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No.1 Research Memo(8):100年企業を見据えた長期ビジョン及び中期経営計画を推進

注目トピックス 日本株
*13:08JST No.1 Research Memo(8):100年企業を見据えた長期ビジョン及び中期経営計画を推進
■No.1<3562>の中期経営計画「Evolution2027」の方向性

1. 長期ビジョン及び中期経営計画の位置付け
同社は、2024年4月に2030年のありたい姿「Vision2030」を公表した。100年企業にふさわしい企業体の形成を目指し、確固たる経営基盤を確立するため、「日本を元気にする一番の力へ。」へ経営理念を進化(事業領域の拡大)、顧客感動満足度の具現化、ITを活用した新しいビジネスの創出に取り組むとともに、2030年2月期の売上高240億円、営業利益34億円、時価総額300億円をイメージしている。

また、長期ビジョンと合わせて、その第1ステージとなる中期経営計画「Evolution 2027」(2025年2月期〜2027年2月期)を掲げた。中計は長期ビジョンの実現に向けて、構造改革を図り、次の成長を仕込む期間と位置付けられており、1) 経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革、2) 事業領域拡大に向けた積極投資、3) 収益構造の安定化、4) サステナビリティ経営・人的資本経営の推進に取り組む考えだ。

2. 数値目標(ロードマップ)
中期経営計画「Evolution2027」最終年度である2027年2月期の業績目標として、売上高168億円、営業利益18.3億円、ROE20%以上、EBITDA21.6億円を目指す。ただ、初年度の2025年2月期は、持続的成長・企業価値向上に向け、経営基盤・事業基盤の再強化、構造改革に取り組む助走期間とし、2026年2月期から成長路線に転じるとともに、2027年2月期以降の飛躍を実現していくロードマップとなっている。

3. 企業価値向上に向けた重点戦略
(1) 経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革
初年度の2025年2月期において、人的資本投資、システム投資、ストック強化への投資、M&Aなど先行投資を通じて経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革に取り組む。特に、1) 新たな分野への進出(新商品・サービス拡充)、2) 顧客レイヤーの拡大(市場開拓、シナジーの創出)の2軸により、現在の中小企業を中心としたフロー型ビジネス主体の体制から事業領域を拡大していく。

(2) 事業領域拡大に向けた積極投資
M&A・事業提携並びにシステム投資に積極的に取り組む。特にM&A・事業提携については、1) 後継者問題を抱える地域企業や業容拡大を目指すBtoB企業、2) AIを活用したサービス開発企業、GDX関連企業、3) 社会問題であるITエンジニア不足の解消に向けたノーコード、ローコードソフトウェア提供企業※やSE企業、4) 新規事業分野への参入による成長領域の拡大などを目的とする。

※ ノーコード及びローコードとは、ソースコードのコーディングを行わない、あるいは少ないプログラムコードで開発ができる開発手法。専門チームがなくても開発が可能となることや、汎用性・拡張性に優れているとことなどにメリットがある。

(3) 収益構造の安定化
引き続き、1) 「No.1ビジネスサポート」の拡充と浸透、2) クラウドサービスの拡充、3) その他(通信機器事業・レンタル事業の拡充、新事業領域への展開等)により、ストック収益を伸ばしていく。具体的には、最終年度までに現在の1.5倍の規模に拡大させ、売上構成比で30%(現在は14.6%)に引き上げる※。

※ 売上構成比30%の内訳は、「No.1ビジネスサポート」を含む保守・サービスで20%、「デジテラス」を軸とするクラウドサービスで10%となっている。

(4) サステナビリティ経営・人的資本経営の推進
「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を礎に、社会と会社の持続的成長を実現するため、提供する商品・サービス、社内外の様々な企業活動において、サステナビリティ経営を推進する考えである。そのためには、人的資本の強化が特に重要になるとの認識に立ち、求める人材像(人に対する波及力、同社らしさ、学びと新たな価値の創造)に基づいて、人財育成や社内環境整備にも取り組む。

4. 財務戦略
経営基盤・事業基盤の再強化及び構造改革に向けて、戦略的成長投資(M&A、人財投資、IT投資)を積極的に行う考えであり、営業キャッシュ・フローを超える投資が必要な場合は、10億円〜40億円の範囲で外部借入の活用も検討する。また、下限配当の設定や自己株式の取得を機動的に実施するなど、株主還元の充実(詳細は後述)にも取り組みつつ、財務規律は維持し、適正な安全性を確保する方針である。

5. 資本コストや株価を意識した経営の推進
前中期経営計画において、EPS及びROEは大幅に向上し、ROEは株主資本コスト(同社推定6%〜8%)を大きく上回る水準にある。今後も利益成長により着実にEPSを積み上げるとともに、資本収益性にも目を配ることでROE20%以上の水準を確保していく。一方、最大の課題であるPERの引き上げについては、情報開示の拡充、IRの取り組み強化などを通じて、同社の成長期待に見合った適正な株価形成を目指す。

6. 今後の注目点
弊社では、長期ビジョン及び中期経営計画「Evolution2027」によって示された方向性は、これまでの成功体験に甘んじることなく、100年企業を見据えて自分たちの足りないものは何か、どう進化すべきかをバックキャスティングで判断し、構造改革に踏み切る決断をした点において非常に理にかなったものと評価している。これまでもM&Aなどを通じて外部資源を活用し、環境変化に合わせてパワーアップしてきた同社にとって、これからどのような進化を遂げていくのか、まさに経営手腕の見せ所と言えるだろう。注目すべきは、ハイパーとの業務提携等による販路拡大の動きである。数段上のレイヤー(100人規模)を含めて、いかに顧客層を拡大できるかがポイントとなろう。また、戦略的成長投資についても、構造改革に向けてどういった分野に資金投入し、どのような投資効果を目指すのか、具体的な動きを追うことは今後の戦略を探るうえでも重要な判断材料になるだろう。新たに参入したSES事業にも注目したい。早期に軌道に乗ってくれば、さらなる拡大の動き(M&A等)にも注意する必要がある。いずれにしても、新たな顧客層の開拓(顧客レイヤーの引き上げ)と新規事業の拡大は相互に連動するものであり、そういった視点からフォローする必要があるだろう。また、これらの動きとともに同社の成長性や収益性にも大きな変化が生じる可能性が高く、同社はまさに転換点にあるとの見方ができる。時価総額300億円に向けた道筋をいかにたどっていくのか、今後の動向を見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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