もきち♪:通貨と国とインターネット【FISCOソーシャルレポーター】【フィスコ・仮想通貨コラム】
[18/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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仮想通貨コラム
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家もきち♪氏(ブログ「もきちのきもち 株とコンピュータ編」「もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2018年7月31日14時に執筆
【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由(実業之日本社)という本を読みました。
ちなみに著者の中川 博貴氏は仮想通貨取引所を開設しているフィスコグループのフィスコIR 取締役 COOですが、強引なビットコイン誘導とかはありませんので、安心して読むことができます。
■キャズムとは?
まず、タイトルの「キャズム」という言葉が聞きなれなくて気になりました。
「キャズム」とは「溝」のことで、マーケティングでは、新しい物が世に出て一部の初期少数採用者から、初期多数採用者(アーリー・マジョリティ)に採用されるところに存在する大きな溝のことを指します。
初期段階ではありますが、キャズムを超えると少数の採用から多数の採用に移行しますので、ここを超えれば一般に広く広がると期待されます。そして、この段階を超えるのが大変だねってことです。
新たな物が世に出た時に人々がどのような反応を取るかというイノベーター理論の5分類が元になっています。
ということでタイトルもビットコインが一般に広がる前の溝(キャズム)のことを言っているということが分かりましたので、安心して感想を確認していきます。
■通貨とは?
まず、通貨とは何かを考えさせられます。人類の歴史上商取引は物々交換から始まったと言われていますが、そもそも物々交換がそれほどうまくいっていたのかという疑問が提議されています。
例えば山奥で狩猟生活を送っている人が、野菜を食べたいと思ってイノシシを農家にもっていっても、都合よくほしい野菜があるとは限りません。ましてや、魚となるとなおさら難しそうです。アマゾンに住んでいても、Amazonはありませんので取引相手を探すのも一苦労です。
そもそも物々交換はうまくいっていなかったのではないかというのです。
石の貨幣も重くて持ち歩けませんので、実用的ではありません。そこで実際には象徴的存在として、普段の商取引は帳簿に記録することで行われていたのではないかという説が紹介されています。徐々に金などの希少物を取引の媒体にしていったのではないかという見方です。
■国
その後、国のようなものができてくると、商取引に使われる媒体を管理するようになります。はじめはそれまでと同じように希少物を使って商取引を行っていたのが、だんだんその媒体そのものよりも高価なお墨付きを国がつけて商取引に使わせるということになります。
金貨や銀貨の貨幣です。
国の基盤がしっかりしていると、例えば材料の10倍などの価値で流通させることができます。国は、材料よりもずっと高価な通貨を作った差額を利益とすることができます。
通貨発行益(シニョリッジ:seigniorage)です。希少物は希少で量が限られていますが、国としてはどんどん通貨を発行したい。どんどん通貨発行益が増えてきます。
ついには紙に「通貨」と書いて発行するようになります。国にとってこの通貨発行権というのはとても重要です。
■インターネット
国内での商取引はその国の通貨で行われます。
名古屋の駅前で買い物をしたら、名古屋の通貨である日本円で決済します。
でも、インターネットは世界中つながっています。名古屋からブラジルの業者の商品を購入することができます。そうすると、決済をどうするかという問題が出てきます。
ブラジルの業者だからといって、ブラジルの通貨であるブラジルレアルで請求されると困ってしまいます。何度も取引するのならレアルを準備してもいいのですが、一度取引したいだけなのに、ブラジルレアルを用意するのはちょっとしんどいのです。
インターネットが世界中につながって商取引が気軽にできるのですから、共通で使える通貨が必要になります。
■仮想通貨
ということで、国とは別に価値が認められた仮想通貨が生まれるのは自然な流れなのかもしれません。
だとすると、仮想通貨は無くならないということです。この本の帯に書かれている「ビットコインに終焉はない!」ということも道理なのかもしれません。
ただ、ここで、国がどのような対応を取るかという問題が出てきます。国にとって通貨発行権というのはとても重要なのです。お金が足りなければ印刷すればいいのです。
特に、世界の基軸通貨となっている米ドルを発行できる某国は黙ってみていられないと思うのです。
中国など仮想通貨を禁止する国も出てきています。規制がなければ仮想通貨はキャズムを超えて普及するかもしれませんが、各国がどのような規制対応を取るのかという点は今後注意してみていく必要があると思っています。
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執筆者名:もきち♪
ブログ名:もきちのきもち 株とコンピュータ編
もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編
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※2018年7月31日14時に執筆
【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由(実業之日本社)という本を読みました。
ちなみに著者の中川 博貴氏は仮想通貨取引所を開設しているフィスコグループのフィスコIR 取締役 COOですが、強引なビットコイン誘導とかはありませんので、安心して読むことができます。
■キャズムとは?
