エーバランス Research Memo(1):2021年6月期業績はVSUN連結化により過去最高業績を更新
[21/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
Abalance<3856>グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。2020年11月にはベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を子会社化し、大きく業容を拡大している。今後も風力発電や自家消費型太陽光発電、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業、水素エネルギー貯蔵システムの開発などグリーンエネルギーの事業領域拡大とグローバル展開を推進し、高成長を目指していく。
VSUNの太陽光パネルの生産能力について同社は2.6GWと世界上位16社に入る日系では最大メーカーになったとしている。主要販売地域は欧米となるが、今後はベトナム現地法人として関税減免の恩恵があるASEAN地域や日本での販売拡大も見据えて生産能力を2030年に8GWまで拡大していく計画を立てており、連結業績をけん引していくものと期待される。ベトナム株式市場への早期IPOに向けた準備を進めているが、株式上場後も同社グループとの連結を維持していく方針だ。また、2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入され、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化と企業価値の向上につながるプライム市場入りの早期実現を目指していく。
1. 2021年6月期業績概要
2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比302.8%増の26,901百万円、営業利益で同276.5%増の1,361百万円、経常利益で同315.6%増の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同154.4%増の537百万円と大幅増収増益となり過去最高業績を更新した。2021年6月期第2四半期よりVSUNの業績が連結に組み込まれたことにより、売上高で21,013百万円、営業利益で731百万円の上乗せ要因となったことが主因だ。既存事業に関してはグリーンエネルギー事業のビジネスモデルを太陽光発電所の販売(フロー型ビジネス)から保有による売電収入(ストック型ビジネス)に軸足を移していることで、売上高は前期比11.8%減の5,888百万円となったものの、営業利益に関しては同74.5%増の630百万円と2ケタ増益を達成している。
2. 今後の見通し及び成長戦略について
2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比30.1%増の35,000百万円、営業利益で同2.9%増の1,400百万円、経常利益で同12.6%増の1,430百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同59.6%増の858百万円を見込む。地球温暖化対策として再生可能エネルギー導入への取り組みが世界的に進むなかで、同社にとって市場環境は追い風が続くが、コロナ禍の収束がいまだ見えないことから業績計画ではこうしたリスクを考慮した保守的な計画となっている。
グリーンエネルギー事業は、2ケタ増収増益となる見通しで、2022年6月期も太陽光発電所の分譲販売を継続しつつ、発電所の自社保有化並びにM&Aによる新規取得を積極的に推進していく方針だ。2022年12月以降には、大型発電所となる大和町・大衡村太陽光発電所(年間想定売電収入5.3億円)が稼働予定となるなど、来期以降の売電収入は20億円超を射程圏に捉えている。
新規事業としては、風力発電所開発や非FIT型ビジネスモデル(PPAモデル※1)、自家消費型太陽光発電(蓄電池設置含む)、省エネルギーに係る各種サービスの提供を行うESCO事業※2等において、ワンストップソリューションを形成する強みを生かして、着実に事業を進めていく。2021年6月に新規設立のしたバーディフュエルセルズ(合)では、水素エネルギー貯蔵システムの開発を企図した開発投資を実行していく計画のほか、2021年3月に新設したPV Repower(株)では、太陽光パネルのリユース・リサイクル等に係る事業に着手する。
※1 PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行い、需要家からの売電収入によって収益を獲得するモデル。
※2 ESCO(Energy Service Company)事業とは、顧客に省エネルギー効果をもたらす改修などのサービスを提供し、削減した分の費用から賄う形態のこと。
太陽光パネル製造事業では、従前の欧州向けのほか米国向けの販売をさらに強化させるとともに、脱炭素化の流れが欧米からアジア諸国にも広がりを見せていくと予測される。ベトナムでは、コロナ禍が続くなかで政府による外出規制が懸念されるなど、依然その影響を少なからず受けていることも考慮のうえ、太陽光パネル製造事業を行っているVSUN(Vietnam Sunergy Joint Stock Company)の業績を見込んでいるもようである。ただ、欧米市場で太陽光パネルの需要が旺盛な状況に変わりはないことから、コロナ禍が収束し生産や物流体制が完全に正常化すれば、計画を上回ることも十分期待される。
■Key Points
・「グリーンエネルギー事業」と新たに加わった「太陽光パネル製造事業」を両輪とした再生可能エネルギーの総合カンパニー
・2021年6月期業績はVSUNの新規連結効果により大幅増収増益を達成
・2022年6月期業績はコロナ禍が続くなか保守的な計画を策定
・再生可能エネルギーの世界的な需要拡大を成長機会と捉え、積極的な事業展開を進めていく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
