BS11 Research Memo(2):テレビ通販や業界環境の変化の影響で前期比大幅減益で着地
[19/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
● 2019年8月期決算の概要
日本BS放送<9414>の2019年8月期の連結業績は、売上高12,601百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,693百万円(同30.2%減)、経常利益1,698百万円(同30.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,158百万円(同30.2%減)と、微増収ながら大幅減益となった。同社は2019年9月30日付で通期見通しの下方修正を発表しており、その線での着地となった。期初予想との比較では、売上高は10.0%、営業利益以下の各利益は約15%〜17%、それぞれ未達となった。
同社は創業以来放送事業に特化し、非連結決算を行ってきたが、2018年1月に児童書出版社2社を子会社化し、2018年8月期第2四半期から連結決算に移行した。放送事業の業績は個別決算として公表されており、これは非連結決算時代から継続性が維持されている。
一方、2子会社による出版事業の業績は連結決算と個別決算の差額として読み取ることができる。これによると2019年8月期の出版事業の業績は、売上高809百万円、営業利益82百万円となり、これらの数値はいずれも当初計画を大きく上回るものとなった。期中に出版した新刊書が予想を上回るヒットとなったことが奏功した。
中核の放送事業から成る個別業績は、売上高11,792百万円(前期比1.8%減)、営業利益1,612百万円(同33.3%減)、経常利益1,621百万円(同33.0%減)、当期純利益1,093百万円(同34.5%減)と減収減益となった。連結決算同様、決算発表の直前の下方修正に沿った線での着地となった。
過去の流れを振り返ると、同社は上期(第2四半期累計期間)決算において前年同期比較では減収減益となったものの、期初予想との比較では売上高は未達ながら利益は期初予想を超過達成した。この上期の売上高の減収要因について、同社は下期には改善されるという見通しで臨んだが、現実には下期も上期同様の事業環境が続き、下期の売上高は前年同期比減収となった。こうしたなか同社は、上期同様に経費の効率的な使用に努めたものの良質な番組作りに向けた戦略的な費用投下もあり、下期は利益面でも計画を大幅に下回り、通期ベースでの下方修正につながった。
(1) 売上高の状況
2019年8月期の業績悪化を招いた直接かつ最大の要因は、ショッピング(テレビ通販)業界からの広告収入の縮小だ。これは同社に特有の現象ではなく、BS放送業界全般にわたるものだ。それゆえ深刻な問題という見方もできる。背景にあるのは広告媒体の多様化だ。より具体的には、(地上波も含めた)TV広告からインターネット広告へのシフトの動きだ。この結果として売上高の伸びが止まったことが2019年8月期決算のすべてと言っても過言ではないだろう。
タイム収入は前期比では1.0%減と微減にとどまったが、計画対比では9.7%の未達となった。良質な自社制作番組強化が奏功し、番組提供クライアントの販売単価は堅調に推移したものの、現状の収益の柱であるテレビ通販の分野での広告収入の減少の影響を補うには至らなかった。
スポット収入は前期比5.8%減、計画比17.6%減となった。効果的な広告宣伝の実施によって媒体価値の向上を図り、新規クライアントの獲得に努めたが、テレビ通販業界の環境変化に伴う売上高の減少をカバーしきれず、減収となった。
その他収入は前期比10.0%増収となったが計画比では32.8%の未達となった。アニメ制作委員会への出資に伴う配当金収入やコンテンツ販売収入の増加で前期比増収を確保したが、期初の計画がかなり高い水準だったこともあり、計画対比では未達となった。
(2) 費用の状況
同社はかねてより費用コントロールでは高い実績を示しており、当上期において売上高が期初予想を下回るなかで営業利益以下の各利益項目については期初予想を超過達成したのは前述のとおりだ。当下期も同社は費用の効率的な使用に努めたが、一方で、成長戦略の重要な要素である良質な自社制作コンテンツの強化の一環で番組内容の一層の充実に取り組んだ。その結果として売上原価の中の番組制作費が前期比11.0%増、番組購入費が同7.4%増となり、両者を合わせた番組関連費用は同10.3%増となった。
また販管費においては、やはり成長戦略の一環として番組宣伝の強化や自社の認知度向上に取り組み、その結果として広告宣伝費が前期比14.0%増となり、販管費全体を押し上げることとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
