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アイリック Research Memo(1):保険分析・販売支援プラットフォーマーのFintech企業

注目トピックス 日本株
*12:21JST アイリック Research Memo(1):保険分析・販売支援プラットフォーマーのFintech企業
■要約

アイリックコーポレーション<7325>は、企業テーマに「人と保険の未来をつなぐ〜Fintech Inovation〜」を掲げ、自社開発したワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム(R)」(以下、「保険IQシステム」)を活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。

1. 「保険クリニック」、保険分析・販売支援ソリューション、スマートOCRを展開
セグメントは保険販売事業、ソリューション事業、及びシステム事業に区分されている。保険販売事業は「保険IQシステム」を活用した日本初の来店型保険ショップ「保険クリニック(R)(以下、「保険クリニック」)」の直営店運営及び法人営業、ソリューション事業は保険代理店・銀行・保険会社向け「ASシステム」や「AS-BOX」の開発・販売及び「保険クリニック」FC事業、システム事業は子会社(株)インフォディオ(以下、インフォディオ)のAI搭載次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR(R)(以下、「スマートOCR」)」開発・販売などを展開している。スタッフの提案力、取扱商品の充実度、契約手続き、アフターフォローなどで高い評価を得ており、「保険IQシステム」を活用した同社の強み・競合優位性を示している。

2. 2024年6月期第2四半期累計は計画超の大幅増収増益で着地
2024年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比23.8%増の3,577百万円、営業利益が同47.6%増の203百万円、経常利益が同43.9%増の206百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同47.5%増の110百万円だった。全セグメントの売上※が大幅に伸長(保険販売事業が同23.8%増の1,980百万円、ソリューション事業が同27.1%増の1,029百万円、システム事業が同18.5%増の568百万円)して社内計画を上回る大幅増収増益で着地し、第1四半期、第2四半期とも過去最高の売上高となった。保険販売事業及びソリューション事業FC部門では「保険クリニック」(直営、FC)において貯蓄性保険を中心とした資産形成商品の販売が好調に推移し、(株)ライフアシスト(以下、LA)を第2四半期より新規連結したことも寄与した。さらにソリューション事業「ASシリーズ」やシステム事業「スマートOCR」の導入拡大も寄与した。利益面では積極的な採用やベースアップにより人件費などが増加したものの増収効果で吸収し、経費の一部の発生が下期にズレ込んだことも寄与した。

※セグメント別売上高については決算説明資料の管理会計ベースで表示しているため、制度会計ベースの決算短信・有価証券報告書の数値と異なる。また2024年6月期第2四半期より保険販売事業においてLAを新規連結した。


3. 2024年6月期通期の増収増益予想を据え置き、さらに上振れの可能性
2024年6月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比25.3%増の7,524百万円、営業利益が同97.8%増の371百万円、経常利益が同94.0%増の377百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同845.1%増の151百万円と、増収増益の見通しである。売上面は各セグメントとも伸長し、利益面は人財及びマーケティング投資により費用が増加するが増収効果で吸収する見込みだ。上期の進捗率は売上高が47.5%、営業利益が54.8%、経常利益が54.8%、親会社株主に帰属する当期純利益が73.0%だった。期初時点の計画では、下期に向けてストック収益が積み上がるため、上期は営業損失だが下期に大幅な黒字の想定としていた。しかし上期は計画以上の大幅増収増益で着地し、各利益の進捗率も高水準だった。さらに、積極的なプロモーションの効果で「保険クリニック」の集客数が増加基調となっていること、AS部門とシステム事業のストック収益が順調に拡大していることなどを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高いだろうと弊社では考えている。

4. Fintech企業として成長を目指す
同社は成長戦略として、システムの業界プラットフォーム化による収益の拡大とともに、「スマートOCR」戦略をもとに業容を広げ、Fintech企業として成長することを基本方針としている。2022年6月に策定した3か年計画(2023年6月期〜2025年6月期)では、1年目を「再始動の年」、2年目を「投資継続の年」、3年目を「成長の年」と位置付けて、最終年度となる2025年6月期の目標値に売上高8,495百万円〜8,795百万円、売上原価等1,327百万円、売上総利益7,168百万円〜7,468百万円、販管費6,468百万円、営業利益700百万円〜1,000百万円を掲げている。重点施策として、保険SHOPの新しいスタイルの確立(デジタル技術活用による最良の顧客サービスの永続的提供)、「保険クリニック」の認知度向上と集客数の向上、DXを活用したオンライン相談の拡大、「ASシステム」の大型導入先の開拓と新サービスの提供、「スマートOCR」事業のさらなる拡大、販売力の強化を推進する。「スマートOCR」では、AI-OCRと文書保管をベースとしたエンタープライズサーチシステムを想定しており、将来的には全業種に向けて、企業内にある紙やドキュメントの文書管理・検索、各種システム連携サービスを目指す。

5. 事業基盤強化の成果を評価、引き続き進捗状況に注目
同社は保険分析・販売支援プラットフォーマーとして、第1の柱である「保険クリニック」、第2の柱である「ASシリーズ」、そして第3の柱である「スマートOCR」によって収益拡大を図るとともに、業界の枠を超えたFintech企業としての成長を目指している。3か年計画2年目の2024年6月期第2四半期累計には、Web広告やSNSを活用した効率的な広告宣伝投資などにより「保険クリニック」集客数が順調に増加しただけでなく、「ASシリーズ」と「スマートOCR」の導入拡大によってストック収益が伸長した。2024年6月期通期予想に上振れの可能性が高まるなど、早くも事業基盤強化の成果が表れ始めたと弊社では評価している。したがって引き続き、Fintech企業としての事業基盤強化と利益率向上の進捗状況に注目したいと考えている。

■Key Points
・来店型保険ショップ「保険クリニック」、保険分析・販売ソリューション、スマートOCRを展開
・2024年6月期第2四半期累計は計画超の大幅増収増益で着地
・2024年6月期通期の増収増益予想を据え置き、さらに上振れの可能性
・3か年計画では3年目(2025年6月期)を「成長の年」と位置付け
・事業基盤強化の成果を評価、引き続き進捗状況に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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