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USENNEX Research Memo(9):2021年8月期の業績は増収増益を見通すも、やや保守的な印象

注目トピックス 日本株
■業績予想

2. 2021年8月期の業績見通し
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の2021年8月期の業績見通しは、売上高202,000百万円(前期比4.6%増)、営業利益11,000百万円(同1.1%増)、経常利益10,200百万円(同1.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,000百万円(同1.8%増)である。コロナ禍の影響は功罪両面があるため評価が難しいが、業務店の動きや業況の回復傾向などを考慮すると、やや保守的な見通しになったという印象である。

同社は統合以来、経営資源と言える75万件の顧客基盤、映像・音楽コンテンツ、IoT各種商材、ネットワークインフラ、直販を中心とする強力な販売力をそれぞれ強化するとともに、シナジーを発揮してきた。直近では、コロナ禍の影響により急速かつ大きく変化する消費行動や企業活動、テクノロジー、社会環境に対応し、迅速な意思決定の下、IoT・AIといったIT技術などを活用して市場のニーズやビジネス機会をいち早く捉えることができた。2021年8月期も「今こそ、必要とされる次へ。」向け、各事業で変化に対応していく方針である。

店舗サービス事業は、居酒屋など全国チェーン店の閉店が進む見通しもあり、2020年8月期下期に引き続き厳しい環境が予想されている。加えて、2020年8月期に発生した会計方針変更による利益がなくなること、2020年5月の2万件の解約によりランニング収益が減少することから減益予想となった。短期の見通しは明るくないが、同社への業務店の支持が強いこと、顧客件数純増の前提を毎月0〜1000件しか見ていないこと、解約閉店してもその後に薬局や中食店などが居抜きで入居することが少なくないことを踏まえると、前提を厳しく見たように思われる。通信事業は、企業のDXを背景に、中小企業向けオフィスソフトや業務店向け自社光回線の販売などランニング収益が積みあがる見込みで、増収増益予想となっている。業務用システム事業は、ホテルなど依然苦戦している顧客が多いが、「Go Toキャンペーン」や延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催により、2021年8月期を通しての復調に期待している。また、これまでの取扱いが少なかった地方の高級旅館は、好調であるもののIT化で遅れていることから、営業を強化する方針である。コンテンツ配信事業に関して、同社は利益成長期入りしたと認識しているもようで、プロモーションやコンテンツにコストをかけ顧客件数の増加、ひいては大幅増益を見込んでいる。エネルギー事業は、競争激化と東京電力ホールディングスとの料率交渉が課題だが、引き続きフック商材として他商材への拡大を狙う。メディア事業はコロナ禍の影響で業務店の広告費が抑制されるなか、定額課金から従量課金へとビジネスモデルを変更することで、再注力する方針である。このためオペレーションコストを使うことが見込まれ、損失幅が拡大する予想となっている。セグメント別業績見通しでは、このように2021年8月期も各事業間で収益にばらつきが出る見込みだが、全体としては事業ポートフォリオ効果によって増益を予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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