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エスプール Research Memo(5):障がい者雇用支援サービスは2ケタ成長継続(1)

注目トピックス 日本株
■エスプール<2471>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比27.2%増の7,408百万円、営業利益は同15.7%増の1,873百万円を計画している。第2四半期を終わった段階で、サービス別で進捗に差が見られるものの、大きく見直すほどではないことから特に修正は行っていない。主要サービスの計画と下期の取り組み方針については以下の通り。

a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比27.1%増の4,240百万円、営業利益は約7%の増益を見込んでいる。売上高の内訳は、設備販売で前期比20.3%増の1,645百万円、運営管理収入で同45.3%増の2,247百万円、その他(人材紹介)で同16.4%減の352百万円となる。ただし、設備販売とその他売上については、販売区画数が期初計画の1,035区画(前期比99区画増)から1,100区画程度の上振れを見込んでいることから、増収率は30%を超える見通しで、利益面でも増収効果により2ケタ台の増益になる可能性が高いと弊社では見ている。

通期の新規農園開設数は前期と同じく6農園を計画していたが、旺盛な需要に対応するため都内で屋内型1農園(板橋区)を追加で開設することにした。開設時期は2021年11月を予定している。このほか、第3四半期に千葉県で1農園(市川市)、第4四半期に大阪府で1農園(枚方市)、愛知県で1農園(長久手市)開設する。枚方市と長久手市の2農園は自治体との連携案件となる。販売区画数は第3四半期に255区画、第4四半期に371区画超となるが、長久手市の農園の開設時期によっては、既に受注済みの54区画が第3四半期に販売される可能性もある。

障がい者雇用に関する企業からの引き合いは依然旺盛なことから、農園については2022年11月期も8農園(屋外型5農園、屋内型3農園)を開設し、販売区画数で1,200区画程度を目指す考えで、売上高では20%前後の増収になることが予想される。また、同社は農業以外の新サービスの開発にも着手している。具体的には、精神障がい者を対象とした事務系業務でのサービス展開を視野に入れており、既に社内で試験的に採用し収益モデルの構築に取り組んでいる。早ければ2022年11月期中にもサービスを開始する予定だ。障がい者の適性に応じた働く場を幅広く提供することによって障がい者雇用の拡大を図り、さらなる事業拡大を目指していく。

b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前期比19.0%増の1,400百万円、営業利益は同13%の増益を見込んでいる。ただ、前述の通りEC通販発送代行業務の一部顧客で低収益案件が発生したことや、緊急事態宣言再発出の影響で百貨店向け物流センター運営代行業務の回復が遅れており、売上高、営業利益ともに計画を下回る可能性があると弊社では見ている。

期初段階ではEC通販発送代行の事業拡大のため、つくばセンターの移転を予定していたが、当面は収益性改善を優先させるべく、新物流センターへの移転は2022年11月期以降に先送りすることにした。収益悪化要因となっていた特定顧客との取引は2021年6月で終了したことから、下期は収益性も前年同期並みに回復する見込みとなっている。なお、同顧客向けの売上高は当第2四半期累計で約50百万円となっており、下期の減収要因となるが新規顧客の開拓等でカバーしていく方針となっている。また、自動化システムの導入等による生産性向上にも取り組んでいく。

また、同社はEC通販発送代行サービスにおける差別化戦略として、カーボン・ニュートラルを達成した運営センターであることを顧客企業に訴求していくことにしている。リサイクル品を使用した梱包材の使用に加えて、オフセット(クレジット購入)によりカーボン・ニュートラルを達成している。2022年11月期以降に移転する新物流センターでは、太陽光パネルの設置なども行い、オフセットなしでのカーボン・ニュートラルを実現していく計画となっている。EC通販事業者においても、環境に対する取り組みが経営の重要課題となってきていることから、新規顧客の獲得につながる取り組みとして注目される。

c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比22.0%増の690百万円、営業利益は同67%増の増益を見込んでいる。7月に入って東京都で4度目の緊急事態宣言が発出されたことにより、飲食業界向けの需要低迷が第3四半期も続く見込みだが、好調な業種を中心に新規営業を強化していくことで計画達成を目指す方針となっている。また、2021年6月よりアルバイト・パートの入退職手続き代行サービスも新たなサービスとして開始した。人事・労務業務におけるサービスメニューを拡充することで、さらなる売上拡大を図っていく戦略だ。

d) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上高は235百万円、営業利益に関してはゼロベースで計画していたが、前述したようにクレジット販売の未達により売上高は計画を若干下回る可能性がある。期初段階ではクレジット販売で約8割、コンサルティングサービスで約2割の売上を見込んでいた。一方、営業利益はCDPの回答支援案件を中心としたコンサルティングサービスの伸長により30〜40百万円の利益を確保できる見込みだ。

また、2022年11月期に向けてコンサルティング業務では、東京証券取引所で2022年4月から新たに創設されるプライム市場の上場要件となっているTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※に基づく環境開示に関する支援業務の受注獲得に注力していく方針となっている。経過措置も含めて2022年4月には1,500社超の企業がプライム市場に属することになるが、TCFDに既に対応している企業数は300〜400社程度にしか過ぎず、残り1,000社強が同社の顧客ターゲットとなる。CDPよりもさらに詳細な情報開示が必要となるため、潜在需要は大きいと見られる。コンサルティングサービスの拡大により、同事業の業績は2022年11月期に売上高で300百万円、営業利益で60百万円程度に拡大するものと弊社では見ている。

※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):企業の気候変動への取り組みや影響に関する財務情報についての開示のための枠組み。ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標などに関する情報開示がプライム市場に上場する企業に対して求められるようになる。


なお、これらコンサルティング業務に関してはコンサルタント人材のリソースに依存するビジネスモデルとなるため、将来的には企業のCO2削減を支援する脱炭素化技術や環境技術のシェアリングプログラムを開発・提供していくことで成長を加速していく戦略となっている。政府では2050年のカーボン・ニュートラル実現を方針として掲げており、今後、大企業を中心に環境経営に対する取り組みが活発化していくことが想定され、同社にとっては追い風になるものと予想される。ブルードットグリーンの現在の社長は、環境省でカーボン・クレジット制度の創設など環境政策に長く携わってきた専門家であり、トップ営業を推進することで今後のさらなる成長が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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