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すららネット Research Memo(5):オンライン学習需要拡大により39.6%営業増益。学校数、ID数も大幅増

注目トピックス 日本株
■業績動向

● 2021年12月期第2四半期業績の概要
(1) 損益状況
すららネット<3998>の2021年12月期第2四半期の業績は、売上高925百万円(前年同期比36.6%増)、営業利益259百万円(同39.6%増)、経常利益290百万円(同49.8%増)、四半期純利益201百万円(同50.0%増)となった。同社は、第2四半期については期初に予想を発表していないが、これらの結果はおおむね計画どおりだったとのことである。

コロナ禍によりオンライン学習への関心・需要が高まったこともあり、導入校数(2021年12月期第2四半期末)は1,903(前年同期末比415増)、ID数(同)は156,212(同46,240増)と順調に増加したことで、増収となった。売上総利益率は76.7%(前年同期は78.8%)と若干低下したものの、開発投資やサーバー費用の増加、BtoC売上高の増加に伴う「すらら」コーチへの支払いが増加したことなどによる。しかしながら増収により、売上総利益は709百万円(前年同期比33.0%増)となった。一方で、人員増による人件費の増加があったものの、緊急事態宣言や外出自粛要請等を受けたことによる出張費用の減少等により、販管費は450百万円(同29.4%増)となった。この結果、営業利益は前年同期の185百万円から259百万円へと増加した。なお、同社自体へのコロナ禍の影響はほとんどなかった。

営業利益の増減要因は、増収により247百万円増、売上原価の増加(主にBtoC売上増による「すらら」コーチへの支払い増加、サーバー利用料の増加、償却負担増加等)により72百万円減、広告宣伝費の増加(主にWebマーケティング費用の増加)により11百万円減、人員増による人件費(給料・手当・賞与等)の増加により31百万円減、その他経費の増加による59百万円減であった。

(2) マーケット別動向
a) 学習塾マーケット
2021年12月期第2四半期末の導入校数は1,177(前年同期末比143増)、同ID数は23,979(同352増)、売上高は369百万円(前年同期比10.6%増)となった。コロナ禍の影響もあり、既存導入塾及び新規導入塾でのオンライン学習需要が拡大し、同社の「すらら」の活用が拡大した。また「IT補助金2020」の導入支援事業者として認定されたことも追い風となった。一方で、独立開業市場は自粛要請で減速傾向となり、小規模の塾では廃業するところもあった。塾市場全体の生徒数は減少傾向にあるものの、オンライン授業の普及により校舎数は増加しているようだ。

b) 学校マーケット
2021年12月期第2四半期末の導入校数は671(前年同期末比269増)、同ID数は126,388(同45,746増)、売上高は370百万円(前年同期比86.5%増)となった。ID数の内訳は、ID課金が125,498(前年同期末比53,411増)、校舎課金が890(同7,665減)であった。なお、校舎課金に対しては営業活動を行っていないため、今後も減少が続く見込みである。

2021年12月期第2四半期末の導入校数及びID数のうち、公立学校数は430(前年同期末比244増)、同ID数は60,323(同27,783増)であった。2020年8月に経済産業省によるEdTech導入補助金の交付が決定したことに加え、文部科学省が進めるGIGAスクール構想に伴い、2020年12月期下期には自治体・公立学校からの契約が大きく増加し、2020年12月期末の契約公立学校数は861、ID課金数は289,576となった。ただし、このEdTech導入補助金は当初の計画どおり2021年3月で終了となったことから、4月以降は契約を解除する学校が増加した。このため、2021年12月期第2四半期末の導入校数・ID数は、前年同期比では増加しているが前期末比では減少している。しかしながら、この減少は当初から見込んでいるため、特に大きな懸念ではない。同社によれば「契約した公立学校全体のうち、約40%は補助金の有無にかかわらず今後も継続する意向を持っているようだが、再開する時期等については様々」とのことである。要するに、公立学校からの契約は足元ではEdTech導入補助金の動向等によって上下するが、長期的には成長する可能性があると言える。また、公立学校だけでなく、通信制学校や専門学校でも新たな導入が始まっていることから、「すらら」の市場は着実に増加していると言える。

c) BtoCマーケット
2021年12月期第2四半期末のID数は3,644(前年同期末比72増)、売上高は180百万円(前年同期比29.3%増)となった。コロナ禍による自宅学習需要の拡大と昨今社会問題として注目されつつある不登校生の自宅利用の増加により、新規申し込みが増加した。また、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングを確立しつつあることにも注目したい。

d) 海外マーケット
2021年12月期第2四半期末の導入校数は55(前年同期末比3増)、同ID数は2,201(同70増)となった。コロナ禍により、スリランカ、インドネシア、フィリピンでは現地の学校閉鎖が長期化しているが、徐々にオンラインによる家庭学習を導入する学校が増加している。また、「未来の教室」海外展開実証事業校が本契約に切替えたことも寄与した。

(3) 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2021年12月期第2四半期末の財務状況は以下のようになった。資産合計は前期末比128百万円増の1,909百万円となったが、主に現金及び預金の増加222百万円、売掛金の減少168百万円、ソフトウェア開発に伴う無形固定資産の増加59百万円などによる。負債合計は同101百万円減の394百万円となったが、主に未払金の減少59百万円、未払法人税等の減少91百万円、前受金の増加87百万円などによる。純資産合計は同230百万円増の1,514百万円となったが、主に四半期純利益の計上による利益剰余金の増加201百万円による。

また、2021年12月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは360百万円の収入となったが、主な収入は税引前四半期純利益290百万円、減価償却費67百万円、売上債権の減少168百万円などで、主な支出は仕入債務の減少37百万円、未払消費税等の減少44百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは149百万円の支出であったが、主にソフトウェアを中心とした無形固定資産の取得による支出147百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは11万円の収入であったが、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入11百万円であった。

この結果、2021年12月期第2四半期の現金及び現金同等物は222百万円の増加となり、四半期末残高は1,175百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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