BS11 Research Memo(4):インターネット広告にシフトした事業者の呼び戻しと新規顧客獲得に取り組む
[19/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期成長に向けた取り組み
2. 事業環境の変化とそれへの対応
現在の日本BS放送<9414>が直面する最大の問題は、事業環境の変化だ。
電通<4324>が毎年公表している「日本の広告費」によれば、2018年(暦年)の衛星メディア関連(BS、CS、CATV)の広告費は1,275億円で、前年の1,300億円から1.9%減少した。同社が属するBS放送は衛星メディア関連市場の70%強を占めている。BS放送市場は2000年12月にBSデジタル放送がスタートしたことで本格的に立ち上がり、黎明期の2001年−2003年を除くと順調に右肩上がりで成長が続いてきた。2018年の前期比減少は、実質的には初のマイナス成長と言って良く、大きな曲がり角を迎えたことは疑いない。
こうした業界環境の変化を同社の業績に落とし込んだとき、最も大きな問題となっているのが業績動向の項で述べたショッピング(テレビ通販)事業者からの広告出稿量の減少だ。これは当通期決算期よりも前の2019年8月期上期決算でクローズアップされた。さらに言えば2018年8月期決算においてもショッピング事業者のこうした動きは顕在化していた。当時はショッピング事業者によるインターネット広告へのシフトの動きを“一時的な現象”という見方も可能な状況ではあったが、それ以降現在までインターネットシフトが継続している以上、これを“構造的な動き”と認識し、それに適応した対策をとる必要があると弊社では考えている。
この点について同社は、大きく2つの方向からのアプローチに取り組んでいる。1つはインターネット広告にシフトしたショッピング事業者の回復(呼び戻し)であり、もう1つは新規顧客の開拓だ。
インターネットから同社への顧客呼び戻しにおいては、そもそもなぜ顧客がインターネットへのシフトを決断したかを考えることが重要と言える。考えられるのは、BS放送の視聴者層とは異なる新たな顧客層(最終消費者)への広告展開や、広告の効果測定などだ。当然ながら、同社自身もショッピング事業者の出稿の動向について分析作業や対応策の検討作業などを進めてきており、第1弾としては新規コンテンツを投入して従来とは異なる視聴者層を開拓し、ショッピング事業者による同社への出稿再開を積極的に働きかけていく方針だ。
新規顧客の開拓については、同社、あるいは衛星メディア自体を広告媒体として利用した経験がないショッピング事業者がそのターゲットとなる。一部のショッピング事業者がインターネットへシフトしたことで、そうした新規事業者にとって魅力的な広告枠が空いた状況にあり、この点は新規顧客の獲得に大きなプラスになると期待される。同社は自社の知名度が十分には高くはないと認識しており、自社の認知度を高める取り組みも同時並行で進めながら新規顧客の獲得を進めていくと見られる。認知度の向上と売上高(広告収入)の拡大には高い相関性があることは、これまでも当レポートで繰り返し取り上げてきたが、新規顧客に対してはそうした経験則が効果を発揮し、増収トレンドへの下期に大きく貢献すると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
2. 事業環境の変化とそれへの対応
現在の日本BS放送<9414>が直面する最大の問題は、事業環境の変化だ。
電通<4324>が毎年公表している「日本の広告費」によれば、2018年(暦年)の衛星メディア関連(BS、CS、CATV)の広告費は1,275億円で、前年の1,300億円から1.9%減少した。同社が属するBS放送は衛星メディア関連市場の70%強を占めている。BS放送市場は2000年12月にBSデジタル放送がスタートしたことで本格的に立ち上がり、黎明期の2001年−2003年を除くと順調に右肩上がりで成長が続いてきた。2018年の前期比減少は、実質的には初のマイナス成長と言って良く、大きな曲がり角を迎えたことは疑いない。
こうした業界環境の変化を同社の業績に落とし込んだとき、最も大きな問題となっているのが業績動向の項で述べたショッピング(テレビ通販)事業者からの広告出稿量の減少だ。これは当通期決算期よりも前の2019年8月期上期決算でクローズアップされた。さらに言えば2018年8月期決算においてもショッピング事業者のこうした動きは顕在化していた。当時はショッピング事業者によるインターネット広告へのシフトの動きを“一時的な現象”という見方も可能な状況ではあったが、それ以降現在までインターネットシフトが継続している以上、これを“構造的な動き”と認識し、それに適応した対策をとる必要があると弊社では考えている。
この点について同社は、大きく2つの方向からのアプローチに取り組んでいる。1つはインターネット広告にシフトしたショッピング事業者の回復(呼び戻し)であり、もう1つは新規顧客の開拓だ。
インターネットから同社への顧客呼び戻しにおいては、そもそもなぜ顧客がインターネットへのシフトを決断したかを考えることが重要と言える。考えられるのは、BS放送の視聴者層とは異なる新たな顧客層(最終消費者)への広告展開や、広告の効果測定などだ。当然ながら、同社自身もショッピング事業者の出稿の動向について分析作業や対応策の検討作業などを進めてきており、第1弾としては新規コンテンツを投入して従来とは異なる視聴者層を開拓し、ショッピング事業者による同社への出稿再開を積極的に働きかけていく方針だ。
新規顧客の開拓については、同社、あるいは衛星メディア自体を広告媒体として利用した経験がないショッピング事業者がそのターゲットとなる。一部のショッピング事業者がインターネットへシフトしたことで、そうした新規事業者にとって魅力的な広告枠が空いた状況にあり、この点は新規顧客の獲得に大きなプラスになると期待される。同社は自社の知名度が十分には高くはないと認識しており、自社の認知度を高める取り組みも同時並行で進めながら新規顧客の獲得を進めていくと見られる。認知度の向上と売上高(広告収入)の拡大には高い相関性があることは、これまでも当レポートで繰り返し取り上げてきたが、新規顧客に対してはそうした経験則が効果を発揮し、増収トレンドへの下期に大きく貢献すると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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