セグエ Research Memo(4):2020年12月期第3四半期は、売上高・各段階利益ともに過去最高を達成
[21/01/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年12月期第3四半期の業績概要
セグエグループ<3968>の2020年12月期第3四半期累計期間においては、米中の通商問題、英国のEU離脱等に加え、コロナ禍が続き、2020年4月から5月までの緊急事態宣言による影響もあり、先行き不透明な状況が強まっている。同社の属するIT業界においては、コロナ禍を想定した「新しい生活様式」に対応するデジタルシフトが加速するとともに、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)等への注目度が高まっている。加えて、あらゆる業種・職種でテレワークの普及が加速し、そのセキュリティの重要性も高まっている。政府によりデジタル庁の創設が予定され、これらの動きはさらに加速するものと予想される。また、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想により、全国の学校のネットワーク整備等が進められており、同社が取り扱うWi-Fi関連商材も採用されている。しかしながら、経済の減速に伴い、既存システムの維持や重要なセキュリティ対策等に対する投資は継続されるものの、投資抑制や新システム導入時期の延期等の見直しが懸念される。
こうした環境下、同社の2020年12月期第3四半期累計の業績については、売上高7,546百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益442百万円(同0.9%増)、経常利益464百万円(同5.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益354百万円(同24.0%増)と、売上高、各段階利益すべてにおいて過去最高を達成した。具体的には、堅調な海外プロダクトの販売により安定して売上総利益を確保したことに加え、GIGAスクール案件獲得やテレワーク関連プロダクト販売、サポートサービス等のサービス販売が堅調に推移したことなどが貢献した。
一方で、中長期の成長に向けた人財や社内環境・システム等への積極投資を行ったことで、販管費が増大したことが、営業利益が小幅増益にとどまった理由である。ただ、営業利益率は5.9%と前年同期並みの水準を確保した。また、取引先との株式持ち合い解消に伴い投資有価証券売却益を特別利益として計上したことが、親会社株主に帰属する四半期純利益の大幅増益につながった。
以上の結果、第3四半期進捗率としては、売上高68.5%、営業利益76.1%、経常利益78.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益81.3%と、特に利益面で順調に進捗している。また、売上高と営業利益の四半期別推移を見ると、主要販売先の自治体や大企業の年度末に当たる第1四半期の比率が最も高いものの、取引層の拡大に伴って、第2四半期・第3四半期の比率が上昇傾向にある。
好調な業績により、強固な財務基盤を維持
2. 財務状況と経営指標
同社では、好調な業績により財務基盤が一層強固になり、安全性だけでなく、利益に関わる経営指標も上昇している。
2020年12月期第3四半期末の総資産は、前期末比544百万円増の6,690百万円となった。これは、流動資産が受取手形及び売掛金、電子記録債権の増加等により同266百万円増に、また固定資産も投資有価証券の増加等によって同277百万円増となったことによる。負債合計は、同426百万円増の3,786百万円となった。流動負債が買掛金及び前受金の増加等により同411百万円増に、また固定負債も退職給付に係る負債の増加等により同15百万円増となったことによる。また、純資産合計は、利益剰余金の増加等を主因に、同117百万円増の2,903百万円になった。
以上の結果、2020年12月期第3四半期末の自己資本比率は42.9%と東証第1部の情報・通信業平均33.7%(2019年度実績)を大きく上回る高水準を維持しており、強固な財務基盤を持ち安全性に懸念はないと言える。また、好調な業績により、収益性の指標であるROEも2019年12月期で15.7%と情報・通信業の平均7.3%を大きく上回っている。
なお、同社では、貸借対照表上の前受金の前年度推移を、ソリューションサービスのうちストック性のある将来売上を測る指標として捉えている。これは、販売した機器の保守サービスのうち、自社で行っている保守サービス料を、保守契約期間の最初の段階で一旦前受金として受領し、契約期間が経過するとともに月次で按分して売上を計上するという会計処理を採っているためである。この点、2020年12月期第3四半期末における前受金は前年同期末比4.2%増加しており、今後の売上拡大を示唆している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2020年12月期第3四半期の業績概要
