益面ではセグメント損失へと転落した。2020年3月期第2四半期は米国が対中追加関税措置を実施した結果、中国で生産をする同社製品もその直接的な影響を受け、課税影響額は約4億円に達した。また為替相場の対ユーロ、対アジア通貨の円高により、円高影響額が総額で約4億円に達した。これら約8億円の減益要因が発生したことでセグメント損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
2. ブランド製品事業の動向
ワコム<6727>の2020年3月期第2四半期のブランド製品事業は、売上高19,329百万円(前年同期比6.4%減)、セグメント損失170百万円(前年同期は532百万円のセグメント利益)となった。
中核のクリエイティブビジネスの売上高は、前年同期比1.8%減の16,684百万円となった。その製品カテゴリー別内訳として、ディスプレイ製品が同30.0%増の8,212百万円となる一方、ペンタブレット製品が同12.9%減の8,090百万円、モバイル製品が同72.2%減の382百万円となり、製品カテゴリー間で対照的な動きとなった。特に売上構成比においてディスプレイ製品がペンタブレット製品を上回ったことは、消費者ニーズのメインストリームの変化を象徴する動きとして意義深いものがあると弊社では考えている。
ディスプレイ製品は2019年1月に発表した16インチサイズのエントリーモデルがフルに寄与したほか、7月に発売した22インチサイズのシリーズも順調に売上を伸ばして増収に寄与した。
ペンタブレット製品はプロ向けモデルが発売から3年が経過したこともあって売上が減速したほか、中低価格帯モデルは競争環境の変化によってやはり減収となった。“競争環境の変化”には、他社の低価格品との競合激化という側面と、黒板のようなペンタブレット製品(それゆえ“板タブ”と称されることもある)よりも液晶画面上に直接入力できるディスプレイ製品に需要がシフトすることの大きく2つの動きがあるが、後者の影響が大きかったと弊社では推測している。
(プロユースが中心の)モバイル製品は、既存製品が製品のライフサイクル後期に入ったことが大幅減収の直接の要因だが、一方で、次世代の5G技術を中心とする通信環境の大きな変化がプロのユースケースに新たな機会を提供する可能性があり、その点を踏まえた製品戦略の再構築に重心をシフトさせる考えもあるようで、新製品投入については限定的に進めていることも減収幅の拡大につながった。
コンシューマビジネスの売上高は前年同期比41.4%減の691百万円となった。マイクロソフト社との共同開発によるウインドウズ・インク対応スタイラスペンの新製品を2019年6月にリリースしたが、売上高は引き続き低調に推移した。
ビジネスソリューションの売上高は前年同期比21.8%減の1,954百万円となった。前期に米国大幅増収の牽引役だった金融機関向け液晶サインタブレットの大型案件獲得があったが、2020年3月期第2四半期は市場動向や競争環境変化の影響などで、米国を始め、欧州、アジアと全般に減収となり、日本の増収で吸収しきれなかった。
利益面ではセグメント損失へと転落した。2020年3月期第2四半期は米国が対中追加関税措置を実施した結果、中国で生産をする同社製品もその直接的な影響を受け、課税影響額は約4億円に達した。また為替相場の対ユーロ、対アジア通貨の円高により、円高影響額が総額で約4億円に達した。これら約8億円の減益要因が発生したことでセグメント損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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