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GMOペパボ Research Memo(3):ホスティング事業とEC支援事業を両輪に成長(1)

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 事業セグメント
GMOペパボ<3633>が手掛ける事業は、レンタルサーバーサービス「ロリポップ!」、ドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」などのホスティング事業、ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」などのEC支援事業、ハンドメイドマーケット「minne」のハンドメイド事業、フリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」の金融支援事業で構成されている。

2021年12月期の事業セグメント別売上構成比を見ると、ホスティング事業40.5%、EC支援事業41.0%、ハンドメイド事業16.4%、金融支援事業1.8%、その他0.3%となり、EC関連サービス(EC支援事業及びハンドメイド事業)が売上高の57.4%を占め(全社費用控除前営業利益では50.4%)、EC市場の拡大とともに上昇傾向が続いている。

(1) ホスティング事業
ホスティング事業は、Webサイトやホームページを開設するためのサーバーや各種機能、ドメイン等を提供し、各サービスの利用料を売上として計上するストック型のビジネスモデルとなる。主要サービスは以下のとおり。

a) ロリポップ!
「ロリポップ!」は、インターネット初心者からヘビーユーザーまで幅広い層をターゲットとしたレンタルサーバーサービスで、同事業セグメントの売上高の4割強、利益の7割弱を占める主力サービスとなっている。ハードルの高かったホスティングサービスを低価格で提供したことで、個人向けレンタルサーバー市場を開拓する先駆者となった。簡単にホームページを作成できる豊富なマニュアルやレスポンスの早いカスタマーサービスに加えて、ホームページ作成のために必要なソフトウェアや各種ASPサービスも提供している。様々な料金プラン※やオプションサービスを提供することで、個人事業主から中小企業まで顧客対象を広げている。

※月額基本料金プラン(税込)は2021年11月に料金改定を実施しており、エコノミー(99円〜)、ライト(220円〜)、スタンダード(440円〜)、ハイスピード(550円〜)、エンタープライズ(2,200円〜)の5プランを提供(料金は契約期間により変動)。


2018年4月に提供を開始した「ロリポップ!マネージドクラウド」は、独自開発したコンテナ型仮想化技術により、一時的なアクセス集中時でも高速かつ安定的な稼働を実現したサービスとなる。顧客ターゲットはWebサイトへのアクセスが集中し、閲覧不能となるリスクのあるユーザー(個人のクリエイターや中小企業等)で、料金プランは月額基本料金1,078円(税込)+従量課金制となっている。そのほか、高機能ホスティングサービス「heteml(ヘテムル)」(月額1,100円(税込)〜)なども提供しており、これらを合わせた同社レンタルサーバーの国内シェアは約18%とトップシェア※となっている。

※「ロリポップ!」及び「ヘテムル」のユーザー数の合算数値。 「2022の日本でのウェブホスティングのマーケットシェア」 HostAdvice.com調べ(2022年2月時点)。


b) ムームードメイン
同事業セグメントの売上高の4割強、利益の2割強を占める「ムームードメイン」は、低価格のドメイン取得代行サービスで、ドメイン登録をオンライン上で簡単に行えることが特徴となっている。2004年にサービスを開始して以降、インターネットの普及とともに個人によるドメイン取得が広がり、2021年12月末の登録ドメイン数は117万件に達している。代行サービスのため利益率は他のサービスよりも相対的に低く、また、仕入コストの一部は為替変動の影響を受けるため、状況に応じて為替予約を行っている。

(2) EC支援事業
EC支援事業では、ECの運営を支援するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」やオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」などを提供している。「カラーミーショップ」は月額固定利用料金が売上の大半を占めるストック型のビジネスモデルとして展開してきたが、2021年5月より新たに初期費用・月額利用料無料で流通額に応じて手数料を得るフロー型ビジネスモデルでのサービス提供も開始した。一方、「SUZURI」は流通額に応じたフロー型のビジネスモデルとなっていることが特徴だ。サービスの概要は以下のとおり。

a) カラーミーショップ
同事業セグメントの売上高の4割弱、利益の7割強を占める「カラーミーショップ」は、ネットショップの運営初心者でもブログを作成する感覚で簡単かつ低料金で開店、運営できることが特徴となっており、2005年のサービス開始以降、契約件数は2021年12月末で4.6万件となっている。月額有料プランで提供するサービス※としては国内最大手となっており、個人商店から大規模販売店まで幅広いニーズに応える豊富な機能を備えているほか、デザインを細かくカスタマイズすることが可能なため、自己表現の場としても活用されている。売上高は月額利用料や流通額に応じた決済手数料のほか、アプリストアで提供している各種アプリを使用する場合にはアプリ利用料が加算される格好となる。

※月額基本料金プラン(税込)は、3,300円、7,945円の2通りで、新たにフリープラン(月額基本料金無料、売上決済手数料6.6%+30円/件。6.6%の手数料は商品代金+送料の注文合計金額に対してかかる)を2021年5月より追加した。なお、月額プランは2022年4月に料金改定を予定しており、一部のオプション利用料金を含む形で、4,950円、9,595円の2通りとなる。


b) SUZURI
同事業セグメントの売上高の6割弱、利益の2割弱を占める「SUZURI」は、自身で制作したイラストや写真の画像をサイトにアップロードするだけで、Tシャツ、マグカップ、スマートフォンケースなど様々なオリジナルグッズを手軽に作成・販売できるサービスで、2014年4月よりサービスを開始した。初期投資や在庫管理などのリスクがなく、アイテムの作成から配送(製作及び配送は外部委託)までを「SUZURI」で一貫してサポートするため、安心して作品の販売や購入ができる。製作コストに一定利益を上乗せした額が同社の売上高(クリエイターの仕入価格)となり、クリエイターは仕入価格に自身の利益を上乗せして販売価格を自由に設定できる。同社の売上総利益率はアイテムによって異なるが、おおよそ40〜60%の範囲で設定している。このため、同サービスは流通額にほぼ連動したフロー型のビジネスモデルとなっている。2021年12月末の累積会員数は106万人、クリエイター数は56万人の規模となっている。なお、2022年12月期より収益認識基準の適用に伴い、商品原価(仕入高や外注加工賃)等を除いた部分を売上計上する方法に変更することとなったため、売上高については目減りする格好となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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