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ホットリンク Research Memo(5):各事業の売上高は過去最高を更新し、営業利益も計画比で大幅に上振れ(1)

注目トピックス 日本株
*16:05JST ホットリンク Research Memo(5):各事業の売上高は過去最高を更新し、営業利益も計画比で大幅に上振れ(1)
■業績動向

1. 2023年12月期の業績概要
ホットリンク<3680>の2023年12月期の連結業績は、売上高4,739百万円(前期比40.1%減)、営業利益220百万円(同89.6%減)、税引前利益は287百万円(同84.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は226百万円(同87.5%減)となった。2022年12月期にクロスバウンド事業を売却したため、2023年12月期より「SNSマーケティング支援事業」「DaaS事業」「Web3関連事業」の3事業により構成されている。そのため、前期比では減収減益となったが、既存事業の深化と新たな事業機会の探索による「両利きの経営」を通じて各事業は堅調に推移しており、3事業の売上高は過去最高を更新し、営業利益も計画を大幅に上回った。

SNSマーケティング支援事業では、X(旧Twitter)の仕様変更に伴い、一時的な業績への影響はあったものの、顧客ニーズに応える新サービス開発・販売に注力し増収となった。wevnalから譲受したSNS広告及びメディア事業と既存事業とのシナジーを創出することで、新規顧客獲得及び顧客単価アップが進んだ。DaaS事業では、顧客からの多種多様なデータへの需要は底堅く、円安の追い風もあり売上高・営業利益ともに計画を上回る着地となった。ソーシャルリスニング市場の成長が停滞する一方で、デジタルリスク市場からの需要が着実に拡大しているほか、生成AI市場からの需要の取り込みも模索している。Web3関連事業では、2023年12月期は7社に投資を実行したが、業界動向を注視しながら引き続き投資先を検討していく。同社では現状をWeb3の社会実装期と捉えており、出資に加えWeb3関連事業の新規立ち上げや既存事業とのシナジー創出の実現にも注力している。SNSマーケティング市場における環境変化が激しいなか、機動的なプロダクトポートフォリオの見直しを進めており、中核のSNS事業及び中長期的な成長分野と位置付けるWeb3関連事業への投資に加え、今後は事業シナジーの創出が一層進んでいくものと弊社では見ている。

販管費は1,323百万円と、前期の販管費にクロスバウンド事業売却費用が含まれていたため前期比で32.8%減少したものの、販管費率は前期の24.9%から27.9%へと上昇した。ただ、業務プロセスの自動化やリファラル採用による採用コスト削減など、販管費コントロールが継続的に行われているほか、社内において広告運用のウォッチやレポーティングを自動化することで、1人当たりの広告案件量が増加傾向にあり、収益性は向上していると弊社では考えている。

2. 事業別の動向
(1) SNSマーケティング支援事業
売上高は前期比5.7%増の2,184百万円となった。このうち、SNS広告・SNS運用コンサルティングサービスの売上高は同10.2%増の1,767百万円、SNS分析ツールの売上高は同9.7%減の416百万円となった。X(旧Twitter)の仕様・方針変更に伴う顧客動向の変化やデータ価格の高騰により、既存事業の一部業績に影響があったものの、顧客ニーズに応える新サービス開発・販売に注力した。加えて、wevnalから事業譲受したSNS広告及びメディア事業と既存事業とのシナジーを創出することで、新規顧客獲得及び顧客単価上昇が進み、過去最高売上を更新した。進行期である2024年12月期において、アルゴリズムの仕様変更や広告の方針変更への対応は完了しており、変化の激しいなかでスピーディーな意思決定と柔軟な対応を実践している点が、増収基調を維持する強みの源泉であると弊社では考える。

SNS広告・SNS運用コンサルティングサービスでは、安定したキャッシュフローや独自のSNSマーケティング支援を強みに、M&Aやサービス拡大に注力した。従来のX(旧Twitter)に加え、MetaやTikTokに支援媒体を拡張し、顧客に幅広く対応できるようサービスラインナップを拡充した。前述のソリューション拡充のほか、課題解決セミナーの実施によりリードを獲得し、同社サービスと親和性が高い企業に対する営業及びサービス提供が奏功した。新規顧客からの問い合わせ・資料請求や既存顧客からの紹介案件等も売上高の増加に寄与した。

SNS分析ツールは前期比減収での着地となった。営業人員を需要の増加するSNS広告・SNS運用コンサルティングに集中したほか、同事業を取り巻く外部環境の急激な変化により、SNSデータを提供する各社の取り扱い方針等の先行きが不透明なこともあり、低迷した。同事業領域は、市場成長率は低いものの競合が少ないため、同社としては高シェア事業と位置付けており、セグメント売上高と販管費のバランスを勘案しながら今後も同程度の事業規模で展開していくと弊社では見ている。

SNSマーケティング支援事業全体としては大手企業との実績も増えてきており、直近では以下のような実績を持つ。

・ジンズホールディングス<3046>
X(旧Twitter)を活用し、口コミ数約4倍及び指名検索数1.7倍と、ブランド力向上に貢献。
・トリドールホールディングス<3397>
(株)丸亀製麺:X(旧Twitter)を活用し、集客支援。再売り出しメニューの初速販売数1.9倍に貢献。
(株)KONA'S(コナズ珈琲):Instagramを活用し、フォロワー数が2倍となる。
・(株)シャトレーゼ
X(旧Twitter)を活用し、X(旧Twitter)フォロワー35万人超を獲得。店舗売上の増加に貢献。
・ミルボン<4919>
X(旧Twitter)とInstagramを活用し、口コミ数を6倍に。インスタライブ配信を支援し、45万視聴の反響。
・ジョンソンヴィル・ジャパン(合)
X(旧Twitter)とInstagramを活用し、口コミ数を9倍に。口コミ数に比例し売上の増加に貢献。
・オリオンビール(株)
X(旧Twitter)のUGC活用によりユーザー接点を増やし、EC売上前年比50倍と貢献。
・(株)Paidy
マンガや動画を活用したX(旧Twitter)広告により「自分事化」を促し、600万ダウンロードに貢献。

また、複数SNSを組み合わせたマーケティング支援で、直近では以下のような実績を持つ。

・コーセー<4922>
顧客の長期的なファン化を目指した運用を実施。
ファンとのコミュニケーションを重視したInstagram・X(旧Twitter)の活用。
・(株)NTTドコモ
dポイントクラブのInstagram運用を支援、平均10万回のリールズ再生回数を達成。
多彩なアイディアと柔軟な運用体制によりSNS活用を加速。

乳製品、自動車メーカーなどとも多数の実績があるほか、大手との取引実績を積むことで同社の業界内での信用度はさらに高まるものと弊社では考える。景況感に左右されにくい業種に対する新規開拓も進めており、今後はIT・金融等の業種の顧客がポートフォリオに占める割合が増えてくると弊社では予測する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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