BS11 Research Memo(6):新規顧客獲得や既存顧客の回復に向けた施策により、増収増益トレンドへの回帰予想
[19/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
● 2020年8月期通期見通し
日本BS放送<9414>は2020年8月期の連結業績について、売上高13,000百万円(前期比3.2%増)、営業利益2,010百万円(同18.7%増)、経常利益2,010百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,380百万円(同19.1%増)と増収増益を予想している。
また、個別業績については、売上高12,300百万円(前期比4.3%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%増)、経常利益2,000百万円(同23.3%増)、当期純利益1,380百万円(同26.2%増)を予想している。
前述のように、連単差の分が子会社(出版社2社)の業績に相当し、その金額は売上高700百万円、営業利益10百万円となっている。2019年8月期は新刊書のヒットにより収益が想定以上に拡大したが、2020年8月期はそうした要因を織り込まず通常の水準の収益を織り込んだと見られる。
主力の放送事業、すなわち個別業績については、売上高において前期比4.3%(508百万円)の増収を見込んでいる点がまず注目される。2019年8月期決算ではショッピング事業者の広告出稿量減少が売上高の前期比減収、ひいては利益の大幅減益へとつながった。2020年8月期についてはこの点に関し、一度離れたショッピング事業者の呼び戻しと新規のショッピング事業者の顧客化により増収増益基調への回帰を目指す方針だ。
その実現に向けた具体的な施策としては、まず、新規コンテンツの導入がある。これはショッピング事業者がスポンサーとなっていた韓流ドラマの枠の一部を新規コンテンツに入れ替えることで新たな視聴者層の開拓を図り、媒体価値を高めて一旦離れたショッピング事業者を呼び戻すことを狙ったものだ。また新規顧客の獲得に当たっては、既存顧客の一時的な離脱で空いた出稿枠・時間帯をオファーすることや、そもそもの同社の認知度やBS放送の媒体価値についての認知度などの向上に努め、顧客化につなげる方針だ。
一方、費用・利益面については、従来同様、費用の効率的な使用を継続し、利益率の拡大を図る方針だ。前述のように2019年8月期は成長戦略の一環として戦略的に番組制作費を拡大させたが、2020年8月期はこの点についても効率的な費用投下の網をかぶせてくると見られる。
こうした売上高の拡大と費用抑制の両方向からのアプローチの結果として、個別業績の営業利益は前期比24.0%増の2,000百万円を計画している。営業利益率は16.3%となる。
弊社では、こうした2020年8月期の同社の業績予想について、一定の説得力はあり、その結果として業績予想が達成される可能性は十分あると考えている。弊社が特に期待を寄せるのは新規のショッピング事業者の顧客化だ。ショッピング事業者の多くは業界団体である公益社団法人日本通信販売協会(Japan Direct Marketing Association、通称「ジャドマ」)のメンバーになっていると見られるが、そのジャドマの会員数は正会員だけでも456社(2019年10月4日現在)に達している。同社のショッピング事業者の顧客はこれらの一部事業者で、また顔ぶれも固定化していた。一部の既存顧客の離脱で空いたスペースを埋めるべく同社は営業を強化しているが、魅力度の高い広告枠を提供できるため、新規顧客開拓の可能性は非常に大きいと弊社では見ている。
離脱した既存顧客を回復するための施策については、“新規コンテンツ”の内容によるところが大きい。その内容が明らかにされていない現状では判断が難しいが、視聴者層ががらりと一変するようなインパクトがあれば、離脱した顧客を呼び戻す効果が期待できるものと弊社では考えている。
2020年8月期に特有の、業績を見るうえで考慮すべきポイントとして、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)がある。これは同社の業績に対してプラス、マイナス両方向に働く可能性があるが、それぞれの中身は以下の様なものだ。プラスのシナリオは、東京五輪によるBS放送普及率の上昇とそれに伴う媒体価値の向上だ。媒体価値の向上は広告出稿量の増加、単価上昇といった形で収益押し上げ要因になる。また、五輪競技の放送時には番組編成が大幅に変更されるため、放送枠を求める広告主(主にショッピング事業者)が同社に出稿する可能性も少なくない。一方、マイナスのシナリオは、広告主の出稿先が五輪関連に集中するケースだ。その場合、五輪競技の放送権を有する放送機構ジャパンコンソーシアムに加入していない同社は五輪出場選手に関係する番組は有していても五輪競技自体の中継・放送番組を有しないため、広告出稿量の減少という逆風にさらされる可能性がある。現時点では、プラス、マイナスどちらの効果・影響が出るのか予想することは難しい。五輪開催期間は2020年8月期下期に該当するため、上期決算の時点で改めて五輪から予想される影響について確認したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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● 2020年8月期通期見通し