Abalance<3856>グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。2020年11月にはベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を子会社化し、大きく業容を拡大している。今後も風力発電や自家消費型太陽光発電、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業、水素エネルギー貯蔵システムの開発などグリーンエネルギーの事業領域拡大とグローバル展開を推進し、高成長を目指していく。
VSUNの太陽光パネルの生産能力について同社は2.6GWと世界上位16社に入る日系では最大メーカーになったとしている。主要販売地域は欧米となるが、今後はベトナム現地法人として関税減免の恩恵があるASEAN地域や日本での販売拡大も見据えて生産能力を2030年に8GWまで拡大していく計画を立てており、連結業績をけん引していくものと期待される。ベトナム株式市場への早期IPOに向けた準備を進めているが、株式上場後も同社グループとの連結を維持していく方針だ。また、2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入され、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化と企業価値の向上につながるプライム市場入りの早期実現を目指していく。
1. 2021年6月期業績概要
2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比302.8%増の26,901百万円、営業利益で同276.5%増の1,361百万円、経常利益で同315.6%増の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同154.4%増の537百万円と大幅増収増益となり過去最高業績を更新した。2021年6月期第2四半期よりVSUNの業績が連結に組み込まれたことにより、売上高で21,013百万円、営業利益で731百万円の上乗せ要因となったことが主因だ。既存事業に関してはグリーンエネルギー事業のビジネスモデルを太陽光発電所の販売(フロー型ビジネス)から保有による売電収入(ストック型ビジネス)に軸足を移していることで、売上高は前期比11.8%減の5,888百万円となったものの、営業利益に関しては同74.5%増の630百万円と2ケタ増益を達成している。
2. 今後の見通し及び成長戦略について
2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比30.1%増の35,000百万円、営業利益で同2.9%増の1,400百万円、経常利益で同12.6%増の1,430百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同59.6%増の858百万円を見込む。地球温暖化対策として再生可能エネルギー導入への取り組みが世界的に進むなかで、同社にとって市場環境は追い風が続くが、コロナ禍の収束がいまだ見えないことから業績計画ではこうしたリスクを考慮した保守的な計画となっている。
グリーンエネルギー事業は、2ケタ増収増益となる見通しで、2022年6月期も太陽光発電所の分譲販売を継続しつつ、発電所の自社保有化並びにM&Aによる新規取得を積極的に推進していく方針だ。2022年12月以降には、大型発電所となる大和町・大衡村太陽光発電所(年間想定売電収入5.3億円)が稼働予定となるなど、来期以降の売電収入は20億円超を射程圏に捉えている。
新規事業としては、風力発電所開発や非FIT型ビジネスモデル(PPAモデル※1)、自家消費型太陽光発電(蓄電池設置含む)、省エネルギーに係る各種サービスの提供を行うESCO事業※2等において、ワンストップソリューションを形成する強みを生かして、着実に事業を進めていく。2021年6月に新規設立のしたバーディフュエルセルズ(合)では、水素エネルギー貯蔵システムの開発を企図した開発投資を実行していく計画のほか、2021年3月に新設したPV Repower(株)では、太陽光パネルのリユース・リサイクル等に係る事業に着手する。
※1 PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行い、需要家からの売電収入によって収益を獲得するモデル。
※2 ESCO(Energy Service Company)事業とは、顧客に省エネルギー効果をもたらす改修などのサービスを提供し、削減した分の費用から賄う形態のこと。
太陽光パネル製造事業では、従前の欧州向けのほか米国向けの販売をさらに強化させるとともに、脱炭素化の流れが欧米からアジア諸国にも広がりを見せていくと予測される。ベトナムでは、コロナ禍が続くなかで政府による外出規制が懸念されるなど、依然その影響を少なからず受けていることも考慮のうえ、太陽光パネル製造事業を行っているVSUN(Vietnam Sunergy Joint Stock Company)の業績を見込んでいるもようである。ただ、欧米市場で太陽光パネルの需要が旺盛な状況に変わりはないことから、コロナ禍が収束し生産や物流体制が完全に正常化すれば、計画を上回ることも十分期待される。
■Key Points
・「グリーンエネルギー事業」と新たに加わった「太陽光パネル製造事業」を両輪とした再生可能エネルギーの総合カンパニー
・2021年6月期業績はVSUNの新規連結効果により大幅増収増益を達成
・2022年6月期業績はコロナ禍が続くなか保守的な計画を策定
・再生可能エネルギーの世界的な需要拡大を成長機会と捉え、積極的な事業展開を進めていく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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