セグエグループ<3968>の2020年12月期第3四半期累計期間においては、米中の通商問題、英国のEU離脱等に加え、コロナ禍が続き、2020年4月から5月までの緊急事態宣言による影響もあり、先行き不透明な状況が強まっている。同社の属するIT業界においては、コロナ禍を想定した「新しい生活様式」に対応するデジタルシフトが加速するとともに、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)等への注目度が高まっている。加えて、あらゆる業種・職種でテレワークの普及が加速し、そのセキュリティの重要性も高まっている。政府によりデジタル庁の創設が予定され、これらの動きはさらに加速するものと予想される。また、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想により、全国の学校のネットワーク整備等が進められており、同社が取り扱うWi-Fi関連商材も採用されている。しかしながら、経済の減速に伴い、既存システムの維持や重要なセキュリティ対策等に対する投資は継続されるものの、投資抑制や新システム導入時期の延期等の見直しが懸念される。
こうした環境下、同社の2020年12月期第3四半期累計の業績については、売上高7,546百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益442百万円(同0.9%増)、経常利益464百万円(同5.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益354百万円(同24.0%増)と、売上高、各段階利益すべてにおいて過去最高を達成した。具体的には、堅調な海外プロダクトの販売により安定して売上総利益を確保したことに加え、GIGAスクール案件獲得やテレワーク関連プロダクト販売、サポートサービス等のサービス販売が堅調に推移したことなどが貢献した。
一方で、中長期の成長に向けた人財や社内環境・システム等への積極投資を行ったことで、販管費が増大したことが、営業利益が小幅増益にとどまった理由である。ただ、営業利益率は5.9%と前年同期並みの水準を確保した。また、取引先との株式持ち合い解消に伴い投資有価証券売却益を特別利益として計上したことが、親会社株主に帰属する四半期純利益の大幅増益につながった。
以上の結果、第3四半期進捗率としては、売上高68.5%、営業利益76.1%、経常利益78.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益81.3%と、特に利益面で順調に進捗している。また、売上高と営業利益の四半期別推移を見ると、主要販売先の自治体や大企業の年度末に当たる第1四半期の比率が最も高いものの、取引層の拡大に伴って、第2四半期・第3四半期の比率が上昇傾向にある。
好調な業績により、強固な財務基盤を維持
2. 財務状況と経営指標
同社では、好調な業績により財務基盤が一層強固になり、安全性だけでなく、利益に関わる経営指標も上昇している。
2020年12月期第3四半期末の総資産は、前期末比544百万円増の6,690百万円となった。これは、流動資産が受取手形及び売掛金、電子記録債権の増加等により同266百万円増に、また固定資産も投資有価証券の増加等によって同277百万円増となったことによる。負債合計は、同426百万円増の3,786百万円となった。流動負債が買掛金及び前受金の増加等により同411百万円増に、また固定負債も退職給付に係る負債の増加等により同15百万円増となったことによる。また、純資産合計は、利益剰余金の増加等を主因に、同117百万円増の2,903百万円になった。
以上の結果、2020年12月期第3四半期末の自己資本比率は42.9%と東証第1部の情報・通信業平均33.7%(2019年度実績)を大きく上回る高水準を維持しており、強固な財務基盤を持ち安全性に懸念はないと言える。また、好調な業績により、収益性の指標であるROEも2019年12月期で15.7%と情報・通信業の平均7.3%を大きく上回っている。
なお、同社では、貸借対照表上の前受金の前年度推移を、ソリューションサービスのうちストック性のある将来売上を測る指標として捉えている。これは、販売した機器の保守サービスのうち、自社で行っている保守サービス料を、保守契約期間の最初の段階で一旦前受金として受領し、契約期間が経過するとともに月次で按分して売上を計上するという会計処理を採っているためである。この点、2020年12月期第3四半期末における前受金は前年同期末比4.2%増加しており、今後の売上拡大を示唆している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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