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ファーマF Research Memo(1):医薬と食の融合で「ファーマフーズ」を目指すバイオテクノロジー企業

注目トピックス 日本株
*13:41JST ファーマF Research Memo(1):医薬と食の融合で「ファーマフーズ」を目指すバイオテクノロジー企業
■要約

ファーマフーズ<2929>は、人々の健康に貢献することを経営の基本方針に掲げ、「医薬」(Pharmaceuticals)と「食」(Foods)の融合からなる「ファーマフーズ」(Pharma Foods)を目指すバイオテクノロジー企業である。天然由来の原料にこだわり、科学的根拠に基づいた独自の技術により、健康維持と生活の質(QOL:Quality of Life)の向上に役立つ機能を明確に持つ食品素材を創造している。

1. 事業内容
同社は「医食の研究を進化させ、人々のために貢献する」というミッションを掲げ、人々の持続可能な健康的で幸せな社会の実現を目指している。その実現に向けて「免疫」「老化」「神経」に作用する機能性素材や医薬品等の研究開発を行い、独自の研究成果及び製品をBtoB事業、BtoC事業、バイオメディカル事業の3事業において広く社会に提供している。BtoB事業は「ファーマギャバ(R)」などの機能性素材製品等の製造販売のほか、2021年8月に子会社化した明治薬品(株)の医薬品・医薬部外品製造販売を行っている。BtoC事業は、育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」など同社独自の機能性素材を配合した医薬部外品・サプリメント・化粧品を通信販売及び卸販売している。バイオメディカル事業は、同社独自のニワトリ由来抗体作製技術「ALAgene(R) technology(アラジンテクノロジー)」を用いた創薬のほか、プロテオーム解析サービスも行っている。さらに新規領域として、卵殻膜素材の高度利用による新市場創造も目指している。

2. 2024年7月期第2四半期は黒字転換
2024年7月期第2四半期の連結業績は売上高が前年同期比9.9%減の31,652百万円、営業利益が1,535百万円(前年同期は883百万円の損失)、経常利益が1,542百万円(同912百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が768百万円(同914百万円の損失)だった。売上面はBtoB事業が順調に拡大したものの、BtoC事業における生産委託先の稼働率低下や原料メーカーの出荷制限による製造遅延の影響で減収だった。一方で、BtoC事業の新製品の広告宣伝を後ろ倒しにした影響で広告宣伝費が大幅に減少したため、各利益は黒字転換して着地した。なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が16,142百万円で営業利益が601百万円、第2四半期は売上高が15,510百万円で営業利益が933百万円だった。広告宣伝投資の適正化などにより、2023年7月期第2四半期より営業利益の計上が定着している。

3. 2024年7月期は下方修正して減益幅拡大の予想だが一過性要因によるもの
2024年7月期の連結業績予想は2024年3月11日付で下方修正して、売上高が前期比6.5%減の64,100百万円、営業利益が同25.2%減の2,700百万円、経常利益が同18.1%減の2,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同41.6%減の1,800百万円としている。期初計画に対して売上高は一転減収、各利益は減益幅が拡大する見込みとした。BtoB事業はおおむね順調だが、BtoC事業において上期に発生した生産委託先の稼働率低下や原料メーカーの出荷制限による製造遅延の影響で、「ニューZ」など新製品の本格的なプロモーションが計画よりも遅れる見込みとなった。ただし弊社では、下方修正は上期の一過性要因によるものであり、下期は新製品の本格的なプロモーションが開始される見込みであること、さらに広告宣伝費のコントロールが進んでいることなども勘案すれば、修正後の会社予想に上振れ余地があると考えている。

4. 成長戦略として「繊維」「電池素材」「バイオスティミュラント」分野の新市場を創造
同社は「中期経営計画2026」(2022年7月期〜2026年7月期)において「新価値創造1K」を掲げ、新価値(新製品、新市場、新組織)創造への取り組みにより2026年7月期に売上高1,000億円を目指している。売上数値目標の内訳は、既存事業の成長で700億円、新価値創造で300億円、コミットメントとして2026年7月期までに売上高平均成長率20%以上、並びに自己株式取得を含む総還元性向20%目安を掲げている。利益水準については、2026年7月期までは単年度における利益率低下を恐れずに事業展開を行い、大胆にリスクを取りながら規模を拡大することで、平均的に営業利益率10%を確保できる体制の構築を目指す。未利用資源のアップサイクル市場創造については、未利用の天然由来原料や卵殻膜の高度利用により「繊維」「電池素材」「バイオスティミュラント※」分野での新市場創造を目指している。2024年2月には(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)と「バイオものづくり革命推進事業」プロジェクトについて正式契約し、5ヶ年の研究開発事業がスタートした。

※Biostimulant。植物に対する非生物的ストレスを制御することにより、気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、健全な植物を提供する新しい技術のこと(日本バイオスティミュラント協議会のHPより引用)。


5. 創薬や卵殻膜素材の高度利用などによる中長期的な成長ポテンシャルは高い
同社は、生命活動と健康維持に関わる3つの要素「免疫」「老化」「神経」を開発コンセプトとするバイオテクノロジー企業である。弊社では同社の機能性素材探索、機能性製品開発、さらには創薬や卵殻膜素材を高度利用した新市場創造に至る開発力を高く評価しており、中長期的な成長ポテンシャルも高いと考えている。また企業価値向上に向けた取り組みの一環として、株式市場や投資家との対話の強化を打ち出したことも評価材料となる。今後も、NEDOとの契約に伴う「バイオものづくり革命推進事業」プロジェクト(「繊維」「電池素材」「バイオスティミュラント」)や、田辺三菱製薬(株)とライセンス契約している「自己免疫疾患プロジェクト」の進捗状況に注目したい。

■Key Points
・「医薬」と「食」の融合からなる「ファーマフーズ」を目指すバイオテクノロジー企業
・2024年7月期第2四半期は黒字転換
・2024年7月期は下方修正して減益幅拡大の予想だが一過性要因によるもの
・成長戦略として「繊維」「電池素材」「バイオスティミュラント」分野の新市場を創造
・創薬や卵殻膜素材の高度利用などによる中長期的な成長ポテンシャルは高い

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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