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テリロジー Research Memo(1):1989年創業のITソリューションプロバイダー

注目トピックス 日本株
■要約

1. 1989年創業のITソリューションプロバイダー
テリロジー<3356>は、1989年7月の創業以来、IPネットワーク関連製品やネットワークセキュリティ分野の最先端製品及びソリューションの提供を行ってきたIT企業であり、現在は連結子会社4社(孫会社含む)、持分法非適用の関連会社1社を傘下に持つ企業グループを形成している。

企業理念は「常にお客様のニーズに対応し、お客様の満足を実現する」であり、平成時代には「In collaboration with customer」というスローガンの下で、インターネット社会の構築・発展に資するべく事業領域を拡大し、令和時代を迎えた今、「No.1 in Quality」を新たなスローガンに掲げ、生産性向上や働き方改革、インバウンド関連、ウィズコロナ下での新しい生活様式、DX(デジタルトランスフォーメーション)、SDGsといった時代のニーズに対応したソリューション提供にも取り組んでいる。

同社の企業沿革からは、企業向けIPネットワーク、ブロードバンド、モバイル、サイバーセキュリティといった技術トレンドにいち早く気付き、事業領域を拡大してきた姿が読み取れる。

2. 4部門体制で顧客ニーズに応える事業活動を展開
同社は「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」という4部門で事業活動を展開している。顧客ニーズを満たすために必要な数多くの製品・サービスを揃えていることや24時間365日の保守体制や直販と間接販売を組み合わせた優れたディストリビューション機能を整備していることが特徴となっている。

3. コアコンピタンスは「目利き力と市場対応力」
同社のビジネスモデルには「顧客重視」の企業理念を事業として実践するための工夫が読み取れる。すなわち、「常にお客様のニーズに対応」するためのプロセス(技術・製品の調査/発掘等)と「お客様の満足を実現」するためのプロセス(複数製品を組み合わせたソリューションの提案や保守体制の整備等)を核に据えた事業バリューチェーンの構築である。

同社は自社の強みを、1)目利き力と市場対応力、2)ソリューションラインナップ、3)サービス提供の多様性、4)実績に裏打ちされた技術力、5)グローバル対応力、としている。とりわけ「目利き力と市場対応力」はバリューチェーンの各プロセスで生かされており、すべての強みのベースとなるコアコンピタンスだと考えられる。

4. 2022年3月期上期業績は良好
2022年3月期第2四半期累計期間(以下、上期)の連結業績は、売上高が前年同期比21.0%増の2,349百万円、営業利益が同5.2%増の178百万円、経常利益が同2.0%減の174百万円となった。また、営業利益率は7.6%と前年同期比1.2ポイント低下、期中受注高が2,710百万円と前年同期比34.5%増、期末受注残高は前期末比277.4%増の1,416百万円へと積み上がった。今年度から「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」を適用したため、前年同期との単純比較はできないものの、良好な決算内容であったと考える。

財務体質についても、健全性を維持している。2022年3月期上期末の自己資本比率は41.4%(前期末は46.6%)、流動比率は150.1%(同169.9%)と低下したものの、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.14倍(同0.13倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は1,952百万円(同2,070百万円)と前期末水準を維持、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金についても301百万円(同502百万円)と十分な余力を確保している。

5. 同社による2022年3月期業績予想は保守的、新中計における数値目標のローリング値公表に期待
同社は2022年度上期実績等を受けて、2022年3月期の連結業績予想を上方修正(売上高は前期比10.6%増の5,200百万円を据え置き、営業利益は同68.5%減の170百万円から同53.7%減の250百万円へ引上げ)した。「収益認識に関する会計基準」の適用開始による影響が今下期に強く出ることを踏まえても、会社予想の下期営業利益率2.5%は同社の実力値(7%程度)に対してあまりに保守的に見える。なお、期末配当は1株当たり5円配当の継続を予定している。

同社は、「中長期的かつ持続可能な企業価値の向上に向けた広報・宣伝活動の施策を行うとともに、企業価値の極大化を図っていく」ことを明言している。2021年5月、その一環として新たな「3ヵ年中期経営計画」(以下、新中計)が発表された。

2022年3月期を初年度とする新中計には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が盛り込まれ、内容的には売上高100億円実現に向けての道筋を示すものとなっており、評価に値する。また、新中計の初年度である2022年3月期業績は上振れ傾向にあることから、数値目標のローリング値公表にも期待したい。

■Key Points
・同社は、創業来30年超にわたり実績を積み重ねるITソリューション企業。現在は連結子会社4社(孫会社含む)と持分法非適用の関連会社1社を傘下に持つ企業グループを形成
・企業沿革からは、時代のトレンドを的確に捉え、事業戦略のフォーカスエリアを巧みに変遷させてきた実績が読み取れ、現在は「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開
・「顧客重視」の企業理念に裏打ちされたビジネスモデルを構築。「目利き力と市場対応力」をコアコンピタンスとする同社の強みは企業業績面でも顕在化
・2022年3月期上期業績は順調に推移、同社による2022年3月期業績予想は保守的
・2021年5月に発表された新中計は売上高100億円実現に向けての道筋を示す内容

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)



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