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スペースバリューHD Research Memo(1):システム建築や立体駐車場の日成ビルド工業を中核とする持株会社

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
スペースバリューホールディングス<1448>は、システム建築や立体駐車場で実績のある日成ビルド工業(株)を中核とする持株会社である。建設業と製造業の機能を併せ持ち、部材生産、設計、施工、メンテナンスまでの一貫体制を提供している。また、戦略的M&A等を通じて総合建設や駐車場運営・管理、開発(土地活用)、ファシリティマネジメント等へも展開してきた。「『空間の価値』を創造し続けることが、私たちの使命です。」を経営理念に掲げ、グループ一体で空間価値を創造する体制を構築している。本業である「システム建築事業」や「立体駐車場事業」では、全国各地に工場及び営業拠点を持ち、独自の製品群を提供しているところに強みがあり、業界トップの実績を誇る。

2019年2月に日成ビルド工業において会計不祥事案が発覚し、以来、コーポレートガバナンス改革や内部体制の強化に取り組んできた。再発防止に向けた制度設計が完了し運用を開始したことから、今後は攻守のバランスを意識した戦略の実行により、成長に向けて舵を切る方針である。2019年10月に経営理念及び成長領域を定めた空間ビジョンを刷新すると、2020年11月には中期経営計画を公表した。「本業回帰」を重要なテーマとして位置づけ、事業間シナジーを追求していく方向性を打ち出している。

2. 2021年3月期上期決算の概要
2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比8.3%減の34,109百万円、営業損失が73百万円(前年同期は787百万円の利益)と減収減益となり営業損失を計上したが、想定の範囲内であった。2020年3月期において、日成ビルド工業における会計不祥事案に端を発する内部体制の強化に専念したことが影響し、期首受注残高に積み立て不足が生じたことから、「システム建築事業」及び「立体駐車場事業」が大きく落ち込んだ。ただ、足元の受注活動には復調の兆しが見られるようだ。利益面では、減収に伴う売上総利益の減少に加え、販管費が若干増加したことにより、営業損失を計上した。

3. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想(2020年10月7日公表)について同社は、売上高を前期比6.4%減の80,000百万円、営業利益を同0.7%増の2,500百万円と見込んでいる。売上高は、上期が低調に推移したものの、下期にかけて回復に向かう想定としている。ただ、コロナ禍に伴う大規模な経済活動の制限がないことが前提となっていることに注意が必要である。利益面でも、受注及び売上高の回復に伴う収益の底上げや経費削減等により、通期では営業黒字を確保する見通しとなっている。また、2021年3月期の期末配当金については、2020年3月期と同額の1株当たり15円を予定している。

4. 中期経営計画(今後の方向性)
同社では、経営理念及び空間ビジョンに基づき、10年後のありたい姿として「人々の暮らしに役立つthe空間創造企業」を掲げるとともに、その実現に向けた最初のステップとなる3ヶ年の中期経営計画を策定した。特徴的なのは、「本業回帰」を重要なテーマとしているところであり、「建築事業(システム、プレハブ)」をコアとして、「土地活用事業」、「立体駐車場事業」、「総合建設事業」との事業間シナジーの創出により、それぞれの事業を成長させる方向性である。中期経営計画の最終年度(2023年3月期)の数値目標については、1)連結経常利益を45億円以上(かつ経常利益率5%以上)、2)ROEを10%以上、3)配当性向30%を掲げている。特に、「土地活用事業」の企画によるグループ提案力を生かした同社主導型案件の獲得により、収益性の高い「システム建築事業」の売上増や利益率の改善に結び付けていく戦略となっている。

■Key Points
・システム建築や立体駐車場で実績のある日成ビルド工業を中核とする持株会社。過去の会計不祥事案に端を発する内部体制の強化に目処が立ち、成長に向けて舵を切る方針
・2021年3月期上期は前期における受注の積み立て不足が影響して減収減益となるも、想定の範囲内
・2021年3月期は下期での巻き返しにより減収ながら利益面ではほぼ横ばいを見込む(ただし、コロナ禍に伴う大規模な経済活動の制限がないことが前提)
・2020年11月に新中期経営計画を公表。「建築事業(システム、プレハブ)」をコアとし、「土地活用事業」「立体駐車場事業」「総合建設事業」との事業間シナジーの創出を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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