BS11 Research Memo(1):業界環境の変化を乗り越え、増収増益トレンドへの回帰を目指す
[19/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
日本BS放送<9414>は無料のBSデジタルハイビジョン放送「BS11(ビーエス・イレブン)を運営する独立系BS放送局。BS放送は地上波放送と比較して、放送衛星を介して全国の4,300万世帯超の視聴者に全時間帯に同一放送を提供できるという特長がある。同社はこの特長と独立系としての強みを生かして高収益体質を実現している。
1. BS放送業界を取り巻く事業環境変化の影響により前期比減益で着地
同社の2019年8月期連結業績は、売上高12,601百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,693百万円(同30.2%減)と増収減益となった。一方、中核の放送事業から成る個別業績は売上高11,792百万円(前期比1.8%減)、営業利益1,612百万円(同33.3%減)と減収減益での着地となった。同社を含めたBS放送業界全般にわたりテレビ通販の縮小や広告媒体多様化による業界環境の変化が起こっており、同社もその影響を免れず売上高が伸び悩んだ。費用面では従来同様、効率的な費用の仕様に努めたものの、良質な番組作りのために戦略的に番組関連費用を増加させたこともあり、営業利益は前期比大幅減益となった。
2. 「ターゲットの明確化」と「オリジナリティ」の2つの理念で“売れる”番組作りを強化
同社は先行するキー局系BS放送各社と肩を並べることになる売上高150億円の達成を中期経営目標に掲げて取り組んできた。これまでの経過を反映し、達成時期を2022年8月期へと修正したが、その実現に向けた意欲は不変だ。根幹となる番組作りでは、「ターゲットの明確化」と「オリジナリティ」を理念として打ち出し、その理念に基づいた質の高い番組の実現に向けた基本戦略「4つの力」を策定した。また、そうした番組を業績成長に着実に結びつけるための重点施策「Value 7」も打ち出した。これらは従来の「4つの“力”」と「5本の矢」の修正という位置づけだが、従来よりも一段と緻密さが増したことや、大元の番組づくりの理念として(番組の)“収益化”の意識を前面に打ち出した点で、質的に大きく変化してきていると弊社では評価している。
3. 従来顧客の回復と新規顧客獲得により、増収増益トレンドへの回帰を目指す
2020年8月期の個別業績について同社は、売上高12,300百万円(前期比4.3%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%増)と増収増益を予想している。最大のポイントである売上高の増収トレンドへの回帰について同社は、他媒体にシフトしたショッピング事業者の回復と新規顧客の獲得により増収を計画している。弊社では同社の増収増益計画には一定の説得力があり、特に新規顧客の獲得については十分ポテンシャルがあると見ている。潜在顧客となる事業者数が多いことに加えて、同社の認知度が十分でない分だけ改善余地が大きく、それが新規顧客獲得における伸びしろになると期待されるためだ。注意すべきポイントは東京オリンピック・パラリンピックの影響だ。これはBS普及率上昇による媒体価値向上や主にショッピング事業者による放送枠需要増といったプラス面と、オリンピック・パラリンピック関連への広告出稿の偏重といったマイナス影響の両方が考えられるが、現時点では想定が非常に難しく、今後の推移を注意深く見守りたい。
■Key Points
・これまでの進捗状況を踏まえて中期経営計画目標の達成時期や基本戦略の一部を見直し
・今後はスポンサー獲得に向けて“売れる”要素を加えた番組作りに取り組む
・ビックカメラ<3048>とのグループシナジー追求の取り組みを強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
日本BS放送<9414>は無料のBSデジタルハイビジョン放送「BS11(ビーエス・イレブン)を運営する独立系BS放送局。BS放送は地上波放送と比較して、放送衛星を介して全国の4,300万世帯超の視聴者に全時間帯に同一放送を提供できるという特長がある。同社はこの特長と独立系としての強みを生かして高収益体質を実現している。
1. BS放送業界を取り巻く事業環境変化の影響により前期比減益で着地
同社の2019年8月期連結業績は、売上高12,601百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,693百万円(同30.2%減)と増収減益となった。一方、中核の放送事業から成る個別業績は売上高11,792百万円(前期比1.8%減)、営業利益1,612百万円(同33.3%減)と減収減益での着地となった。同社を含めたBS放送業界全般にわたりテレビ通販の縮小や広告媒体多様化による業界環境の変化が起こっており、同社もその影響を免れず売上高が伸び悩んだ。費用面では従来同様、効率的な費用の仕様に努めたものの、良質な番組作りのために戦略的に番組関連費用を増加させたこともあり、営業利益は前期比大幅減益となった。
2. 「ターゲットの明確化」と「オリジナリティ」の2つの理念で“売れる”番組作りを強化
同社は先行するキー局系BS放送各社と肩を並べることになる売上高150億円の達成を中期経営目標に掲げて取り組んできた。これまでの経過を反映し、達成時期を2022年8月期へと修正したが、その実現に向けた意欲は不変だ。根幹となる番組作りでは、「ターゲットの明確化」と「オリジナリティ」を理念として打ち出し、その理念に基づいた質の高い番組の実現に向けた基本戦略「4つの力」を策定した。また、そうした番組を業績成長に着実に結びつけるための重点施策「Value 7」も打ち出した。これらは従来の「4つの“力”」と「5本の矢」の修正という位置づけだが、従来よりも一段と緻密さが増したことや、大元の番組づくりの理念として(番組の)“収益化”の意識を前面に打ち出した点で、質的に大きく変化してきていると弊社では評価している。
3. 従来顧客の回復と新規顧客獲得により、増収増益トレンドへの回帰を目指す
2020年8月期の個別業績について同社は、売上高12,300百万円(前期比4.3%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%増)と増収増益を予想している。最大のポイントである売上高の増収トレンドへの回帰について同社は、他媒体にシフトしたショッピング事業者の回復と新規顧客の獲得により増収を計画している。弊社では同社の増収増益計画には一定の説得力があり、特に新規顧客の獲得については十分ポテンシャルがあると見ている。潜在顧客となる事業者数が多いことに加えて、同社の認知度が十分でない分だけ改善余地が大きく、それが新規顧客獲得における伸びしろになると期待されるためだ。注意すべきポイントは東京オリンピック・パラリンピックの影響だ。これはBS普及率上昇による媒体価値向上や主にショッピング事業者による放送枠需要増といったプラス面と、オリンピック・パラリンピック関連への広告出稿の偏重といったマイナス影響の両方が考えられるが、現時点では想定が非常に難しく、今後の推移を注意深く見守りたい。
■Key Points
・これまでの進捗状況を踏まえて中期経営計画目標の達成時期や基本戦略の一部を見直し
・今後はスポンサー獲得に向けて“売れる”要素を加えた番組作りに取り組む
・ビックカメラ<3048>とのグループシナジー追求の取り組みを強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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