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ネクスグループ Research Memo(7):通期計画に対する進捗は概ね計画どおり

注目トピックス 日本株
*14:57JST ネクスグループ Research Memo(7):通期計画に対する進捗は概ね計画どおり
■今後の見通し

1. 2023年11月期の業績見通し
ネクスグループ<6634>の2023年11月期の連結業績については、売上高が1,467百万円(前期比46.8%減)、営業利益が146百万円(同65.7%減)、経常利益が165百万円(同68.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が142百万円(同82.3%減)を見込んでいる。インターネット旅行事業及びブランドリテールプラットフォーム事業から撤退したことで、売上高は大幅に減少するものの、黒字を維持しながら、IoT関連事業の収益拡大と、新たな収益の柱となる新事業の拡大に注力する方針だ。業績予想に対する第2四半期までの進捗は概ね計画どおりであり、同社の売上が下期偏重傾向にあることから、第3四半期以降の売上高・営業利益の積み上げが期待される。

2. セグメント別見通し
(1) メタバース・デジタルコンテンツ事業
デジタルコンテンツ分野については、実業之日本社の新規及び過去コンテンツの電子化、独自の営業ルートでの新規コンテンツの電子化を行うことにより、高い成長を見込んでいる。またフランス、台湾など海外の電子書籍事業者との取り引きが好調であることから、2023年11月期からは米国、韓国、タイでの販売を予定している。メタバース分野については、ワイルドマンで、メタバースに必要なVRワールドやVRコンテンツの受託開発案件の受注と、VRゲームコンテンツの開発、ユーザーがメタバースを楽しむためのモーショントラッキングデバイスの開発などに注力する方針だ。なお足元では、モーショントラッキングデバイスの新機種開発を進めている。

メタバース市場は黎明期であり、メタバースサービス単体の事業により黒字化している企業は少ない。同社では、メタバースサービスを提供するのではなく、メタバース事業に参入しようとしている企業に対して、VR空間・プラットフォーム等の受託開発を行っている。そのため、市場の黎明期においても、メタバース事業に新たに参入しようとする企業を対象に、一定の需要を見込めるものと弊社では考える。直近では、Apple Inc.が自社のゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」を発表しており、日本国内で販売が開始されればユーザーの増加や市場の活性化が期待できる。

同社は、同事業を通じてWeb3.0分野へ積極的な投資を行う方針であり、新たなM&Aについても継続的に検討している。既存事業であるIoT関連事業とのシナジー創出を見込めることから、第2の収益軸としてさらなる成長が期待できると弊社では見ている。

(2) IoT関連事業
半導体の供給状況には改善が見られたものの、依然として先行きが不透明な部分もあることから、M2M分野における設備投資の抑制などの動向を引き続き注視しながら、製造委託先の継続的な管理・監督を行うとともに、信頼できる新規製造委託先の開拓を進め、市場のニーズに対応した製品群のさらなる拡充に取り組んでいく。

今後の動向としては、「IoT×ブロックチェーン技術」「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指す。国内外の市場に向けて今後普及が見込まれるLPWAや第5世代移動通信システム「5G」、画像認識などのAI技術といった、同社が培ってきた自動車テレマティクスソリューションをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースにする考えであり、これらの独自性や強みが競争力のある製品の創出につながるものと弊社では考えている。

エッジAI端末のNCXX AI BOX「AIX-01NX」は、国際的評価の高い(株)サイバーコアの「Re-ID(Re-Identification 再認識)」※技術を搭載しており、人流解析やOD調査、物体追跡における精度、リアルタイム性、通信費、個人情報問題などの課題を解決するソリューションに導入されつつある。同製品は、NVIDIA Corporationが提供するGPUによるリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を活用している。今後も、ユースケース別のAIソフトウェア群を持つAI活用プラットフォームサービスのエッジデバイス認定の取得を進めるとともに、AIによって解決したい課題を持つ顧客にスムーズな導入・活用を支援し、様々な業種業態におけるビジネス機会を創出していく。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野、工場ラインでの不良品検出、介護分野での見守り、河川水位監視などの防災、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に展開が期待される技術であることから、将来的な収益拡大に貢献する材料の1つになる可能性が高いと弊社では見ている。

※複数カメラによるビデオ映像群からカメラ間を移動する車両や人物を検出後、それぞれにIDを付与し、カメラ間を移動する車両・人物の動線管理やトレースを可能とする技術。


データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」を2023年3月から販売している。当初予定よりも出荷が遅れたものの市場の反応は良好である。既存のLTE製品の販売を継続するとともに、新たな5G製品の販売により、LTE製品から5G製品への切り替え需要を見込んでいる。また、NTTドコモが提供する3Gサービス「FOMA」については、2026年3月31日をもってサービス終了・停波することが決定している。通信回線を使ってコントロールされている機器の多くで3G回線が使われ続けていたため、M2M業界の各社ではマイグレーションと呼ばれる機器の入れ替えが必要となる段階にきている。4G・5G回線への移行需要は、同社事業にとって追い風になるものと弊社では考える。5Gインフラの整備はスマートフォン向けが優先されており、IoT用の製品は出揃っていない。同様の端末が少ないなかで一定の競争優位性を有しており、同事業の今後の売上増強に大きく寄与するものと弊社では見ている。

(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
引き続きNCXCを利用したトークンエコノミーの形成と価値向上に取り組む。価値向上に向けた取り組みとしては、GameFi分野での活用を推進する。第1弾として、2023年1月にスマートフォンゲームアプリ「SIX POKER」の大幅アップデートを実施した。足元では「NCXC GameFiプラットフォーム」の開発が進捗している。同プラットフォームでは、自社ゲームタイトルだけでなく、アライアンスを組んだ他社のゲームタイトルなど複数のゲームでNCXCを利用できる仕組みを提供し、一部のNFTは他のゲームでも利用可能とする予定だ。今後は、同プラットフォームの開発と並行して、プラットフォーム上でゲームタイトルを提供するアライアンス先の開拓にも注力する。暗号資産の価値向上にはユースケースを増やし流通を促進することが課題となることから、これらの取り組みは利用機会拡大に寄与すると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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