ミロク情報 Research Memo(1):「中期経営計画Vision2025」を発表
[21/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手である。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)を契機に社会全体のデジタル化が急速に進むなか、新規事業として中小企業等※の経営を支援する統合型DXプラットフォーム事業を育成中であり、積極的なM&A、アライアンス戦略によってプラットフォーム基盤の強化に取り組んでいる。
※年商5億円未満の中小企業・小規模事業者を想定。
1. 「中期経営計画Vision2025」の概要
同社は2021年5月に「中期経営計画Vision2025」を発表した。基本方針として、既存ERP事業については機能進化とともにサブスクリプションモデル(以下、サブスクモデル)への移行を図り、収益基盤の安定化と継続的成長を実現していくこと、また新規事業の統合型DXプラットフォームの育成に注力していくことの2点を掲げた。統合型DXプラットフォームでは中小企業等の業務効率向上や収益成長を支援する様々なサービスを提供する予定で、2026年3月期にユーザー数3.5万社、ARPU(ユーザー当たり平均売上高)1.2万円/月、売上高50億円を目標としている。最終年度となる2026年3月期の業績目標は、売上高550億円、経常利益125億円とした。経常利益は2021年3月期実績から2.8倍に拡大する。経常利益の内訳を見ると、ERP事業を中心とした単体業績で75億円(2021年3月期実績48億円)、グループ会社で25億円(同1億円)、新規事業の統合型DXプラットフォーム事業で25億円となっている。ERP事業でサブスクモデルへの移行を進めていくため、利益の伸びは中計期間の後半に加速していく格好となる。また、グループ会社では2020年4月に子会社化した組織・人事分野のコンサルティングサービスを展開する(株)トランストラクチャや、同年12月に子会社化したデジタルマーケティング支援事業、マーケティングプラットフォーム事業を展開するトライベック(株)とのシナジーが期待され、中期的な成長ポテンシャルも大きいと弊社では見ている。
2. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.0%減の34,066百万円、営業利益で同13.4%減の4,526百万円となった。コロナ禍の影響で、子会社の業績が総じて落ち込んだほか、前期のパソコン特需の反動減があったことも減収減益要因となった。ただ中堅・中小企業向けERP製品による新規顧客の開拓が進んだほか、リモートツールや小規模事業者向け会計クラウドの伸長、ERP製品のサブスクモデルの推進もあってストック型のサービス収入は前期比10.1%増となるなど、安定収益基盤の積み上げは着実に進んでいる。また同社がKPIとしているシステム導入契約売上高※の受注残(単体)も5.50カ月と期首時点から0.85カ月上積みできており、実態面では市場環境が厳しいなかでも堅調に推移したとの認識だ。
※システム導入契約売上高=ハードウェア・ソフトウェア・ユースウェアの合計売上高
3. 2022年3月期業績見通し
2022年3月期は売上高で前期比9.8%増の37,400百万円、営業利益で同11.0%減の4,030百万円と増収減益を見込んでいる。売上高については前期に実施したM&Aの効果等によるグループ会社の売上拡大が増収要因となるが、コロナ禍の影響を一定程度考慮したことや、ERP製品のサブスクモデルへの段階的移行の影響、人件費の増加等により、営業利益は減益を見込んでいる。サブスクモデルへの移行の影響を除けば増益予想になっていたものと思われ、今後コロナ禍の影響が深刻化しなければ、利益ベースでは計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用する。売上高及び営業利益の前期比については、参考として新旧基準数値を単純計算して記載した。
■Key Points
・ERP事業のサブスクモデルへの移行と統合型DXプラットフォーム事業の育成により、2026年3月期に経常利益125億円を目指す
・2021年3月期はコロナ禍の影響等により減収減益となったものの、顧客基盤の積み上げは着実に進む
・2022年3月期はサブスクモデルへの移行の影響や人件費増により増収、経常減益を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手である。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)を契機に社会全体のデジタル化が急速に進むなか、新規事業として中小企業等※の経営を支援する統合型DXプラットフォーム事業を育成中であり、積極的なM&A、アライアンス戦略によってプラットフォーム基盤の強化に取り組んでいる。
※年商5億円未満の中小企業・小規模事業者を想定。
1. 「中期経営計画Vision2025」の概要
同社は2021年5月に「中期経営計画Vision2025」を発表した。基本方針として、既存ERP事業については機能進化とともにサブスクリプションモデル(以下、サブスクモデル)への移行を図り、収益基盤の安定化と継続的成長を実現していくこと、また新規事業の統合型DXプラットフォームの育成に注力していくことの2点を掲げた。統合型DXプラットフォームでは中小企業等の業務効率向上や収益成長を支援する様々なサービスを提供する予定で、2026年3月期にユーザー数3.5万社、ARPU(ユーザー当たり平均売上高)1.2万円/月、売上高50億円を目標としている。最終年度となる2026年3月期の業績目標は、売上高550億円、経常利益125億円とした。経常利益は2021年3月期実績から2.8倍に拡大する。経常利益の内訳を見ると、ERP事業を中心とした単体業績で75億円(2021年3月期実績48億円)、グループ会社で25億円(同1億円)、新規事業の統合型DXプラットフォーム事業で25億円となっている。ERP事業でサブスクモデルへの移行を進めていくため、利益の伸びは中計期間の後半に加速していく格好となる。また、グループ会社では2020年4月に子会社化した組織・人事分野のコンサルティングサービスを展開する(株)トランストラクチャや、同年12月に子会社化したデジタルマーケティング支援事業、マーケティングプラットフォーム事業を展開するトライベック(株)とのシナジーが期待され、中期的な成長ポテンシャルも大きいと弊社では見ている。
2. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.0%減の34,066百万円、営業利益で同13.4%減の4,526百万円となった。コロナ禍の影響で、子会社の業績が総じて落ち込んだほか、前期のパソコン特需の反動減があったことも減収減益要因となった。ただ中堅・中小企業向けERP製品による新規顧客の開拓が進んだほか、リモートツールや小規模事業者向け会計クラウドの伸長、ERP製品のサブスクモデルの推進もあってストック型のサービス収入は前期比10.1%増となるなど、安定収益基盤の積み上げは着実に進んでいる。また同社がKPIとしているシステム導入契約売上高※の受注残(単体)も5.50カ月と期首時点から0.85カ月上積みできており、実態面では市場環境が厳しいなかでも堅調に推移したとの認識だ。
※システム導入契約売上高=ハードウェア・ソフトウェア・ユースウェアの合計売上高
3. 2022年3月期業績見通し
2022年3月期は売上高で前期比9.8%増の37,400百万円、営業利益で同11.0%減の4,030百万円と増収減益を見込んでいる。売上高については前期に実施したM&Aの効果等によるグループ会社の売上拡大が増収要因となるが、コロナ禍の影響を一定程度考慮したことや、ERP製品のサブスクモデルへの段階的移行の影響、人件費の増加等により、営業利益は減益を見込んでいる。サブスクモデルへの移行の影響を除けば増益予想になっていたものと思われ、今後コロナ禍の影響が深刻化しなければ、利益ベースでは計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用する。売上高及び営業利益の前期比については、参考として新旧基準数値を単純計算して記載した。
■Key Points
・ERP事業のサブスクモデルへの移行と統合型DXプラットフォーム事業の育成により、2026年3月期に経常利益125億円を目指す
・2021年3月期はコロナ禍の影響等により減収減益となったものの、顧客基盤の積み上げは着実に進む
・2022年3月期はサブスクモデルへの移行の影響や人件費増により増収、経常減益を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>