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オープンドア Research Memo(6):コロナ禍収束後の新たな旅行商品を拡充することで、一段と競争力を高める方針

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2022年3月期業績見通しは、旅行市場の予測が合理的に可能となった時点で公表する方針
1. 2022年3月期の業績見通し
オープンドア<3926>の2022年3月期の業績見通しについては、コロナ禍収束の時期が見通せないことから、現時点では未定とし、合理的な予測が可能となった時点で公表する方針を明らかにしている。なお、ワクチン接種が進み売上高が回復してくれば、損失幅が縮小する可能性は十分に考えられる。とはいえ、即座に削りやすい変動費とは異なり、売上高の回復はコロナ禍の収束次第になるため、2022年3月期以降も営業損失が続く可能性はあるだろう。

2021年5月下旬時点での世界的なコロナ禍の状況としては、米国などの先進国では一旦沈静化し、経済活動を徐々に再開する動きが出始めている。4月からワクチン接種が進んでいるため、新規感染者数が減少傾向にあり、一部の欧米企業ではテレワークを廃止し社員をオフィスに出勤させる動きも出てきている。一方で、インドや中南米などの新興国ではロックダウンに踏み切る地域も増えており、感染拡大が続いている状況だ。国内では、地方都市を含めた10地域で緊急事態宣言が再び発出され、Go To トラベルキャンペーンで回復しつつあった旅行需要が再び萎みつつある。しかし、2021年5月17日時点で医療従事者のうち新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は75%を超えていることに加え、高齢者向けのワクチン接種も本格化し始めた。ワクチンが全国展開されれば感染者の増大に歯止めがかかると言われており、即効性については不透明な部分が多いものの旅行需要が回復するための基盤はできつつあるだろう。

なお、「トラベルコ」は旅行比較サイトであるため、旅行関連市場の悪化により旅行関連収入が減少するリスクを抱えている。しかし、足下でワクチン接種が進んでいることや、先進国でロックダウンが解除されている流れを踏まえると、旅行会社の広告予算は今後回復していくと弊社では予想している。

こうした状況下で同社は、強固な財務基盤を背景にサービスの開発スピードを加速させ、回復期の需要取り込みと回復後の新たな旅行ニーズに対応したサービスの拡充などに注力している。具体的には、システム開発を進め、「トラベルコ」の機能強化を進めている。なお、広告宣伝費についてはほとんどの部分を削減しているため、今後はエンジニアなど開発部門の強化にリソースを割く方針だ。多くの競合他社がシステム開発を外注しているのに対し、同社ではほぼ全てのシステムを内製で開発しているため、市場トレンドに合わせながら柔軟かつ効率的な開発環境を整えられることから、旅行需要の回復に合わせて機動的にサービスを開発・展開していく。



2. 重点施策と中長期成長イメージ
(1) トラベルコ
2022年3月期の重点施策としては、コロナ禍収束後の新たな旅行商品及び関連情報を拡充することで、競合サイトとの差別化を図り、一段と競争力を高めていく方針となっている。同社が予想している旅行需要の回復局面(ワクチン接種が順調に進めば国内旅行は2021年末に向けて)では、これらの取り組みの成果が顕在化するものと期待される。

機能面では、横断比較サービスのメニューを拡大(民泊、旅行保険、アウトドア等)するほか、各メニューのクチコミ・評価サービス拡充や国内外の人気スポットの観光情報を拡大していく。

なお同社では、不確実な要素が多く業績の予測は困難だがワクチン接種浸透後の旅行需要について、国内需要は2021年末、海外需要は2022年以降の回復を予想しており、回復期の需要をすぐに取り込める体制整備を進めるとともに、エンジニアなどの人員を増強し開発力増強に注力する方針である。

(2) TRAVELKO
海外版の「TRAVELKO」については、アプリ版の開発を着実に進めている段階である。現地大手旅行サイトとの連携強化を進め価格競争力を高めることで、旅行市場が回復すれば海外ユーザーの増加により様々な需要を取り込むことが可能となる。

そのほか、新型コロナウイルス感染症関連情報の強化に加えて、UIのローカライゼーション強化、インバウンド情報サイトに対するシステム提供も引き続き取り組んでいく。

(3) 中長期の成長イメージ
2022年3月期はコロナ禍の影響により成長が鈍化する可能性が高いものの、コロナ禍収束後に旅行需要が戻れば、再び年率20%以上の売上成長を目指していくことになる。旅行市場全体では、Go To トラベルキャンペーンによって盛り返した経緯もあることから、人々の潜在的な旅行ニーズは高まりつつある。このことからも、コロナ禍収束後に旅行需要は再度盛り返すことが期待される。

旅行業界のEC化率はほかの業界と比較して高いと言われているが、ミドル層やシニア層での開拓余地は大きい。こうした世代では利便性の良いサイト作りがより重要になってくると思われ、AIの活用や動画コンテンツの導入、クチコミ・評価サービスの一層の拡充なども今後進んでいくものと弊社では予想している。旅行ジャンルについても、民泊やクルーズ船旅行、レストラン予約など依然開拓余地は大きい。また、海外ユーザーの取り込みに成功すれば、一気に成長ポテンシャルも高まるだけにその動向は注目される。海外では様々な旅行ジャンルをまとめて横断検索できる比較サイトはほとんどないだけに、普及余地は大きい。こうした戦略を推進していくことで、旅行比較サイトで世界トップ企業を目指していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)




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