ギグワークス Research Memo(5):毎月1,000社以上の依頼企業と多彩な人材をマッチング
[21/01/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ビジネスモデル
1. ヒト・スキルのシェアリングを行うオンデマンドエコノミー事業
ギグワークス<2375>のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特徴がある。
依頼を受ける仕事は多岐にわたり、毎月1,000社以上から仕事を受ける。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在ではIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増えた。IT関連での事例としては、ロボットキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つのが同社の強みである。IT関連以外の事例では、複数のフードデリバリーサービス企業に対しての店舗営業、店頭での家電販売、多言語コールセンター、ミステリーショッパーなどがある。特に全国規模での短期集中の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多い。これまで依頼主は比較的大きな法人が主だったが、今後は個人向けのプラットフォームを本格稼働させる(後述する「GiGWorks Basic」)。
法人からの比較的大きな仕事の依頼を組織的に受けるためのシステムが「Jobpro」であり、個人からの仕事の依頼を含めて直接マッチングするシステムが2020年10月に稼働を開始した「GiGWorks Basic」である。創業以来、累計で684万件を超えるマッチングを行い、多様な働き方を支援してきた。仕事を行うのは、同社の従業員とともに10万人を超える登録スタッフである。登録者には、スキルの高いフリーランスが多く、常時雇用ではないため、同社の固定費負担は極力抑えられる。登録者にとっては、同社が営業して企業から様々な仕事を取ってきてくれ、自分に合ったライフスタイルで働くことができ、スキルのアップデートも図れるというメリットがある。
同社のプラットフォーマーとしての役割として重要となるのが、「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」と「マッチング」である。「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」に関しては、教育の支援をすることによりスキルアップを促進する、覆面調査により実態に即した評価を行うなど、様々な工夫をしている。「マッチング」に関しては、システムによる自動的なマッチングも行うが、同社スタッフによるきめ細かな調整作業も強みである。同社の社員がプロジェクト管理をしっかり行う業務委託もあれば、個人と依頼主の雇用契約もあるなど、多様な形態を提案できる。
2. オンデマンドエコノミー事業のKPI
同社は、KPI(重要業績評価指標)として「ユニークワーカー数※」と「お仕事斡旋数」を四半期ごとに公表している。「ユニークワーカー数」は、その四半期に稼働した人数であり、何種類の仕事を何回しても1人とカウントする。2020年10月期は年度累計では7,809人(前期比26.5%増)が稼働した。「お仕事斡旋数」は創業以来の累積件数であり、2020年10月期末に6,846千件に達した。四半期ごとの件数では、第1四半期が74千件、第2四半期が53千件、第3四半期が51千件、第4四半期が58千件で、平均59千件となっており、着実にマッチングが行われているといえよう。
※その年度の積み上げ(累積)の数値であり、第1四半期の数値は正味の稼働人数だが、第2四半期以降の数値はその年度に稼働した人数の累計である
2020年10月期通期のオンデマンドエコノミー事業の売上高は、前期比10.3%増の17,264百万円、セグメント利益は同22.0%増の1,923百万円と好調に推移した。四半期ごとの推移では、第3四半期(5月−7月)に緊急事態宣言に伴う対面を伴う業務の減少などの影響から業績が減速したが、第4四半期(8月−10月)にはV字回復した。
3. 成長続けるシェアリングエコノミー事業
同社は、スペースのシェアリングも行っている点に特長がある。2015年から参入したシェアリングエコノミー事業ではオフィススペースの共有を行っており、利用するワーカー(個人事業主)にノウハウ共有やスキルアップ支援するという価値も提供している。
同社のシェアリングエコノミー事業は連結子会社のアセットデザインが展開しているシェアオフィスサービスが主体であり、「THE HUB」のブランドを中心に東京・神奈川・愛知・大阪で59拠点を構える。2020年10月期には、藤田観光と業務提携し、新宿ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル内にシェアワークプレイス「THE HUB」を出店したのに加え、北大阪エリアで最大規模となるシェアオフィス&コワーキングスペース「THE BASE 北大阪」を出店した。半数以上の店舗は直営店、残りは運営受託店である。2020年10月期のKPIの推移は順調である。登録会員数は4,879社(2020年10月期末)とコロナ禍という逆風にも関わらず増え続けている点である。ドロップイン会員(一時利用のための会員登録者)も1,072社(同)と順調に増えており、今後の定期利用拡大が見込まれる重要指標となる。専用個室オフィスの稼働率も期中を通して89%と高い稼働率を維持した。アフターコロナ時代には、働き方の多様化が定着し、サテライトオフィス需要が拡大することが想定されており、大企業の従業員の利用なども追加されることが期待されている。
2020年10月期のシェアリングエコノミー事業の売上高は前期比27.0%増の2,557百万円、セグメント利益については同58.8%増の69百万円となり、通期での大幅な増収及び黒字を維持した。2020年10月期第2四半期に業績が急拡大したのは、北大阪の大型店の出店における内装工事分である。今後も成長を志向し、近い将来にテレワーク主体の中小規模店舗を拡大し合計100店舗を達成したい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. ヒト・スキルのシェアリングを行うオンデマンドエコノミー事業
