オプティム Research Memo(1):2つのDX領域に積極的な投資を遂行することで、指数関数的な成長を追求
[21/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
オプティム<3694>は、現代表取締役社長の菅谷俊二(すがやしゅんじ)氏が佐賀大学学生時代である2000年に友人らと起業したAI・IoT技術を得意とするベンチャー企業である。“ネットを空気に変える”がミッションであり、「OPTiM Cloud IoT OS」のデファクトスタンダード化を通じて、第4次産業革命の中心的役割を果たす企業を目指している。従業員数は585名(2021年4月)で、その約7割がエンジニアである。当初から世の中にないサービスを作り出すことを念頭に技術開発を行っており、関連の特許を数多く所有している。大手企業のパートナーは数多く、同社の技術力やポテンシャルは内外からも高く評価されている。2014年に東証マザーズ上場、2015年には東証1部に昇格した。
1. 事業内容
同社の事業は、「Optimal Biz」を主体とする既存事業と、「OPTiM Cloud IoT OS」を活用した事業や商品である新規事業に分けられる。主力サービスである「Optimal Biz」は、企業向けのスマートフォン・タブレット・パソコン・IT機器などのセキュリティ対策や一括設定の分野で必要不可欠なサービスで、成長する国内MDM(Mobile Device Management)市場でシェア1位を継続している。また、ストック型のビジネスモデルであり、この安定収益が同社の開発投資を支えている。2016年にはデバイス管理の「Optimal Biz」を進化させ、AI・IoTの新プラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」が完成し、ITを使って業界に変革を起こす「〇〇×IT(〇〇に業種が入る)」の取り組みが本格化した。最も成果が顕在化しているのは建設業界である。2017年にはコマツ<6301>を含む4社で建設生産プロセスの新プラットフォーム「LANDLOG」がスタートし、パートナー企業及び顧客が増え続けている。農林水産業では、2016年に農業分野でドローンを活用した害虫駆除の実証実験に成功した。2018年には同社が主導する“スマート農業アライアンス”が全国規模で行われ、米や大豆を始めとする作物が本格的に収穫された。また、学習済みのパッケージサービス「OPTiM AI Camera」製品群は、手軽にAI・IoTを活用できる月額課金プロダクトであり、顧客の導入ハードルを下げることに成功したことにより、普及が進んでいる。創業来、知財戦略に基づく豊富な技術力及び事業創造力を背景に、常に革新的なサービスを提供し新しい市場を開拓してきた。国内市場ではシェア1位のサービスを擁し、豊富なライセンス収益を基盤としたビジネスモデルを確立している。また、近年ではAI・IoT・Big Dataのマーケットリーダーとして、各産業のトッププレイヤーと強固なビジネスディベロップメントを推進している。
2. 業績動向
2021年3月期業績は、売上高が前期比11.7%増の7,517百万円、経常利益が同671.0%増の2,000百万円となり、創業来21期連続の増収とともに過去最高益を達成した。また、同社では2021年3月期を「研究開発投資の回収が始まる期」と位置付けているが、公約どおりの大幅増益となった。売上高の伸長をけん引したのは、74.3%の売上構成を占めるライセンス売上である。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)において、テレワーク需要による管理端末数の増加やそれに伴うサポート需要を取り込むことが出来たことにより、「Optimal Biz」や「Optimal Remote」等のライセンス売上が好調に推移した。また、大幅増益の主な要因は、収益性の高いライセンス売上が好調に推移したことや、「OPTiM Cloud IoT OS」を中心としたソフトウェア資産計上が開始されたことなどによる。
3. 成長戦略・トピックス
同社は、過去数年間において研究開発に注力し「OPTiM Cloud IoT OS」による〇〇×ITの推進や「OPTiM AI Camera」をはじめとする新サービスを立ち上げることで、さまざまな業界で成果を挙げてきた。引き続き〇〇×ITを推進していく方向性のなかで、コロナ禍により特性の異なる2つのDXが大きく発展していることから、デジタル化を「Industrial DX」「Corporate DX」と2つに分類し、新たな市場を開拓する方針としている。潜在市場開拓に向けた主な投資とその用途として同社は、1) 〇〇×ITのさらなる推進による接続デバイス、産業拡大に向けた投資、2) 産業用キラーサービス開発に向けた投資、3) 18万社の顧客基盤への「Corporate DX」新サービス開発に向けた投資、4)これらを実現するためのAI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」への投資、5) これらを実現する優秀な人材へのさらなる投資、の5つを挙げている。同社は2021年3月期より利益回収フェーズに入ったが、守りに入る姿勢は一切ない。今後も一定の利益を確保しながら、より積極的な成長投資を継続する方針である。目指す成長イメージは、第二弾のさらなる積極的な投資による指数関数的な成長の継続である。
