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エーバランス Research Memo(9):アジア圏における再生可能エネルギーのグローバル企業を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
Abalance<3856>は今後、ESG、SDGsの推進による社会価値と企業価値の両立により、アジア圏における再生エネルギーのグローバル企業を目指している。目標を実現していくうえでの戦略として、1)発電所の自社保有による安定収益、キャッシュ・フローの確保、2)適切なリスク管理のもと、海外投資の着実な推進、3)新規事業によるアップサイド(+α超過利益)の獲得??の3ステップを掲げている。

(1) 発電所の自社保有による安定収益、キャッシュ・フローの確保
政府は2030年のエネルギーミックスで、電源構成に占める再生エネルギー比率を22〜24%に引き上げることを政策として掲げており、なかでも太陽光や風力発電などの導入が推進される方策に今後も大きな変更はないものと予測される。台風や局地的集中豪雨等によって引き起こされる自然災害の原因ともされる地球温暖化の防止やCO2削減の取り組みは喫緊の課題となっており、CO2を排出しないグリーンエネルギー事業を営む同社にとっては追い風となる。

こうした外部環境のなかで、同社は2030年までに、国内外を合わせて1GW規模の発電所を保有することを目標として掲げている。1GWの発電能力は原発で1基分に相当する規模である。同社にとって売電事業は将来的に安定収益源となる。これまで投資を行ってきた発電所のうち、すでに一部の発電所は売電を開始しているが、建設中の発電所が順次完工後、売電収入へと転化するため、全体の保有発電所の増加にともない収益、キャッシュ・フローの安定財源となる見通しだ。

前述したように、2020年後半以降、比較的規模の大きい太陽光発電所が稼働を開始することで、事業構造の転換は投資実行の段階から収益計上、キャッシュ・フローの獲得という初期実現の段階となり、中長期的にも収益が伸び安定する段階へ移行していくものと予想される。

(2) 適切なリスク管理のもと、海外投資の着実な推進
2つ目の戦略として、自社保有発電所の売電収入で獲得したキャッシュ・フローを使って、電力需要が旺盛な海外市場での投資を拡大していく。既に、ベトナムでは現地企業との合弁会社でソーラー発電プロジェクト(EPC及びIPP事業)を含む複数のプロジェクトを推進してきた実績があり、JCM案件などを含め総合的な押上げを図る予定となっている。コロナ禍で2020年はリスク管理を行いながら投資判断を進めていくが、コロナ収束後は積極的な事業展開を東南アジア市場中心に展開していく方針だ。また、ODAプロジェクトについても積極的に応募し、案件獲得を目指していく。

VSUNについては同社グループとの連携強化で更なる成長が期待される。世界の太陽光発電市場では中国メーカーのシェアが高いが、米中間の貿易摩擦の問題が長引けば、米国でのシェアを拡大する好機となる。また、ベトナムを中心とした東南アジア市場においても、太陽光発電の潜在的なニーズは大きいため、VSUNの中長期的な成長余地は大きいものと考えられる。

(3) 新規事業によるアップサイド(+α超過利益)の獲得
既存事業の拡大戦略に加えて、卒FIT、蓄電池、風力開発、再生エネルギー関連のM&Aなどによる新規事業の育成にも注力していく。市場では2019年11月以降、順次買取契約期限を終える卒固定価格買取制度(FIT)※1に注目が集まっており、同社は卒FIT戦略として、第三者保有やPPAモデル※2等を検討しているほか、FIT売電型に代わって、自家消費型の市場拡大によって需要増加が見込まれる蓄電池事業に本格参入する構えだ。

※1 FIT制度(固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。発電した電気は全量買取対象となるが、住宅用等の10kW未満の発電設備では自家消費した後の余剰分が買取対象となる。
※2 PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行い、需要家からの売電収入によって収益を獲得するモデル。


風力開発では、WWBが北海道檜山エリアで陸上小型風力発電所を開発、売電を開始しており、今後は年間100基程度の小型風力発電所の開発を進め、毎期30億円超の設備投資を行っていくことを目標としている。

同社では再生エネルギー関連で、会社の方針に見合った企業があれば、事業機会としてM&Aを行う方針と説明している。再生エネルギー関連、特に太陽光を中心に検討する構えで、採算性、保有発電所の規模、エリア等を総合的に判断し、1事業年度に1社を目標にM&Aを重要な企業成長の手段として活用していく方針だ。

以上の3つのステップを着実に達成することにより、ESG、SDGs経営を進めると共に、アジア圏における再生可能エネルギーのグローバル企業を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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