MDNT Research Memo(9):企業ビジョン「VISION2030」から新しい中期経営計画づくりへ展開
[22/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業活動の進捗と今後の取り組み
3. 企業ビジョン「VISION2030」の構築と新中期経営計画への展開
2021年9月期を最終年度とする中期経営計画「ACCEPT2021戦略」では、細胞加工業の事業構造改革に取り組み、品川細胞培養加工施設での効率的な製造体制を確立した。2019年9月期には営業利益89百万円の黒字化を達成したものの、2020年9月期〜2021年9月期はコロナ禍の影響で損失を計上した。一方で、CDMO事業も芽吹き始めている。
2022年4月より創業者である木村氏から久布白氏へ経営トップのバトンタッチが行われ、新たな視点や論点を加味した新しい中期経営計画(2023年9月期〜)の検討を進めている。メディネット<2370>は、新中期経営計画の策定に先立って、2030年を見据えた企業ビジョン(同社の10年後の目指したい姿)を描いた「VISION2030」を発表した。バックキャスティング(未来から現在へとさかのぼり道筋を描く手法)を採用しており、これから「VISION2030」を達成するための、新中期経営計画の策定を進めていく。
「VISION2030」では「メディネットは、病気やけがを治すとともに、健康維持・改善に寄与することにより、Well-Being社会(“身体的・精神的・社会的に良好な状態にある社会“)に貢献するHealthcare Innovating Companyを目指す」としている。
「VISION2030」を踏まえ、同社は「経営方針と事業展開」を定めた。第1に「メディネットの強み・経験を最大限に活かした成長」の経営方針のもと、事業展開として1)特定細胞加工物製造受託の拡大、2)CDMO事業の基盤強化、3)再生医療等製品の開発の加速化と新規シーズの育成を掲げた。第2に「環境の変化に対応し、継続的成長に向けた変革の推進」のもと、1)同社事業の収益性/生産性の向上、2)同社事業へのシナジー効果、VISIONに合致する新規事業の育成を掲げた。第3に「会社基盤の強化」を掲げ、1)「先を見据え、自ら一歩先の考動ができる」人財への活性化、2)DX実現に向けた社内環境整備の加速化を挙げている。
なかでも注目すべき事業展開は「新規シーズの育成」である。自分で種を蒔いて育て上げるという久布白氏の強い意志が感じられる。しかしながら、具体的なテーマ検討はこれからのようで、早い公開が待たれる。「DX実現に向けた社内環境整備の加速化」については、現在DX構想と計画を検討中である。そのほかの事業展開の戦略目標と施策は現在検討中で、いずれ発表される新中期経営計画に盛り込まれる予定である。
「経営方針と事業展開」を達成するため、新中期経営目標として、「細胞加工業の2025年9月期の黒字化」「再生医療等製品の検証試験の開始」「新規事業の育成・収益化」を掲げている。そのなかで弊社が注目するポイントは、久布白氏が改めて「細胞加工業の2025年9月期の黒字化」をコミットメントしたことである。同社のコア事業である細胞加工業はコロナ禍の影響を大きく受けて、営業損失が拡大した。利益回復と黒字化を2023年9月期と設定していたが、さらなるコロナ禍の長期化による患者数回復の遅れと新細胞種による加工受託メニューの提供開始時期の遅れが“Wパンチ”となり、黒字化を先送りせざるを得なくなった。しかし再度、細胞加工業の複数の売上拡大要因を確実に実行し成果を上げることで、「2025年9月期の黒字化」を確実に達成できるよう、万全を期して臨むこととなった。この目標をクリアできれば、同社の株式市場における信頼度はアップするものと弊社では見ている。
4. 患者の利益を考えたプロモーション(啓発)活動
同社は、ここ数年間継続してメディアを通じて「がん免疫細胞治療」に関する啓発活動を行っている。がん治療従事者(医療機関や治療薬メーカー)として、がん患者が自身にとって最善の治療法を受けられるよう、医師や患者に向け「がん免疫細胞治療」に関する正しい知識・情報提供に努めている。
5. 「カラダの免疫力」を高め、健康・長寿社会を実現する
厚生労働省では「健康寿命」「長寿社会」に向けて、多様な健康・医療政策を打ち出している。同社は健康・長寿のカギとして常に免疫機能を高めておくことが肝要と考えている。同社のコア技術「免役細胞」はこうした「健康・長寿社会」の本格的な到来で、ますます重要性が高まっていると言える。「カラダの免疫力を高め、『健康・長寿社会』を実現する」ことが同社のパーパス経営となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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3. 企業ビジョン「VISION2030」の構築と新中期経営計画への展開
