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セグエ Research Memo(7):ネットワークセキュリティの新たなリーディングカンパニーを目指す(2)

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

2. セグエグループ<3968>の成長戦略
日本ネットワークセキュリティ協会の「国内情報セキュリティ市場2018年度調査報告」によると、情報セキュリティツールと情報セキュリティサービスを合計した国内情報セキュリティ市場は毎年拡大を続け、2019年度予測値で1兆1,770億円(前年度比4.5%増)に達する見通しである。また、これまで国内セキュリティ市場の成長率は世界市場の成長率を下回っていたが、今後は我が国でもセキュリティ対策が重要になり、世界市場の成長率に近づくと予想される。こうした市場環境下、同社グループの売上高は、2012年度から2018年度まで年平均16.4%で成長を続けているが、今後も自社製品の拡大や海外メーカーとの良好な関係による製品輸入の拡大等を背景に、市場成長率を上回る成長を続けると見られる。

国内情報セキュリティ市場が拡大する見通しのなか、同社グループでは、サービス高度化、情報セキュリティ技術者の育成、ドライビングフォースとしての自社開発の推進、独自のIT&セキュリティコンバージェンスビジネスの展開、業界トップクラスの企業へ戦略的な取り組み、各事業会社の拡大及びグループ力の強化とM&A推進などの成長戦略を推進することで、市場・社会より求められる企業グループへの発展を目指している。

製品面では、高い収益力を誇る自社開発製品SCVXの販売に注力することが、同社グループにとって重要な成長戦略である。既に、都道府県・市町村教育委員会、銀行・証券会社・リース会社等の金融機関、製造業、各種医療機関等への導入が進んでおり、今後も販売拡大を目指している。同社のシステムは軽く、価格優位性があり、同じスペックでも同時接続が多い。また、1)外部から攻撃を受けたとしても、その影響は仮想コンテナのみにとどまり、自身のPCは無傷であり、2)自身のPCのSCVXブラウザを落とすと、仮想コンテナもマルウェアごと消滅するという特徴がある。セキュリティ需要の拡大を背景に、今後もSCVXが同社グループの業績をけん引する期待が大きい。

SCVXについては、これまでに累計 15 万以上のユーザに利用されている。同社グループでは、SCVXの機能拡張を推進しており、2019年7月にはSCVXの新バージョン Ver.3 を発表し、今後2年間で60万ユーザ突破を目指している。すなわち、従来のSCVX は、オンプレミス型(情報システムのハードウェアを使用者(通常は企業)が自社保有物件やデータセンター等の設備内に設置・導入し、それらのリソースを主体的に管理する運用形態を言い、自社運用型とも言う)を前提とした提供であったが、昨今のサービス型需要に応えて、クラウド事業者のインターネット分離サービス基盤として活用可能な機能を提供する。この機能を利用して、通信事業者やクラウド事業者など複数のパートナーにてクラウドサービス化を予定している。既に、大手地銀から案件を受注しているほか、NTTスマートコネクト(株)提供の「Webアイソレーションサービス」に採用、(株)インテック提供の「インターネット分離サービス」に採用など、実績が現れている。

さらに、同じく自社開発として、2019年7月には働き方改革向けテレワークソリューション “RevoWorks”構想を発表し、今後3年間で20億円の売上を目標とする。すなわち、国策である「働き方改革」の多様で柔軟な働き方のための一手段として、テレワークやリモートワークが推進されている。そこで、同社グループでは、RevoWorksを中心にテレワークやリモートワークの“セキュリティ”にフォーカスして同市場に参入する。第1弾として、 2019年10月には、クラウドサービス対応のクライアント型インターネット分離ソリューションRevoWorks Browserをリリースした。RevoWorks Browserは、同社独自コンテナ技術を用いたローカルコンテナ機能により、ユーザの利便性を高めたインターネット分離ソリューションである。SCVXはサーバ型のコンテナ技術を利用しているが、RevoWorksはクライアントPC上でコンテナを生成し、論理的なセキュリティ強度を確保しながら、ローカルアプリケーション実効の柔軟性と高いユーザ利便性を併せ持つインターネット分離環境の構築を可能とするものである。また、コンテナを実行するサーバが不要になることから、大規模構成やクラウドサービス提供時のコストパフォーマンスが大幅に向上している。さらに、第2弾として、2020年1月には、テレワークを支えるクライアント型仮想デスクトップ RevoWorks Desktop をリリースする予定である。

また、従来どおり最先端の技術を持つグローバル企業との取引を維持・拡大することも、成長にとって重要である。なかでも、同社グループでは世界規模で情報セキュリティへの脅威と戦っている、情報セキュリティ先進国である欧米諸国における動向を常に注視している。これまでの取引実績から、仕入先の海外企業より日々新たな脅威に対応した新製品などの有益情報が入ってくる関係を構築しており、これが日本にない商材の製品取扱いにつながっている。

2019年12月期も新たに取扱製品が拡充し、顧客の多様なニーズへの対応が可能になっている。2019年5月には、IIoT(Industrial Internet of Things:製造業におけるモノのインターネット)セキュリティの可視化ソリューションを提供する、米国の CyberXと販売代理店契約を締結した。同社の製品は、ICS(産業用制御システム)向けのセキュリティプロダクトであり、対象ICSネットワークのパケットをミラー取得し、サイバー攻撃による異常検知並びにアセスメント(NW図示、脆弱性診断)を1プロダクトで実現するものであり、工場のセキュリティ対策としての活用を計画している。

さらに、技術者の採用・育成を継続することもグループの成長には不可欠である。同社グループは、全体の70%強のITエンジニアを抱えており、ITエンジニアが客先を訪問し、技術的付加価値を付けてシステムを構築・提供できることが、同社グループの強みの1つであり、同社グループへの信頼感を高めている。わが国では深刻なITエンジニア不足が叫ばれているが、同社グループでは、技術レベルごとの独自採用ルートを活用して、採用を強化している。また、採用後も自社技術者への積極的教育投資など、人材育成にも力を入れている。

以上の諸施策を通じて、同社グループでは長期的な方向性として、ネットワークセキュリティの新たなリーディングカンパニーを目指している。すなわち、AIやIoTなどの新しいテクノロジー、ユニークな発想のメンバーを結集したセキュリティソリューションプロバイダービジネスを展開し、顧客、パートナーから信頼され、自らが誇れる業界TOP企業を目指す。また、経営戦略の基本方針として、企業価値向上を追求していく。すなわち、既存事業分野の持続的成長、新規プロダクト、サービス、自社製品、自社サービスへの集中投資と拡大、M&A戦略及び新たなビジネスモデル創出による爆発的成長を目指す。ベースラインの持続的な成長に加えて、爆発的な成長を達成するために、M&A戦略や新規事業を積極化する方針である。

このような成長戦略の推進によって、同社グループは今後も増収増益を続けると見られる。同社グループでは、現段階では、対外的には中期経営計画を発表していないが、2020年早々の発表に向けて準備中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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