ギグワークス<2375>のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特徴がある。
依頼を受ける仕事は多岐にわたり、毎月1,000社以上から仕事を受ける。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在ではIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増えた。IT関連での事例としては、ロボットキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つのが同社の強みである。IT関連以外の事例では、複数のフードデリバリーサービス企業に対しての店舗営業、店頭での家電販売、多言語コールセンター、ミステリーショッパーなどがある。特に全国規模での短期集中の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多い。これまで依頼主は比較的大きな法人が主だったが、今後は個人向けのプラットフォームを本格稼働させる(後述する「GiGWorks Basic」)。
法人からの比較的大きな仕事の依頼を組織的に受けるためのシステムが「Jobpro」であり、個人からの仕事の依頼を含めて直接マッチングするシステムが2020年10月に稼働を開始した「GiGWorks Basic」である。創業以来、累計で684万件を超えるマッチングを行い、多様な働き方を支援してきた。仕事を行うのは、同社の従業員とともに10万人を超える登録スタッフである。登録者には、スキルの高いフリーランスが多く、常時雇用ではないため、同社の固定費負担は極力抑えられる。登録者にとっては、同社が営業して企業から様々な仕事を取ってきてくれ、自分に合ったライフスタイルで働くことができ、スキルのアップデートも図れるというメリットがある。
同社のプラットフォーマーとしての役割として重要となるのが、「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」と「マッチング」である。「登録ワーカーのスキル・実績・評価の管理」に関しては、教育の支援をすることによりスキルアップを促進する、覆面調査により実態に即した評価を行うなど、様々な工夫をしている。「マッチング」に関しては、システムによる自動的なマッチングも行うが、同社スタッフによるきめ細かな調整作業も強みである。同社の社員がプロジェクト管理をしっかり行う業務委託もあれば、個人と依頼主の雇用契約もあるなど、多様な形態を提案できる。
2. オンデマンドエコノミー事業のKPI
同社は、KPI(重要業績評価指標)として「ユニークワーカー数※」と「お仕事斡旋数」を四半期ごとに公表している。「ユニークワーカー数」は、その四半期に稼働した人数であり、何種類の仕事を何回しても1人とカウントする。2020年10月期は年度累計では7,809人(前期比26.5%増)が稼働した。「お仕事斡旋数」は創業以来の累積件数であり、2020年10月期末に6,846千件に達した。四半期ごとの件数では、第1四半期が74千件、第2四半期が53千件、第3四半期が51千件、第4四半期が58千件で、平均59千件となっており、着実にマッチングが行われているといえよう。
※その年度の積み上げ(累積)の数値であり、第1四半期の数値は正味の稼働人数だが、第2四半期以降の数値はその年度に稼働した人数の累計である
2020年10月期通期のオンデマンドエコノミー事業の売上高は、前期比10.3%増の17,264百万円、セグメント利益は同22.0%増の1,923百万円と好調に推移した。四半期ごとの推移では、第3四半期(5月−7月)に緊急事態宣言に伴う対面を伴う業務の減少などの影響から業績が減速したが、第4四半期(8月−10月)にはV字回復した。
3. 成長続けるシェアリングエコノミー事業
同社は、スペースのシェアリングも行っている点に特長がある。2015年から参入したシェアリングエコノミー事業ではオフィススペースの共有を行っており、利用するワーカー(個人事業主)にノウハウ共有やスキルアップ支援するという価値も提供している。
同社のシェアリングエコノミー事業は連結子会社のアセットデザインが展開しているシェアオフィスサービスが主体であり、「THE HUB」のブランドを中心に東京・神奈川・愛知・大阪で59拠点を構える。2020年10月期には、藤田観光と業務提携し、新宿ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル内にシェアワークプレイス「THE HUB」を出店したのに加え、北大阪エリアで最大規模となるシェアオフィス&コワーキングスペース「THE BASE 北大阪」を出店した。半数以上の店舗は直営店、残りは運営受託店である。2020年10月期のKPIの推移は順調である。登録会員数は4,879社(2020年10月期末)とコロナ禍という逆風にも関わらず増え続けている点である。ドロップイン会員(一時利用のための会員登録者)も1,072社(同)と順調に増えており、今後の定期利用拡大が見込まれる重要指標となる。専用個室オフィスの稼働率も期中を通して89%と高い稼働率を維持した。アフターコロナ時代には、働き方の多様化が定着し、サテライトオフィス需要が拡大することが想定されており、大企業の従業員の利用なども追加されることが期待されている。
2020年10月期のシェアリングエコノミー事業の売上高は前期比27.0%増の2,557百万円、セグメント利益については同58.8%増の69百万円となり、通期での大幅な増収及び黒字を維持した。2020年10月期第2四半期に業績が急拡大したのは、北大阪の大型店の出店における内装工事分である。今後も成長を志向し、近い将来にテレワーク主体の中小規模店舗を拡大し合計100店舗を達成したい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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