4. 今後の見通し
2022年3月期の連結業績については、コロナ禍の影響により、新規ビジネス導入時のカスタマイズ案件の進捗が不透明なため、売上高及び各利益ともにレンジ予想となった。売上高で前期比10.0%増〜20.0%増の8,269百万円〜9,020百万円、営業利益で同38.0%減〜10.6%増の1,121百万円〜2,000百万円を見込んでいる。2021年3月期に投資回収が始まったが、今後も第4次産業革命の中心的な企業になるべく、潜在市場規模160兆円の開拓に向けた積極的な研究開発投資を継続する計画である。売上高に関しては、創業来22期連続となる過去最高売上高を目指す。既存サービスに加え、「Industrial DX」「Corporate DX」の新たなサービスの売上を見込むことで前期比20%増程度の成長率を確保できるものとしているものの、コロナ禍の影響により、新規ビジネス導入の際のカスタマイズ案件の進捗が滞った場合は売上にも影響が及ぶと考えており、同10.0%増〜20.0%増のレンジ形式での開示となった。利益に関しては、積極的な成長投資を行うことを前提としながら、コロナ禍によりニーズが急拡大する「Corporate DX」及び「〇〇xIT」のキラーサービスが出始めた「Industrial DX」の両面での取り組みを進める。特に「Corporate DX」は緊急性が高いため、迅速な投資を実施する方針である。
■Key Points
・MDM市場及びAIソリューション市場(5部門)でシェア1位。AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用し、建設・農業・医療などで多数の実績
・2021年3月期は、創業来21期連続増収及び過去最高益を達成。コロナ禍におけるテレワーク需要を受け、主力の「Optimal Biz」ライセンスが好調に推移
・「Industrial DX」「Corporate DX」の2つのDX領域に積極的な投資を遂行することで、指数関数的な成長を追求
・2022年3月期は積極的な成長投資を継続することを前提に、創業来22期連続増収及び営業利益率13%〜22%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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オプティム<3694>は、現代表取締役社長の菅谷俊二(すがやしゅんじ)氏が佐賀大学学生時代である2000年に友人らと起業したAI・IoT技術を得意とするベンチャー企業である。“ネットを空気に変える”がミッションであり、「OPTiM Cloud IoT OS」のデファクトスタンダード化を通じて、第4次産業革命の中心的役割を果たす企業を目指している。従業員数は585名(2021年4月)で、その約7割がエンジニアである。当初から世の中にないサービスを作り出すことを念頭に技術開発を行っており、関連の特許を数多く所有している。大手企業のパートナーは数多く、同社の技術力やポテンシャルは内外からも高く評価されている。2014年に東証マザーズ上場、2015年には東証1部に昇格した。
1. 事業内容
同社の事業は、「Optimal Biz」を主体とする既存事業と、「OPTiM Cloud IoT OS」を活用した事業や商品である新規事業に分けられる。主力サービスである「Optimal Biz」は、企業向けのスマートフォン・タブレット・パソコン・IT機器などのセキュリティ対策や一括設定の分野で必要不可欠なサービスで、成長する国内MDM(Mobile Device Management)市場でシェア1位を継続している。また、ストック型のビジネスモデルであり、この安定収益が同社の開発投資を支えている。2016年にはデバイス管理の「Optimal Biz」を進化させ、AI・IoTの新プラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」が完成し、ITを使って業界に変革を起こす「〇〇×IT(〇〇に業種が入る)」の取り組みが本格化した。最も成果が顕在化しているのは建設業界である。2017年にはコマツ<6301>を含む4社で建設生産プロセスの新プラットフォーム「LANDLOG」がスタートし、パートナー企業及び顧客が増え続けている。農林水産業では、2016年に農業分野でドローンを活用した害虫駆除の実証実験に成功した。2018年には同社が主導する“スマート農業アライアンス”が全国規模で行われ、米や大豆を始めとする作物が本格的に収穫された。また、学習済みのパッケージサービス「OPTiM AI Camera」製品群は、手軽にAI・IoTを活用できる月額課金プロダクトであり、顧客の導入ハードルを下げることに成功したことにより、普及が進んでいる。創業来、知財戦略に基づく豊富な技術力及び事業創造力を背景に、常に革新的なサービスを提供し新しい市場を開拓してきた。国内市場ではシェア1位のサービスを擁し、豊富なライセンス収益を基盤としたビジネスモデルを確立している。また、近年ではAI・IoT・Big Dataのマーケットリーダーとして、各産業のトッププレイヤーと強固なビジネスディベロップメントを推進している。