まず、タイトルの「キャズム」という言葉が聞きなれなくて気になりました。
「キャズム」とは「溝」のことで、マーケティングでは、新しい物が世に出て一部の初期少数採用者から、初期多数採用者(アーリー・マジョリティ)に採用されるところに存在する大きな溝のことを指します。
初期段階ではありますが、キャズムを超えると少数の採用から多数の採用に移行しますので、ここを超えれば一般に広く広がると期待されます。そして、この段階を超えるのが大変だねってことです。
新たな物が世に出た時に人々がどのような反応を取るかというイノベーター理論の5分類が元になっています。
ということでタイトルもビットコインが一般に広がる前の溝(キャズム)のことを言っているということが分かりましたので、安心して感想を確認していきます。
■通貨とは?
まず、通貨とは何かを考えさせられます。人類の歴史上商取引は物々交換から始まったと言われていますが、そもそも物々交換がそれほどうまくいっていたのかという疑問が提議されています。
例えば山奥で狩猟生活を送っている人が、野菜を食べたいと思ってイノシシを農家にもっていっても、都合よくほしい野菜があるとは限りません。ましてや、魚となるとなおさら難しそうです。アマゾンに住んでいても、Amazonはありませんので取引相手を探すのも一苦労です。
そもそも物々交換はうまくいっていなかったのではないかというのです。
石の貨幣も重くて持ち歩けませんので、実用的ではありません。そこで実際には象徴的存在として、普段の商取引は帳簿に記録することで行われていたのではないかという説が紹介されています。徐々に金などの希少物を取引の媒体にしていったのではないかという見方です。
■国
その後、国のようなものができてくると、商取引に使われる媒体を管理するようになります。はじめはそれまでと同じように希少物を使って商取引を行っていたのが、だんだんその媒体そのものよりも高価なお墨付きを国がつけて商取引に使わせるということになります。
金貨や銀貨の貨幣です。
国の基盤がしっかりしていると、例えば材料の10倍などの価値で流通させることができます。国は、材料よりもずっと高価な通貨を作った差額を利益とすることができます。
通貨発行益(シニョリッジ:seigniorage)です。希少物は希少で量が限られていますが、国としてはどんどん通貨を発行したい。どんどん通貨発行益が増えてきます。
ついには紙に「通貨」と書いて発行するようになります。国にとってこの通貨発行権というのはとても重要です。
■インターネット
国内での商取引はその国の通貨で行われます。
名古屋の駅前で買い物をしたら、名古屋の通貨である日本円で決済します。
でも、インターネットは世界中つながっています。名古屋からブラジルの業者の商品を購入することができます。そうすると、決済をどうするかという問題が出てきます。
ブラジルの業者だからといって、ブラジルの通貨であるブラジルレアルで請求されると困ってしまいます。何度も取引するのならレアルを準備してもいいのですが、一度取引したいだけなのに、ブラジルレアルを用意するのはちょっとしんどいのです。
インターネットが世界中につながって商取引が気軽にできるのですから、共通で使える通貨が必要になります。
■仮想通貨
ということで、国とは別に価値が認められた仮想通貨が生まれるのは自然な流れなのかもしれません。
だとすると、仮想通貨は無くならないということです。この本の帯に書かれている「ビットコインに終焉はない!」ということも道理なのかもしれません。
ただ、ここで、国がどのような対応を取るかという問題が出てきます。国にとって通貨発行権というのはとても重要なのです。お金が足りなければ印刷すればいいのです。
特に、世界の基軸通貨となっている米ドルを発行できる某国は黙ってみていられないと思うのです。
中国など仮想通貨を禁止する国も出てきています。規制がなければ仮想通貨はキャズムを超えて普及するかもしれませんが、各国がどのような規制対応を取るのかという点は今後注意してみていく必要があると思っています。
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執筆者名:もきち♪
ブログ名:もきちのきもち 株とコンピュータ編
もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編
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