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フォーバル Research Memo(3):フォーバルビジネスグループ、フォーバルテレコムビジネスグループが2本柱

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. フォーバルビジネスグループ
フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。主力事業は、コンサルティングサービスであるアイコンサービスのほか、創業以来手掛けているビジネスフォンの販売を始めとする情報通信機器やOA機器の販売だ。情報機器や通信サービスを接点としてアイコンサービス・よろず経営相談へ導き、さらに次世代経営コンサルティングでより深い解決策を提案するという一連の流れで、中小企業の多様なニーズに対応する体制が整備されている。フォーバル<8275>のコンサルティングの特色は5分野(情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継)と3手法(売上拡大、業務効率改善、リスク回避)に整理される。2022年3月期第1四半期の業績は、「アイコンサービス」が順調に増加し売上高で5,112百万円(前年同期比15.3%増)の増収、セグメント利益で85百万円(同27.4%増)となった。

2. アイコンサービス:中小企業支援サブスクリプション型コンサルティングサービス
同社の最も注目すべき事業は、2008年に導入されたアイコンサービスだろう。アイコンのアイは、information(情報)、imagination(想像力)、idea(アイデア)、identity(独自性)、intelligence(知力)、innovation(革新)を起源とするコンサルティングサービスである。定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特徴である。

アイコンサービスの基本構成は、よろず経営相談サービス、定期訪問や通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問い合わせサービス、顧客専用サイトとなっている。メニューとして、経営コンサルティング系、個人情報管理系、パソコン・ネットワーク系、スマートフォン・パッド系、ホームページ系、電話系、コピー系の幅広いサービスを提供する。現在のアイコンサービスの平均客単価は、月額10,000円程度であり、他のサービスへの入り口と位置付けているため、設定金額は低めである。同サービスは、自社の“企業ドクター”が行うのが基本であったが、OEM展開(パートナーの販売会社によるサービス)が大きく伸びている。アイコンサービスの全顧客数37,823件(2021年3月末時点)のうちOEM経由の顧客が20,772件(同)であり、自社販売(17,051件)を追い抜いた。コロナ禍において中小企業の働き方改革が待ったなしとなるなか、同社の一連のソリューション(コンサル、システム、空間づくなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。アイコンサービスはそれ自体が粗利率の高いサービスであるが、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。最近、アイコンサービスの一環としてリリースされたサービスには、スマホなどから簡便かつ安価に勤怠管理を行えるクラウド型勤怠管理システム「IEYASU」や業務フローの見直し・マニュアル化を行い、ペーパーレス化・標準化で業務の効率性を高めるコンサルティングサービス「PPLS(ププルス)」、AIを用いて新規顧客開拓を支援する「ビジネスセールスマネジメント」、電子契約サービス「シムワーク」などがある。これらのサービスは、働き方改革を行う大前提となる勤務実態を可視化するとともに、生産性のより高い働き方への変革を支援するものである。メニューの充実に伴い、顧客件数と顧客単価の両方が伸び、アイコンサービス売上高は順調に成長している。

3. フォーバルテレコムビジネスグループ
フォーバルテレコム<9445>を中心にVoIP(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)・FMC(サービス名「どこでもホン」)などのオリジナルな通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷及び保険サービスなどを提供する。また、一括請求する「ワンビリングサービス」を通じて企業のコスト削減や事業効率向上を支援している。直近では、ISPサービス等が減収になるなかで、新電力サービスが伸びている。2022年3月期第1四半期の業績は、売上高で4,918百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益で201百万円(同4.2%増)と堅調である。

4. 総合環境コンサルティングビジネスグループ
(株)アップルツリーがスマートグリッド設備機器の商社事業(太陽光システム、オール電化、蓄電池、HEMS)と太陽光発電システム(住宅用、産業用)の設計、施工、販売事業を主に行ってきた。太陽光発電システムに関しては、再生可能エネルギー特別措置法改正(FIT法改正、2017年4月)の影響を受け、販売は停滞期に入った。それを補うべくLED照明や蓄電池の拡販を積極化し、現在では事業構造の転換が成功した。LED事業については、国内生産で高品質なLEDを提供する工場を持つ。LEDは部屋を明るくするだけでなく、節電効果で経費削減にもつながるうえに10年保証も付くことから、導入のメリットは大きく、今後の拡大が期待される。近年は増収増益が続いてきたが、コロナ禍の影響で訪問営業が制限され、売上が低調となった。2022年3月期第1四半期の業績は、売上高で791百万円(前年同期比31.4%減)、セグメント損失12百万円(前年同期は3百万円の損失)と減収減益である。

5. その他の事業グループ(人材・教育・IT分野)
人材・教育分野の強化のため、通信教育事業、書籍の出版・販売事業を手掛ける(株)アイテックと、IT分野のエンジニア及び管理者の育成、東南アジアにおける現地幹部候補・留学生の人材紹介・派遣などの事業を行うクリエーティブソリューションズが合併し、新会社としてアイテックが2018年4月に発足した。旧アイテックは情報処理技術者や個人情報保護士の養成を得意とし、eラーニングでのサービス提供ができる強みがあり、クリエーティブソリューションズは大手通信会社などを顧客に持ち、安定した需要が特長である。2020年6月には、システム企画・設計を得意とするカエルネットワークス(株)がフォーバルの完全子会社となり業績に貢献する。コロナ禍においては集合研修サービスが打撃を受けるものの、ITエンジニアの派遣やシステム企画・開発は成長を続けている。2022年3月期第1四半期の業績は、売上高で499百万円(前年同期比41.9%増)、セグメント利益で77百万円(同127.1%増)とM&Aの効果もあり大幅な増収増益である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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