ソフト99 Research Memo(1):2024年3月期以降の成長に向けた足場固めを進める
[22/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年3月期第2四半期累計業績はコスト増により増収減益となるも期初計画を達成
ソフト99コーポレーション<4464>の2023年3月期第2四半期累計連結業績は、売上高で前年同期比2.7%増の14,542百万円、営業利益で同10.1%減の1,694百万円、経常利益で同10.2%減の1,784百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同7.2%減の1,237百万円と増収減益となったが、期初計画に対してはいずれも上回って着地した。売上高は巣ごもり消費需要の一巡や自動車販売台数低迷の影響でファインケミカル事業が減収となったものの、半導体業界向けが好調だったポーラスマテリアル事業の伸長により増収となった。一方、利益面では、原材料価格並びに光熱費の高騰などにより売上原価率が悪化(2.3ポイント上昇)し減益要因となった。
事業セグメント別業績を見ると、ファインケミカル事業は売上高で前年同期比1.4%減の7,112百万円、営業利益で同17.5%減の952百万円となった。売上高の主な内訳を見ると、一般消費者向け販売(自動車分野)は新車及び中古車販売台数の減少に加えて巣ごもり消費需要の一巡により、ボディケア製品、ガラスケア製品、リペア製品ともに落ち込み、同4.5%減の4,229百万円となった。一方、業務用製品販売(自動車分野・産業分野)については新車向け自社ブランド品のコーティング剤が減少したものの、OEM製品の販売が新規顧客の開拓もあって好調に推移したほか、中古車向けについても、同社ブランドのコーティング製品で価格改定を実施したことなどにより同7.5%増の1,026百万円となった。海外向け販売(自動車分野)も、ウクライナ危機の影響でロシア及び欧州向けの販売が落ち込んだものの、アジア圏を中心としたその他地域の販売がコロナ禍によるロックダウンで苦戦していた地域の販売が回復したことや円安効果もあり順調に拡大し、同12.3%増の1,109百万円となった。業務用製品販売及び海外向け販売については過去最高売上を更新したことになる。家庭用製品販売については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の特需の一巡で主力のメガネケア製品を中心に同22.6%減の411百万円と落ち込んだものの、売上規模としてはコロナ禍前の水準(2020年3月期第2四半期累計260百万円)を上回っている。営業利益率は原材料や光熱費の高騰やプロダクトミックスの悪化により、前年同期比で2.6ポイント低下の13.4%となった。
ポーラスマテリアル事業の売上高は前年同期比10.9%増の4,038百万円、営業利益は同1.6%増の538百万円となった。売上高の内訳を見ると、産業資材部門では海外大手半導体メーカー向けに半導体製造用消耗部材の販売が好調に推移したほか、HDD用研磨剤、リチウムイオン電池向け銅箔製造用砥石、医療・衛生用品などが順調に増加し、同10.6%増の3,198百万円となった。一方、生活資材部門も国内で家庭用製品向けの販売が好調に推移したほか、海外向けもインドネシアや韓国向けが伸長したことにより、同12.3%増の840百万円となり過去最高売上を更新した。営業利益率は原材料価格や光熱費高騰の影響、新工場稼働に伴う減価償却費の発生により、同1.2ポイント低下の13.3%となった。
サービス事業の売上高は前年同期比0.2%減の2,707百万円、営業利益は同10.1%減の87百万円となった。売上高の内訳を見ると、自動車整備・鈑金事業はプロテクションフィルムの施工サービスやEC販売の好調により同3.1%増となったものの、コロナ禍の特需の一巡で自動車教習事業が同3.0%減となったほか、生活用品企画販売事業もマスク関連の販売が落ち込み同2.6%減と減少した。
不動産関連事業の売上高は同17.0%増の684百万円、営業利益は同11.2%増の112百万円となった。売上高は不動産賃貸事業が同9.5%減、介護予防支援事業が同19.4%減とそれぞれ落ち込んだものの、温浴事業が営業時間の正常化に加えてコラボイベントの実施による来場者数増加により同35.8%増と4年ぶりの増収に転じ、増収増益要因となった。
2. 2022年3月期業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の29,000百万円、営業利益で同14.9%減の3,200百万円と期初計画を据え置いた。売上高はすべての事業セグメントで増収を見込んでいるものの、原材料価格や光熱費の高騰、並びに営業経費や減価償却費の増加などが減益要因となる。原材料価格や光熱費の高騰については期初想定を上回っているものの、売価転嫁により吸収していく方針となっている。
