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ティア Research Memo(6):2020年9月期業績は新型コロナの影響の見積もり困難、期初計画を据え置く

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年9月期の業績見通し
ティア<2485>の2020年9月期の連結業績は、売上高が前期比7.2%増の13,695百万円、営業利益が同5.5%増の1,220百万円、経常利益が同5.5%増の1,215百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.0%増の815百万円と期初計画を据え置いた。新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響を合理的に見積もることが現時点では困難であると判断したためだ。

第2四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高で48.7%、営業利益で61.5%となっており、過去5年間平均進捗率(売上高51.8%、営業利益71.9%)を下回っている。また、4月の状況は政府の緊急事態宣言もあって、葬儀の参列者数が減少し、葬儀規模の縮小や法要を取りやめるといった動きが見られるなど、売上面で少なからずマイナスの影響が出ているほか、都内のサロン店舗でもイベント・セミナーを中止している影響で、新規会員の獲得が伸び悩むなどの影響が出ている。また、新型コロナウイルスに罹患して亡くなったケースでは、子会社のティアサービスで感染症対策チームを組織して対応に当たっており、遺族などから依頼があれば火葬後の骨葬による葬儀を提案している。現在の市場環境が今後も長引くようだと会社計画より下振れする可能性が高いが、政府の緊急事態宣言が早期に解除されれば、こうした状況も改善に向かうと予想される。

同社は2020年9月期下期に直営9店舗(会館・家族葬専用ホール7店舗、サロン2店舗)、FC7店舗の出店を計画しており、このうち、直営の会館・家族葬専用ホールで3店舗、FC4店舗の出店が確定しており、新規出店による葬儀件数の増加が期待される。また、既存店売上の回復施策として当第3四半期の後半から東海エリアでテレビCMを投下する予定となっている。これら取り組みにより葬儀件数を拡大し、また、経費の抑制に取り組むことで会社計画の達成を目指していく考えだ。

期初計画時点の業績予想前提について見ると、直営の葬儀件数は前期比9.6%増の11,968件を見込んでいる。直営既存店の葬儀売上高が前期比3.4%増(葬儀件数3.5%増、葬儀単価0.0%減)※と堅調に推移することに加えて、直営及びFCの新規出店効果が増収要因となる。経常利益については人件費(317百万円)や広告宣伝費(52百万円)の増加を増収に伴う増益(362百万円)や内製化率向上に伴う原価率低減効果(44百万円)などで吸収し、増益を見込んでいる。なお、2020年4月の新卒社員数は29人と計画の40人を下回っており、人件費については当初計画を下回る見込みとなっている。

※既存店の葬儀件数伸び率は直近2年間の平均値に過去の趨勢を考慮して算出し、葬儀単価については業績予想策定時点の実績を参考に設定している。


直営店合計の葬儀単価については前期比2.0%減の97.5万円を想定している。店舗形態別で見ると、葬儀会館が前期比横ばいの101.2万円、家族葬専用ホールが同14.9%減の73.0万円、葬儀相談サロンが同3.8%増の58.3万円となる。家族葬専用ホールについては70万円台を基本モデルとして、オプション料金などが加わり、前期は85.9万円、2020年9月期第2四半期累計実績でも85.8万円となっており、通期でも結果的に前期並みの水準となる可能性がある。一方、葬儀会館については第2四半期累計実績が99.1万円と計画を下回っており、通期でも足元の状況を考えれば下回る可能性がある。葬儀相談サロンについてはほぼ想定どおりに推移する見通しだ。

同社としては安定して収益拡大を図るためには、単価をもう少し引き上げていく必要があり、逆に単価を上げるのが難しければ件数を増やすための施策を打っていく必要があると考えている。いずれにしても、家族葬専用ホールや葬儀相談サロンに関してはまだ実績が少ないこともあり、葬儀単価も上下に変動する可能性はある。全体の葬儀単価が低下するのは、平均単価の低い家族葬専用ホールや葬儀相談サロンの葬儀件数の構成比が上昇するためだ。全体の葬儀件数が前期比1,045件増となるなかで、葬儀会館は310件増、家族葬専用ホールは540件増、葬儀相談サロンは195件増を見込んでいる。

売上原価率は前期比0.3ポイント低下の60.1%を計画している。業務の内製化を進めることで商品原価率は30.6%と前期比0.9ポイントの低下を見込んでいる。第2四半期累計実績では30.4%まで低下しているため、さらに低下する可能性がある。一方、労務費率は前期比0.9ポイント上昇の9.4%を見込んでおり、こちらは第2四半期累計実績と同水準となっている。また、雑費率については、前期比0.3ポイント低下の20.0%を見込む。新規出店による開設費用や固定費増を増収効果で吸収する。なお、内製化の取り組みとして、車両業務についてはほぼ一巡しており、今後は接客スタッフの採用や生花事業のカバー店舗数を増やしていくことで内製化率を高めていくことになる。生花については現状、名古屋市内の4〜5店舗をカバーしているに過ぎず、改善余地が大きい。

一方、販管費率は前期比0.5ポイント上昇の31.0%を計画している。新卒社員の増加や賃金制度改定に伴って人件費率で1.4ポイントの上昇を見込む。また、「THRC」の通年稼働に伴う経費増や営業チャネルの多様化及びテレビCM投下に伴う広告宣伝費の増加を見込んでいるが、それぞれ増収効果で吸収し対売上比率は前期比では低下する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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