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仮想通貨交換業にIT企業が参入しようとする本当の“理由”【FISCOソーシャルレポーター】

仮想通貨コラム
以下は、フィスコソーシャルレポーターの仮想通貨分析者のべーすけ氏(Twitter「@mag1cmax」)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2018年3月30日1時に執筆

コインチェックのNEM盗難事件で仮想通貨市場は終わったとお考えの方も多いことだろう。
しかし、3月23日にヤフー<4689>が子会社を通じて「ビットアルゴ取引所東京」の株式40%を取得し、2019年春にも追加出資するというニュースが報道された(フィスコ追記:3月30日9:00時点で会社側からの正式発表はなし)。さらに、サイバーエージェント<4751>、メルカリ、LINE<3938>など今を時めくIT企業達がこぞって仮想通貨交換業者への登録を目指している。

さかのぼること20年前のITバブルの時世に、IT長者達はこぞって金融機関の買収や新規設立に動いた。彼らが金融機関の取得に動いた理由は、EコマースやWebサービス等から「金融」は切っても切り離せず、かつ自社のエコシステムに組み込むことが一番の利益になると考えたためだろう。

しかし、国の岩盤規制などもあり新規設立は難しかった。そこで、買収や出資を行う形で金融機関を手中に収めようと試みたが、金融機関特有の内部政治に右往左往する羽目になり、IT企業による金融機関取得の流れは上手く進まなかった。

2017年4月に仮想通貨交換業が登録制となり、金融庁の管轄に入ることとなった。
一定の制約を前提としているとはいえ、国から認められたというのは大きな一歩だったように思う。

詳しい仕組み等の説明は省くが、仮想通貨の誕生と、またビットコインの基盤技術であるブロックチェーン技術の導入・応用が今後進展した場合に大きな変革・影響があるとみなされる領域は多岐にわたり、通貨の発行、保険、投資、両替、送金、貯金、金貸しなどが該当する。つまり、仮想通貨とその技術を利用した関連事業が将来的にインパクトを与え得る範囲は中央銀行+市中銀行+保険会社+証券会社+FX会社+クレジットカード決済会社等、金融に関わるありとあらゆる領域と言っても過言ではない。

IT企業は仮想通貨それ自体が儲かるため参入するという意見が多いように感じるが、私はIT企業が金融機関の取得を諦めたとは考えておらず「仮想通貨交換業」という形態から参入して技術面のノウハウを獲得し、将来的には悲願の「総合金融業」へと参入することの方が本質的な“理由”ではないかと考えている。

株やFXを行っている人にはにわかに信じられないかもしれないが、既存の金融商品などと比較すると、仮想通貨とその関連事業領域に関する規制は現在進行形で検討・作成されている状態であり、まだ不確定の部分が大きい。新たな参入者にも十分にチャンスが巡ってくる可能性があるのだ。

コインチェック事件を契機として、このキャンバスにも規制の手が及ぶことは容易に想像できる。つまり、遅かれ早かれ仮想通貨交換業者の免許取得(登録)は既存の金融機関の免許取得同様に難しくなると考えられる。それを見越してIT企業達が動いているのならば、仮想通貨の時代は終わるどころか、まだ始まったばかりなのかもしれない。

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執筆者名:べーすけ
twitter名:@mag1cmax



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