ファインケミカル事業では、自動車販売台数の回復に伴い一般消費者向け販売の需要が上向くと見ている。業務用製品販売についてはボディ用コーティングに加え、車内用コーティング施工の需要開拓を進めていく。また、自動車以外の新規市場開拓として、2022年3月にスポーツアイウェア用超撥水スプレーを発売しており、今後じっくりと育成していく方針だ。
ポーラスマテリアル事業については、半導体関連製品の堅調が続いているものの、半導体市場が調整局面に入っていることから今後の動向について注視する必要がある。一方、2022年秋より新工場の稼働を開始しており、医療用製品や生活資材製品の能力増強と生産効率の向上が見込まれている。一般医療機器(クラスI・II)製品の製造販売業許可も取得しており、今後は医療機器製品(X線造影剤入りスポンジ、口腔ケアキット等)の開発・量産化に向けた準備も進めていく計画だ。
3. 中期経営計画の進捗について
2021年3月期からスタートした中期経営計画では、「将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得、及びこれらの融合をはかることで、事業領域のさらなる拡張を目指す」という方針を掲げ、最終年度となる2023年3月期に売上高で27,100百万円、営業利益で2,850百万円を当初目標に設定した。前提となる社会変化についてはコロナ禍によって当初想定とは異なるものとなったが、最終年度となる2023年3月期の業績目標値については前倒しで達成しており、2023年3月期については、現在策定中の次期中期経営計画に向けての足場固めの1年と位置付けている。同社では、次期中期経営計画についてSDGsの視点がより一層重要になると考えており、省資源化や環境にやさしい製品及びサービスの開発、またDXの取り組みなどを重点テーマとして推進し、持続的な成長を目指していくものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」基本方針を掲げており、2023年3月期は同1.0円増配の37.0円(還元率25.1%※)と8期連続の増配を予定している。また、株主還元策として株主優待制度も導入しており、毎年3月末の株主に対して、保有株数・保有期間に応じた自社製品・サービスの提供を実施している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年3月期第2四半期累計業績はコスト増により増収減益となるも期初計画を達成
ソフト99コーポレーション<4464>の2023年3月期第2四半期累計連結業績は、売上高で前年同期比2.7%増の14,542百万円、営業利益で同10.1%減の1,694百万円、経常利益で同10.2%減の1,784百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同7.2%減の1,237百万円と増収減益となったが、期初計画に対してはいずれも上回って着地した。売上高は巣ごもり消費需要の一巡や自動車販売台数低迷の影響でファインケミカル事業が減収となったものの、半導体業界向けが好調だったポーラスマテリアル事業の伸長により増収となった。一方、利益面では、原材料価格並びに光熱費の高騰などにより売上原価率が悪化(2.3ポイント上昇)し減益要因となった。
事業セグメント別業績を見ると、ファインケミカル事業は売上高で前年同期比1.4%減の7,112百万円、営業利益で同17.5%減の952百万円となった。売上高の主な内訳を見ると、一般消費者向け販売(自動車分野)は新車及び中古車販売台数の減少に加えて巣ごもり消費需要の一巡により、ボディケア製品、ガラスケア製品、リペア製品ともに落ち込み、同4.5%減の4,229百万円となった。一方、業務用製品販売(自動車分野・産業分野)については新車向け自社ブランド品のコーティング剤が減少したものの、OEM製品の販売が新規顧客の開拓もあって好調に推移したほか、中古車向けについても、同社ブランドのコーティング製品で価格改定を実施したことなどにより同7.5%増の1,026百万円となった。海外向け販売(自動車分野)も、ウクライナ危機の影響でロシア及び欧州向けの販売が落ち込んだものの、アジア圏を中心としたその他地域の販売がコロナ禍によるロックダウンで苦戦していた地域の販売が回復したことや円安効果もあり順調に拡大し、同12.3%増の1,109百万円となった。業務用製品販売及び海外向け販売については過去最高売上を更新したことになる。家庭用製品販売については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の特需の一巡で主力のメガネケア製品を中心に同22.6%減の411百万円と落ち込んだものの、売上規模としてはコロナ禍前の水準(2020年3月期第2四半期累計260百万円)を上回っている。営業利益率は原材料や光熱費の高騰やプロダクトミックスの悪化により、前年同期比で2.6ポイント低下の13.4%となった。