● 2019年8月期決算の概要
日本BS放送<9414>の2019年8月期の連結業績は、売上高12,601百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,693百万円(同30.2%減)、経常利益1,698百万円(同30.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,158百万円(同30.2%減)と、微増収ながら大幅減益となった。同社は2019年9月30日付で通期見通しの下方修正を発表しており、その線での着地となった。期初予想との比較では、売上高は10.0%、営業利益以下の各利益は約15%〜17%、それぞれ未達となった。
同社は創業以来放送事業に特化し、非連結決算を行ってきたが、2018年1月に児童書出版社2社を子会社化し、2018年8月期第2四半期から連結決算に移行した。放送事業の業績は個別決算として公表されており、これは非連結決算時代から継続性が維持されている。
一方、2子会社による出版事業の業績は連結決算と個別決算の差額として読み取ることができる。これによると2019年8月期の出版事業の業績は、売上高809百万円、営業利益82百万円となり、これらの数値はいずれも当初計画を大きく上回るものとなった。期中に出版した新刊書が予想を上回るヒットとなったことが奏功した。
中核の放送事業から成る個別業績は、売上高11,792百万円(前期比1.8%減)、営業利益1,612百万円(同33.3%減)、経常利益1,621百万円(同33.0%減)、当期純利益1,093百万円(同34.5%減)と減収減益となった。連結決算同様、決算発表の直前の下方修正に沿った線での着地となった。
過去の流れを振り返ると、同社は上期(第2四半期累計期間)決算において前年同期比較では減収減益となったものの、期初予想との比較では売上高は未達ながら利益は期初予想を超過達成した。この上期の売上高の減収要因について、同社は下期には改善されるという見通しで臨んだが、現実には下期も上期同様の事業環境が続き、下期の売上高は前年同期比減収となった。こうしたなか同社は、上期同様に経費の効率的な使用に努めたものの良質な番組作りに向けた戦略的な費用投下もあり、下期は利益面でも計画を大幅に下回り、通期ベースでの下方修正につながった。
(1) 売上高の状況
2019年8月期の業績悪化を招いた直接かつ最大の要因は、ショッピング(テレビ通販)業界からの広告収入の縮小だ。これは同社に特有の現象ではなく、BS放送業界全般にわたるものだ。それゆえ深刻な問題という見方もできる。背景にあるのは広告媒体の多様化だ。より具体的には、(地上波も含めた)TV広告からインターネット広告へのシフトの動きだ。この結果として売上高の伸びが止まったことが2019年8月期決算のすべてと言っても過言ではないだろう。
タイム収入は前期比では1.0%減と微減にとどまったが、計画対比では9.7%の未達となった。良質な自社制作番組強化が奏功し、番組提供クライアントの販売単価は堅調に推移したものの、現状の収益の柱であるテレビ通販の分野での広告収入の減少の影響を補うには至らなかった。
スポット収入は前期比5.8%減、計画比17.6%減となった。効果的な広告宣伝の実施によって媒体価値の向上を図り、新規クライアントの獲得に努めたが、テレビ通販業界の環境変化に伴う売上高の減少をカバーしきれず、減収となった。
その他収入は前期比10.0%増収となったが計画比では32.8%の未達となった。アニメ制作委員会への出資に伴う配当金収入やコンテンツ販売収入の増加で前期比増収を確保したが、期初の計画がかなり高い水準だったこともあり、計画対比では未達となった。
(2) 費用の状況
同社はかねてより費用コントロールでは高い実績を示しており、当上期において売上高が期初予想を下回るなかで営業利益以下の各利益項目については期初予想を超過達成したのは前述のとおりだ。当下期も同社は費用の効率的な使用に努めたが、一方で、成長戦略の重要な要素である良質な自社制作コンテンツの強化の一環で番組内容の一層の充実に取り組んだ。その結果として売上原価の中の番組制作費が前期比11.0%増、番組購入費が同7.4%増となり、両者を合わせた番組関連費用は同10.3%増となった。
また販管費においては、やはり成長戦略の一環として番組宣伝の強化や自社の認知度向上に取り組み、その結果として広告宣伝費が前期比14.0%増となり、販管費全体を押し上げることとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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