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エヌリンクス Research Memo(1):NHK事業の終息により事業構造の転換期

注目トピックス 日本株
*16:31JST エヌリンクス Research Memo(1):NHK事業の終息により事業構造の転換期
■要約

エヌリンクス<6578>は、「ウェブ」と「リアル」の両輪を駆使するマーケティングを推進し、最高の「ウェブ×リアル」カンパニーを創造する、というスローガンを掲げ、セールスプロモーション事業とゲーム攻略サイト「アルテマ」や、チャット型コマースを活用したお家探しサイト「イエプラ」を中心としたメディア事業の2事業を中核としている。2010年の創業当初は訪問によるNHK(日本放送協会)放送受信料の契約収納業務からスタートし業績拡大を大きく牽引してきたが、NHKが訪問営業による受信料徴収を2023年9月までに全廃したことに伴い、同社のNHK関連事業は2023年9月に終息した。それに伴い、同社では事業モデルの転換期を迎えているが、NHK事業で培った人材採用力と営業に関する専門性を強みとし、ライフラインや太陽光関連商材など、これまでとは異なった新分野での業容拡大を進めているのが特徴である。

1. 2024年2月期上期の業績概要
2024年2月期上期の連結業績は、売上高1,846百万円(前年同期比17.2%減)、営業利益72百万円(同26.3%増)、経常利益71百万円(同27.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益40百万円(前年同期は16百万円の損失)となり、期初に発表した会社計画の売上高1,692百万円、営業利益23百万円を超過達成した。当四半期はNHK関連業務が2023年9月に終息することに伴い、売上高は前年同期比で2ケタ減収となったが、営業利益は増益となった。主要事業別に業績を見ると、NHK事業を含むセールスプロモーション事業の売上高は844百万円(前期比38.6%減)、営業利益は7百万円(同96.8%減)とNHK事業の売上高が大きく減少したことが影響したが、メディア事業は売上高が982百万円(同20.3%増)、営業利益が154百万円(同116.3%増)と大幅な増収増益となり、NHK事業の終息に伴うネガティブ影響を吸収した。また、前期に赤字を計上していたアプリ事業が、事業縮小に伴い赤字幅が圧縮されたことも、利益面ではポジティブに働いた。

2. 2024年2月期通期の業績見通し
2024年2月期通期の連結業績は、売上高3,670百万円(前期比10.9%減)、営業利益112百万円(同58.3%減)、経常利益は112百万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は86百万円(同57.1%減)と同社では見込んでおり、期初計画を据え置いている。前期比で減収減益となるのは稼ぎ頭であったNHK事業が終息することによるものであり、非NHK事業はセールスプロモーション事業、メディア事業の双方とも順調に進捗している。セールスプロモーション事業においては、2023年8月より保険代理店事業を新たにローンチしており、生命保険・損害保険の保険商品の仲介を通じて同社が抱える多数の既存顧客へのクロスセルを目指し、平均単価の上昇を進める計画だ。また、メディア事業においても「外構工事プラス」「転職ジョブズ」の2つも新規メディアをローンチする予定である。これら新規ビジネスの展開と同時に組織体制の強化も進めており、2023年6月には外資系投資銀行出身のCFOを採用し、管理体制の強化やM&A、IR業務を積極的に推進する予定としている。また、持続可能な企業の発展を目的とし、ESG経営を推進するために新たにESG推進部も設置した。これらのビジネス面・組織面の両方から事業拡大を進め、期初に計画した業績予想の達成を目指している。

3. 中長期成長戦略
NHK事業の終息に伴い、同社では中長期的にセールスプロモーション事業とメディア事業の2つを拡大し、そこから生まれた収益を活用してM&Aにより成長することを目指している。同社の強みはかつてNHKの訪問集金という採用の難しい職種において最大1,000名まで従業員を採用した採用力及び教育力にあり、これらをライフラインや太陽光関連商材の販売など今までとは異なった商材で事業拡大することを狙っている。セールスプロモーション事業においては、ライフライン、太陽光、テレマーケティング、また、新たにスタートした保険という4つの商材をバランスよく成長させ、5年後を目途に40億円程度の売上高まで拡大させる計画である。メディア事業においても同社は小粒なサイズから慎重に新規進出する方針であり、営業利益率20%程度をベンチマークにしながら着実に売上高を拡大させる計画だ。またM&Aに関しては、数億円規模の案件を同社では中期的に検討したいとしている。

■Key Points
・これまではNHK放送受信料の訪問集金業務が中核だったが、2023年9月に事業が完全終息。太陽光やライフラインなど非NHK事業の拡大を進めている
・セールスプロモーション事業とメディア事業の2つが今後の軸に。セールスプロモーション事業では2023年8月から保険商品の取り扱いも新たに開始
・事業構造の変革の過渡期にあるが、NHK業務で集積した採用・教育・営業の専門性を武器に、異なる商材や事業分野においても優位性を発揮させる計画
・外資系投資銀行出身のCFOが2023年6月から参画。今後はやや規模の大きいM&Aについても検討し、事業拡大の契機としたい考え

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)



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