ポーラスマテリアル事業の売上高は前年同期比10.9%増の4,038百万円、営業利益は同1.6%増の538百万円となった。売上高の内訳を見ると、産業資材部門では海外大手半導体メーカー向けに半導体製造用消耗部材の販売が好調に推移したほか、HDD用研磨剤、リチウムイオン電池向け銅箔製造用砥石、医療・衛生用品などが順調に増加し、同10.6%増の3,198百万円となった。一方、生活資材部門も国内で家庭用製品向けの販売が好調に推移したほか、海外向けもインドネシアや韓国向けが伸長したことにより、同12.3%増の840百万円となり過去最高売上を更新した。営業利益率は原材料価格や光熱費高騰の影響、新工場稼働に伴う減価償却費の発生により、同1.2ポイント低下の13.3%となった。
サービス事業の売上高は前年同期比0.2%減の2,707百万円、営業利益は同10.1%減の87百万円となった。売上高の内訳を見ると、自動車整備・鈑金事業はプロテクションフィルムの施工サービスやEC販売の好調により同3.1%増となったものの、コロナ禍の特需の一巡で自動車教習事業が同3.0%減となったほか、生活用品企画販売事業もマスク関連の販売が落ち込み同2.6%減と減少した。
不動産関連事業の売上高は同17.0%増の684百万円、営業利益は同11.2%増の112百万円となった。売上高は不動産賃貸事業が同9.5%減、介護予防支援事業が同19.4%減とそれぞれ落ち込んだものの、温浴事業が営業時間の正常化に加えてコラボイベントの実施による来場者数増加により同35.8%増と4年ぶりの増収に転じ、増収増益要因となった。
2. 2022年3月期業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の29,000百万円、営業利益で同14.9%減の3,200百万円と期初計画を据え置いた。売上高はすべての事業セグメントで増収を見込んでいるものの、原材料価格や光熱費の高騰、並びに営業経費や減価償却費の増加などが減益要因となる。原材料価格や光熱費の高騰については期初想定を上回っているものの、売価転嫁により吸収していく方針となっている。
ファインケミカル事業では、自動車販売台数の回復に伴い一般消費者向け販売の需要が上向くと見ている。業務用製品販売についてはボディ用コーティングに加え、車内用コーティング施工の需要開拓を進めていく。また、自動車以外の新規市場開拓として、2022年3月にスポーツアイウェア用超撥水スプレーを発売しており、今後じっくりと育成していく方針だ。
ポーラスマテリアル事業については、半導体関連製品の堅調が続いているものの、半導体市場が調整局面に入っていることから今後の動向について注視する必要がある。一方、2022年秋より新工場の稼働を開始しており、医療用製品や生活資材製品の能力増強と生産効率の向上が見込まれている。一般医療機器(クラスI・II)製品の製造販売業許可も取得しており、今後は医療機器製品(X線造影剤入りスポンジ、口腔ケアキット等)の開発・量産化に向けた準備も進めていく計画だ。
3. 中期経営計画の進捗について
2021年3月期からスタートした中期経営計画では、「将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得、及びこれらの融合をはかることで、事業領域のさらなる拡張を目指す」という方針を掲げ、最終年度となる2023年3月期に売上高で27,100百万円、営業利益で2,850百万円を当初目標に設定した。前提となる社会変化についてはコロナ禍によって当初想定とは異なるものとなったが、最終年度となる2023年3月期の業績目標値については前倒しで達成しており、2023年3月期については、現在策定中の次期中期経営計画に向けての足場固めの1年と位置付けている。同社では、次期中期経営計画についてSDGsの視点がより一層重要になると考えており、省資源化や環境にやさしい製品及びサービスの開発、またDXの取り組みなどを重点テーマとして推進し、持続的な成長を目指していくものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」基本方針を掲げており、2023年3月期は同1.0円増配の37.0円(還元率25.1%※)と8期連続の増配を予定している。また、株主還元策として株主優待制度も導入しており、毎年3月末の株主に対して、保有株数・保有期間に応じた自社製品・サービスの提供を実施している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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