2. 業績動向
2021年3月期業績は、売上高が前期比11.7%増の7,517百万円、経常利益が同671.0%増の2,000百万円となり、創業来21期連続の増収とともに過去最高益を達成した。また、同社では2021年3月期を「研究開発投資の回収が始まる期」と位置付けているが、公約どおりの大幅増益となった。売上高の伸長をけん引したのは、74.3%の売上構成を占めるライセンス売上である。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)において、テレワーク需要による管理端末数の増加やそれに伴うサポート需要を取り込むことが出来たことにより、「Optimal Biz」や「Optimal Remote」等のライセンス売上が好調に推移した。また、大幅増益の主な要因は、収益性の高いライセンス売上が好調に推移したことや、「OPTiM Cloud IoT OS」を中心としたソフトウェア資産計上が開始されたことなどによる。
3. 成長戦略・トピックス
同社は、過去数年間において研究開発に注力し「OPTiM Cloud IoT OS」による〇〇×ITの推進や「OPTiM AI Camera」をはじめとする新サービスを立ち上げることで、さまざまな業界で成果を挙げてきた。引き続き〇〇×ITを推進していく方向性のなかで、コロナ禍により特性の異なる2つのDXが大きく発展していることから、デジタル化を「Industrial DX」「Corporate DX」と2つに分類し、新たな市場を開拓する方針としている。潜在市場開拓に向けた主な投資とその用途として同社は、1) 〇〇×ITのさらなる推進による接続デバイス、産業拡大に向けた投資、2) 産業用キラーサービス開発に向けた投資、3) 18万社の顧客基盤への「Corporate DX」新サービス開発に向けた投資、4)これらを実現するためのAI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」への投資、5) これらを実現する優秀な人材へのさらなる投資、の5つを挙げている。同社は2021年3月期より利益回収フェーズに入ったが、守りに入る姿勢は一切ない。今後も一定の利益を確保しながら、より積極的な成長投資を継続する方針である。目指す成長イメージは、第二弾のさらなる積極的な投資による指数関数的な成長の継続である。
4. 今後の見通し
2022年3月期の連結業績については、コロナ禍の影響により、新規ビジネス導入時のカスタマイズ案件の進捗が不透明なため、売上高及び各利益ともにレンジ予想となった。売上高で前期比10.0%増〜20.0%増の8,269百万円〜9,020百万円、営業利益で同38.0%減〜10.6%増の1,121百万円〜2,000百万円を見込んでいる。2021年3月期に投資回収が始まったが、今後も第4次産業革命の中心的な企業になるべく、潜在市場規模160兆円の開拓に向けた積極的な研究開発投資を継続する計画である。売上高に関しては、創業来22期連続となる過去最高売上高を目指す。既存サービスに加え、「Industrial DX」「Corporate DX」の新たなサービスの売上を見込むことで前期比20%増程度の成長率を確保できるものとしているものの、コロナ禍の影響により、新規ビジネス導入の際のカスタマイズ案件の進捗が滞った場合は売上にも影響が及ぶと考えており、同10.0%増〜20.0%増のレンジ形式での開示となった。利益に関しては、積極的な成長投資を行うことを前提としながら、コロナ禍によりニーズが急拡大する「Corporate DX」及び「〇〇xIT」のキラーサービスが出始めた「Industrial DX」の両面での取り組みを進める。特に「Corporate DX」は緊急性が高いため、迅速な投資を実施する方針である。
■Key Points
・MDM市場及びAIソリューション市場(5部門)でシェア1位。AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用し、建設・農業・医療などで多数の実績
・2021年3月期は、創業来21期連続増収及び過去最高益を達成。コロナ禍におけるテレワーク需要を受け、主力の「Optimal Biz」ライセンスが好調に推移
・「Industrial DX」「Corporate DX」の2つのDX領域に積極的な投資を遂行することで、指数関数的な成長を追求
・2022年3月期は積極的な成長投資を継続することを前提に、創業来22期連続増収及び営業利益率13%〜22%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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