日本BS放送<9414>は2020年8月期の連結業績について、売上高13,000百万円(前期比3.2%増)、営業利益2,010百万円(同18.7%増)、経常利益2,010百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,380百万円(同19.1%増)と増収増益を予想している。
また、個別業績については、売上高12,300百万円(前期比4.3%増)、営業利益2,000百万円(同24.0%増)、経常利益2,000百万円(同23.3%増)、当期純利益1,380百万円(同26.2%増)を予想している。
前述のように、連単差の分が子会社(出版社2社)の業績に相当し、その金額は売上高700百万円、営業利益10百万円となっている。2019年8月期は新刊書のヒットにより収益が想定以上に拡大したが、2020年8月期はそうした要因を織り込まず通常の水準の収益を織り込んだと見られる。
主力の放送事業、すなわち個別業績については、売上高において前期比4.3%(508百万円)の増収を見込んでいる点がまず注目される。2019年8月期決算ではショッピング事業者の広告出稿量減少が売上高の前期比減収、ひいては利益の大幅減益へとつながった。2020年8月期についてはこの点に関し、一度離れたショッピング事業者の呼び戻しと新規のショッピング事業者の顧客化により増収増益基調への回帰を目指す方針だ。
その実現に向けた具体的な施策としては、まず、新規コンテンツの導入がある。これはショッピング事業者がスポンサーとなっていた韓流ドラマの枠の一部を新規コンテンツに入れ替えることで新たな視聴者層の開拓を図り、媒体価値を高めて一旦離れたショッピング事業者を呼び戻すことを狙ったものだ。また新規顧客の獲得に当たっては、既存顧客の一時的な離脱で空いた出稿枠・時間帯をオファーすることや、そもそもの同社の認知度やBS放送の媒体価値についての認知度などの向上に努め、顧客化につなげる方針だ。
一方、費用・利益面については、従来同様、費用の効率的な使用を継続し、利益率の拡大を図る方針だ。前述のように2019年8月期は成長戦略の一環として戦略的に番組制作費を拡大させたが、2020年8月期はこの点についても効率的な費用投下の網をかぶせてくると見られる。
こうした売上高の拡大と費用抑制の両方向からのアプローチの結果として、個別業績の営業利益は前期比24.0%増の2,000百万円を計画している。営業利益率は16.3%となる。
弊社では、こうした2020年8月期の同社の業績予想について、一定の説得力はあり、その結果として業績予想が達成される可能性は十分あると考えている。弊社が特に期待を寄せるのは新規のショッピング事業者の顧客化だ。ショッピング事業者の多くは業界団体である公益社団法人日本通信販売協会(Japan Direct Marketing Association、通称「ジャドマ」)のメンバーになっていると見られるが、そのジャドマの会員数は正会員だけでも456社(2019年10月4日現在)に達している。同社のショッピング事業者の顧客はこれらの一部事業者で、また顔ぶれも固定化していた。一部の既存顧客の離脱で空いたスペースを埋めるべく同社は営業を強化しているが、魅力度の高い広告枠を提供できるため、新規顧客開拓の可能性は非常に大きいと弊社では見ている。
離脱した既存顧客を回復するための施策については、“新規コンテンツ”の内容によるところが大きい。その内容が明らかにされていない現状では判断が難しいが、視聴者層ががらりと一変するようなインパクトがあれば、離脱した顧客を呼び戻す効果が期待できるものと弊社では考えている。
2020年8月期に特有の、業績を見るうえで考慮すべきポイントとして、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)がある。これは同社の業績に対してプラス、マイナス両方向に働く可能性があるが、それぞれの中身は以下の様なものだ。プラスのシナリオは、東京五輪によるBS放送普及率の上昇とそれに伴う媒体価値の向上だ。媒体価値の向上は広告出稿量の増加、単価上昇といった形で収益押し上げ要因になる。また、五輪競技の放送時には番組編成が大幅に変更されるため、放送枠を求める広告主(主にショッピング事業者)が同社に出稿する可能性も少なくない。一方、マイナスのシナリオは、広告主の出稿先が五輪関連に集中するケースだ。その場合、五輪競技の放送権を有する放送機構ジャパンコンソーシアムに加入していない同社は五輪出場選手に関係する番組は有していても五輪競技自体の中継・放送番組を有しないため、広告出稿量の減少という逆風にさらされる可能性がある。現時点では、プラス、マイナスどちらの効果・影響が出るのか予想することは難しい。五輪開催期間は2020年8月期下期に該当するため、上期決算の時点で改めて五輪から予想される影響について確認したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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