2021年9月期を最終年度とする中期経営計画「ACCEPT2021戦略」では、細胞加工業の事業構造改革に取り組み、品川細胞培養加工施設での効率的な製造体制を確立した。2019年9月期には営業利益89百万円の黒字化を達成したものの、2020年9月期〜2021年9月期はコロナ禍の影響で損失を計上した。一方で、CDMO事業も芽吹き始めている。
2022年4月より創業者である木村氏から久布白氏へ経営トップのバトンタッチが行われ、新たな視点や論点を加味した新しい中期経営計画(2023年9月期〜)の検討を進めている。メディネット<2370>は、新中期経営計画の策定に先立って、2030年を見据えた企業ビジョン(同社の10年後の目指したい姿)を描いた「VISION2030」を発表した。バックキャスティング(未来から現在へとさかのぼり道筋を描く手法)を採用しており、これから「VISION2030」を達成するための、新中期経営計画の策定を進めていく。
「VISION2030」では「メディネットは、病気やけがを治すとともに、健康維持・改善に寄与することにより、Well-Being社会(“身体的・精神的・社会的に良好な状態にある社会“)に貢献するHealthcare Innovating Companyを目指す」としている。
「VISION2030」を踏まえ、同社は「経営方針と事業展開」を定めた。第1に「メディネットの強み・経験を最大限に活かした成長」の経営方針のもと、事業展開として1)特定細胞加工物製造受託の拡大、2)CDMO事業の基盤強化、3)再生医療等製品の開発の加速化と新規シーズの育成を掲げた。第2に「環境の変化に対応し、継続的成長に向けた変革の推進」のもと、1)同社事業の収益性/生産性の向上、2)同社事業へのシナジー効果、VISIONに合致する新規事業の育成を掲げた。第3に「会社基盤の強化」を掲げ、1)「先を見据え、自ら一歩先の考動ができる」人財への活性化、2)DX実現に向けた社内環境整備の加速化を挙げている。
なかでも注目すべき事業展開は「新規シーズの育成」である。自分で種を蒔いて育て上げるという久布白氏の強い意志が感じられる。しかしながら、具体的なテーマ検討はこれからのようで、早い公開が待たれる。「DX実現に向けた社内環境整備の加速化」については、現在DX構想と計画を検討中である。そのほかの事業展開の戦略目標と施策は現在検討中で、いずれ発表される新中期経営計画に盛り込まれる予定である。
「経営方針と事業展開」を達成するため、新中期経営目標として、「細胞加工業の2025年9月期の黒字化」「再生医療等製品の検証試験の開始」「新規事業の育成・収益化」を掲げている。そのなかで弊社が注目するポイントは、久布白氏が改めて「細胞加工業の2025年9月期の黒字化」をコミットメントしたことである。同社のコア事業である細胞加工業はコロナ禍の影響を大きく受けて、営業損失が拡大した。利益回復と黒字化を2023年9月期と設定していたが、さらなるコロナ禍の長期化による患者数回復の遅れと新細胞種による加工受託メニューの提供開始時期の遅れが“Wパンチ”となり、黒字化を先送りせざるを得なくなった。しかし再度、細胞加工業の複数の売上拡大要因を確実に実行し成果を上げることで、「2025年9月期の黒字化」を確実に達成できるよう、万全を期して臨むこととなった。この目標をクリアできれば、同社の株式市場における信頼度はアップするものと弊社では見ている。
4. 患者の利益を考えたプロモーション(啓発)活動
同社は、ここ数年間継続してメディアを通じて「がん免疫細胞治療」に関する啓発活動を行っている。がん治療従事者(医療機関や治療薬メーカー)として、がん患者が自身にとって最善の治療法を受けられるよう、医師や患者に向け「がん免疫細胞治療」に関する正しい知識・情報提供に努めている。
5. 「カラダの免疫力」を高め、健康・長寿社会を実現する
厚生労働省では「健康寿命」「長寿社会」に向けて、多様な健康・医療政策を打ち出している。同社は健康・長寿のカギとして常に免疫機能を高めておくことが肝要と考えている。同社のコア技術「免役細胞」はこうした「健康・長寿社会」の本格的な到来で、ますます重要性が高まっていると言える。「カラダの免疫力を高め、『健康・長寿社会』を実現する」ことが同社のパーパス経営となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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