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GMOペパボ Research Memo(11):2021年12月期下期は「SUZURI」と「minne」の売上拡大へ

注目トピックス 日本株
■GMOペパボ<3633>の今後の見通し

2. 主要事業の見通し
(1) ホスティング事業
ホスティング事業の売上高は前期比3.6%増の4,733百万円、営業利益は同3.8%増の1,413百万円を計画している。第2四半期までの進捗率は売上高で50.4%、営業利益で49.0%と順調に進捗している。このうち、「ロリポップ!」については契約件数で前期末比2.2%増の426千件、顧客単価についても緩やかながら上昇傾向が続き、1ケタ台の増収増益となる見通しだ。一方、「ムームードメイン」については、契約件数の減少が続く可能性はあるものの顧客単価の上昇によって増収増益を見込んでいる。

(2) EC支援事業
EC支援事業は、売上高で前期比41.6%増の5,762百万円、営業利益で同10.8%増の1,343百万円を計画している。第2四半期までの進捗率は「SUZURI」の伸び悩みにより、売上高で42.4%、営業利益で42.3%とやや低い。

「カラーミーショップ」については、期初段階で契約件数を前期比横ばい水準と見込んでいたが、フリープランの導入によって増加トレンドに転じる見通しだ。ただ、有料プランの契約件数はフリープラン導入によって微減傾向が続くものと予想される。フリープランから獲得する収益に関しては、まだ契約件数が少ないため軽微となるものの、流通額拡大(前期比10〜15%増を想定)に伴う決済手数料の増加や、アプリ契約件数の増加等による顧客単価の上昇により1ケタ台の増収増益を見込んでいる。

主な売上拡大施策としては、2021年4月よりクレジットカード等の決済システム導入のための審査期間を迅速化し、申込から1日で決済サービスが利用できるようにし、ネットショップ開業までの期間を大幅に短縮した。従来は、申込から利用開始まで平均13日を要しており、即日から利用可能な他社サービスに対して劣っていたが、今回の施策によって、新規契約獲得面でのプラス効果が期待される。また、2021年6月30日より、「Amazon」への出品と受注情報などを一元管理できるアプリ「Amazon連携」※の提供を開始した。同アプリを導入することで顧客は「カラーミーショップ」上で販売する商品を「Amazon」にも出品することができるほか、「カラーミーショップ」の管理画面上で受注情報を一元管理でき、業務負担の軽減が図れることになる。同アプリの投入によって、アプリ関連の売上増が期待される。

※月額基本料1,100円(税込)に受注件数に応じた従量料金を加算。受注件数5件までは110円(税込)で、6件目以降は1件につき22円(税込)。


そのほか、地方銀行や全国商工連合会、(株)商工組合中央金庫等との連携を通じて、各地域の商店街を営む事業者に対して、「カラーミーショップ」の導入提案を進めていく。従前も同様の取り組みを進めていたが、有料プランのみのサービス提供であったことや、対象者がインターネットの初心者層であったため連携の効果はほとんどなかったが、今回、フリープランを導入したことで、利用するにあたっての心理的なハードルは下がるとみられ、連携先と共同でのオンラインセミナーやワークショップを通じて、契約件数の積み上げを図り、また、地方の中小企業のEC化を支援していく考えだ。

「SUZURI」については、流通額で前期比80%増の44億円を目指していたが、前述の通り下回る可能性が高くなっている。第3四半期の流通額については、前四半期比で1割前後の増加とほぼ前年と同様の動きとなる見通しだ。同社では下期の拡大施策として、Tシャツセールの期間延長や新規アイテムの追加を継続し、サイト来訪者の増加に取り組んでいくほか、会員化を図るため、会員登録時のクーポン発行や会員限定の送料無料キャンペーンなどの追加施策を実施していく予定にしている。こうした取り組みにより、下期のDAUを上期実績の2,230万人から500万人以上増やしていくほか、会員数についても上期末の87万人から30万人以上の積み上げを目指していく。同社のデータによると、商品の購入率は会員のほうが非会員よりも高いため、会員数を増やしていくことが流通額の拡大につながると見ている。

(3) ハンドメイド事業
ハンドメイド事業は、流通額で前期比26.2%増の188億円、売上高で同25.5%増の2,498百万円、営業利益で同89.1%増の428百万円を計画していたが、第2四半期までの進捗率を見ると、流通額で40.9%、売上高で39.8%、営業利益で32.7%と低水準となっている。

同社では下期の売上拡大施策として、Web経由での来訪者数増加や、サイトの利便性向上に向けた検索機能や絞り込み機能の強化に加えて、CVR(購入率)向上を図るためアクティブユーザーに対して、アプリのインストールを促す取り組みを進めていく。アプリ会員になれば、プッシュ通知により様々な販促施策が打てるようになり、CVRの向上が期待できるためだ。これら施策によって、下期はDAUで対上期比15.0%増、CVRで同0.2ポイントの改善を目指していく。期初計画の達成は厳しいが、下期にどの程度挽回できるかで2022年12月期以降の成長期待も変わってくるため、今後の動向が注目される。

(4) 金融支援事業
金融支援事業の売上高は前期比55.7%増の199百万円、営業損失は200百万円(前期は299百万円の損失)を計画している。第2四半期までの売上高の進捗率は、47.3%と順調に推移している。コロナ禍が続いており外部環境は依然厳しいものの、API連携やOEM提供などの拡充により請求書買取額で前期比34%増の22億円(第2四半期までの進捗率は55%)を目指す。請求額買取額よりも増収率が上回るのは、手数料率の見直しや外部連携の拡大による固定料金収入の積み上げ等を見込んでいるためだ。利益面では、増収効果に加えて債権回収率の向上や固定費削減等が改善要因となる。外部環境がまだ不透明なため、プロモーションについては引き続き抑制し、環境が好転した段階で積極姿勢に転じる方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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