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テリロジー Research Memo(1):売上高100億円実現に向けた道筋を示す新中期経営計画を発表

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要と事業内容
テリロジー<3356>は、1989年7月の創業以来、IPネットワーク関連製品やネットワークセキュリティ分野の最先端製品及びソリューションの提供を行ってきたIT企業であり、現在は連結子会社4社(孫会社含む)、持分法非適用の関連会社1社を傘下に持つ企業グループを形成している。

企業理念は「常にお客様のニーズに対応し、お客様の満足を実現する」であり、平成時代には「In collaboration with customer」というスローガンのもとで、インターネット社会の構築・発展に資するべく事業領域を拡大し、令和時代を迎えた今、「No.1 in Quality」を新たなスローガンに掲げ、生産性向上や働き方改革、インバウンド関連、ウィズコロナ下での新しい生活様式といった時代のニーズに対応したソリューション提供にも取り組んでいる。

同社の企業沿革からは、企業向けIPネットワーク事業を祖業に、ブロードバンド、モバイル、サイバーセキュリティといった時代のトレンドにいち早く気付き、事業領域を拡大してきた姿が読み取れる。また、同社は自社の強みを、1)目利き力と市場対応力、2)ソリューションラインナップ、3)サービス提供の多様性、4)実績に裏打ちされた技術力、5)グローバル対応力、としている。とりわけ「目利き力と市場対応力」は同社の特徴であるパートナリング戦略に生かされており、すべての強みのベースとなるコアコンピタンスだと考えられる。

現在は、製品・サービス別に「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開、24時間365日の保守体制や直販と間接販売を組み合わせた優れたディストリビューション機能を整備していることが特徴となっている。

2. 2021年3月期業績はコロナ禍においても過去最高利益を更新して着地
2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.1%増の4,701百万円、営業利益が同104.7%増の540百万円、経常利益が同88.5%増の543百万円となった。営業利益率は11.5%と売上原価率の改善を主因に前期比5.0ポイントの大幅向上を実現、受注面を見ても期中受注高が前期比36.8%増の5,455百万円、期末受注残高は前期末比250.1%増の1,055百万円へと積み上がり、極めて順調な内容であった。売上高こそ創業来最高(2005年3月期6,364百万円)に届かなかったものの、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)においても各利益は揃って過去最高を更新した。

財務体質についても、健全性を維持している。2021年3月期末の自己資本比率は46.6%(前期末は53.9%)、流動比率は169.9%(同209.4%)と低下したものの、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.13倍(同0.17倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は2,070百万円(同1,508百万円)と一段と良化しており、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金についても502百万円(同156百万円)となり配当余力は拡充方向にある。

3. 同社による2022年3月期業績予想は保守的
同社は2022年3月期の連結業績予想について、売上高が前期比10.6%増の5,200百万円、営業利益が同68.5%減の170百万円とする期初計画を公表した。「収益認識に関する会計基準」の適用開始による影響を踏まえた減益予想と言えようが、前提となる営業利益率3.3%は同社の実力値(7%程度)に対してあまりに保守的に見える。なお、期末配当は1株当たり5円配当の継続を予定している。

4. 売上高100億円への道筋が示された新中期経営計画
同社は、「中長期的かつ持続可能な企業価値の向上に向けた広報・宣伝活動の施策を行うとともに、企業価値の極大化を図っていく」ことを明言している。2021年5月、その一環として新たな「3カ年中期経営計画」(以下、新中計)が発表された。

2022年3月期を初年度とする新中計には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が盛り込まれ、内容的には売上高100億円実現に向けての道筋を示すものとなっている。

■Key Points
・ 同社は、創業来30年の実績を積み重ねるITソリューション企業。現在は連結子会社4社(孫会社含む)と持分法非適用の関連会社1社を傘下に持つ企業グループを形成し、「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開している
・企業沿革からは、時代のトレンドを的確に捉え、事業戦略のフォーカスエリアを巧みに変遷させてきた実績が読み取れる
・コアコンピタンスは「目利き力と市場対応力」、パートナリング戦略にも生かされている
・2021年3月期業績はコロナ禍のもとでも4期連続での増収増益を達成
・同社による2022年3月期業績予想は保守的に見える
・2021年5月に発表された新中計は売上高100億円実現に向けての道筋を示す内容となっている

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)




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