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テクマト Research Memo(6):情報基盤事業が好調を持続(1)

注目トピックス 日本株
*13:36JST テクマト Research Memo(6):情報基盤事業が好調を持続(1)
■業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前年同期比22.5%増の16,370百万円、営業利益は同36.0%増の1,697百万円と過去最高業績を更新した。2024年3月期より同事業とアプリケーション・サービス事業のセグメント間で家賃・水道光熱費の費用負担の配賦方法を変更しており、その影響を除いた増益率は34.2%になる。また、受注高は同9.1%減の19,787百万円と減少に転じた。金額ベースで約20億円の減少となったが、このうち半分はテクマトリックス<3762>単体による減少で前年同期に大型案件を受注した反動減による。残り半分は子会社のクロス・ヘッドによるもので、前年同期に半導体不足が解消して受注が集中した反動減となっている。ただ、第2四半期末の受注残高は前年同期末比18.5%増の40,630百万円と過去最高水準に積み上がっており、旺盛な引き合いが続いている状況に変わりはない。

製品・サービス別の主な売上動向を見ると、Palo Alto NetworksのSASEと呼ばれるクラウド型セキュリティ対策製品「Prisma Access」や、CASB※1、Cyber Hygiene※2、クラスター・ストレージなど新たなセキュリティ対策製品の需要が引き続き好調に推移したほか、Proofpointの次世代型メールセキュリティ製品もメール経由でのウィルス感染や、なりすましメールによるフィッシング詐欺の被害が多発するなかで好調を持続した。セキュリティ運用・監視サービス「TPS(TechMatrix Premium Support)」についても、クラウド型セキュリティ対策製品の需要拡大に伴い順調に伸長した。

※1 CASB(Cloud Access Security Broker):クラウドサービスのユーザとプロバイダーの間に位置し、クラウド利用状況の可視化や制御を行い、全体として一貫性のあるセキュリティポリシーを実施できるようにすること。
※2 Cyber Hygiene:定期的なパスワード変更やソフトウェアのアップデートなど、ユーザ単位でIT環境を健全に保つための取り組みを行い、セキュリティ・インシデントを防ぐこと。


また、子会社のクロス・ヘッドはサイボウズ製品のクラウド移行案件が好調だったことで増収となったものの、利益面では中途採用を前倒しで実施した影響で減益となった。ただ、人材投資の効果が下期以降顕在化する見込みだ。OCHは中小企業向けの新たな自社企画製品(各種セキュリティ対策商品をパッケージ化した製品)の投入が下期にずれ込んだ影響で売上収益は計画をやや下回ったものの、営業利益はストック型ビジネスへの転換が順調に進んだことにより計画を超過した。

利益面では、円安による仕入原価高や新規事業(クラウドネイティブ活用ソリューション)への投資負担増、人件費や販管費の増加を、増収効果と前下期から取り組んでいる採算性を意識した営業活動の成果により吸収した格好だ。こうした取り組みにより、営業利益率は前年同期の9.3%から10.4%に上昇した。なお、為替変動リスクについては、受注が決まった際の為替レートで契約期間分の利用料金(売上収益)や海外ベンダーへの支払額も固定化するため基本的にはないが、商談時に為替レートが円安局面にある場合は顧客側から見ればコスト高となるため、値下げ圧力が強まる可能性が考えられる。このため、同社でも海外ベンダーに対して価格見直し交渉などを適宜実施している。

なお、情報基盤事業(単体)におけるストック売上比率は前年同期の79.2%から83.2%に上昇した。サブスクリプション課金モデルであるクラウド型セキュリティサービスが伸長しているためで、第2四半期累計のストック売上は前年同期比32.9%増の11,624百万円となった。今後もサブスクリプション課金モデルのサービスが主流となることから、ストック売上比率は80%前後の高水準が続くものと予想される。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前年同期比15.1%増の3,873百万円、営業利益は86百万円(前年同期は87百万円の損失)となった。また、受注高は同7.9%増の3,983百万円、第2四半期末の受注残高は前年同期比6.7%増の4,568百万円とそれぞれ順調に増加した。CRM及びSE分野で2期前から取り組みを開始したサブスクリプション契約への切り替えが順調に進み、収益面でプラスに貢献し始めたほか、前年同期に不採算案件が発生した金融ソリューションの損益が改善したことで増益となった。

分野別の動向について見ると、CRM分野とSE分野はサブスクリプション契約への切り替えが順調に進んだ結果、売上収益で前年同期比2ケタ増、営業利益で大幅増益となり、会社計画に対しても上回った。SE分野では企業向けシステムや車載用組込ソフトウェアの品質を担保するテストツールの需要が引き続き好調だった。

ビジネスソリューション分野の売上収益は前年同期並みの水準となり、営業利益は改善傾向となった。このうち、学術ソリューションは減収となったものの、大型案件を受注したことで下期以降は増収に転じる見込みだ。金融ソリューションは新規案件の獲得に苦戦し、受注、売上収益ともに計画を下回ったが、不採算案件が無くなったことで営業利益は改善傾向となった。同社では金融ソリューションを強化するため、2023年7月に金融システム関連事業を子会社のアレクシアフィンテックに統合し、人員についても30名程度を異動させ営業体制の強化を図った。また、アレクシアフィンテックで収益性の低かった常駐派遣サービスから撤退し、今後は「Areccia」シリーズの販売強化、並びに海外ベンダーの金融商品評価・分析ソリューションやALMリスク管理ソリューションの導入支援に注力することで、事業拡大を図る戦略だ。カサレアルについては、一部の研修の開催時期が下期にずれ込んだものの、技術者向け新人研修が引き続き好調に推移し増収となった。

教育分野では、規模はまだ小さいものの有名私立校を中心に導入が進んだことで売上収益は前年同期比2ケタ増となった。ただ、公立校への導入が延伸したことにより会社計画には届かなかった。公立校については、自治体の教育委員会で導入製品を決定し、エリア内の公立校で一斉利用されるため、教育委員会向けの営業強化に取り組んでおり、営業・マーケティング要員だけでなく、導入作業に携わる技術要員も増強するなど積極投資を実施し、営業損失も前年同期から拡大した。

アプリケーション・サービス事業(単体)のストック売上比率は前年同期の66.5%から68.6%に上昇した。CRM、SE分野におけるサブスクリプション課金の積み上げが進んでいることが主因で、金額ベースでは同19.7%増の2,259百万円となった。今後は金融ソリューションでもストック型ビジネスへの転換を図るため、ストック売上比率は緩やかに上昇するものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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