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富士通研究所とFLA、ハイブリッド・マルチクラウドのネットワークインフラを一括設計・運用する技術を開発

TOKYO, Mar 7, 2017 - (JCN Newswire) - 株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所) およびFujitsu Laboratories of America(注2)(以下、FLA)は、複数のクラウドや企業ネットワークにまたがった仮想的なネットワークインフラ(以下、仮想ネットワークインフラ)の設計・構築・運用を容易にする技術を開発しました。

これまで、一つのクラウドや企業の拠点などでは、Software Defined Networking(以下、SDN)技術により、仮想ネットワークインフラを構築できましたが、複数のクラウドや拠点をまたがる場合には、それぞれ設定方法が異なることに加え、各ITインフラ間を接続する設定もそれぞれ個別に行う必要があり、専門的な知識を持つエンジニアが時間をかけて対応していました。

今回、ITインフラのネットワークの構成要素を抽象化し、異なる複数のITインフラにまたがる仮想ネットワークインフラを一括して、設計・構築・運用管理ができるソフトウェア技術を開発しました。本技術を、一つのクラウドと、端末が数十台規模の拠点にまたがった仮想ネットワークインフラの設計・構築に適用したところ、従来の10分の1以下の時間で構築できました。

本技術により、ユーザーやアプリケーションの要求に応じた構築・運用が可能となり、第5世代移動通信、IoTやクラウド時代の多様なサービスをささえる、複数のITインフラにまたがった仮想ネットワークインフラの実現に貢献します。

本技術の詳細は、3月2日(木曜日)から沖縄で開催された「ネットワークシステム研究会」にて発表しました。また、本技術について3月9日(木曜日)に米国サンタクララで開催予定の技術展「Fujitsu North America Technology Forum (NATF) 2017」にて展示します。

開発の背景

第5世代移動通信やIoT技術が広く普及する時代に向け、サービス要求や需要の変化に応じクラウド上で効率的に多様なサービスを提供できる技術が求められています。

クラウドサービスを提供する事業者は、SDN技術をはじめとしたコンピュータ資源の仮想化技術により、物理的なITインフラによらず、サービスごとに必要に応じて、IoT機器やスマートデバイス、PCからクラウドにまたがる仮想ネットワークインフラを作ることで、安全かつ効率よくサービスを提供できるようになります。例えば、IoT機器から多くのデータをクラウドに格納してデータ解析を行って様々な分野で活用したり、企業組織の変更にあわせ、業務ネットワークを柔軟に構築するといった活用が始まっています。このような仮想ネットワークインフラは、随時生じるサービス要求や需要の変化に素早く対応できることが求められています。

課題

従来、一つのITインフラ内では、ユーザーの要求するネットワークの設計図(以下、論理ネットワーク)を基にSDN技術を用いることで仮想ネットワークインフラを作ることができましたが、異なる企業または複数の拠点で運用しているクラウドサービスにまたがった仮想ネットワークインフラを構築する場合は、それぞれのSDNコントローラーの設定方法が異なることに加え、異なるITインフラ間を繋ぐためのVPNやVXLANなどの仮想ネットワークインフラが介在し専門的なネットワークの知識が必要なため構築に手間と時間がかかりました。

開発した技術

今回、ITインフラのネットワークの構成要素を抽象化し、複数の拠点にまたがった仮想ネットワークインフラを一括して自動的に設計・構築し、一つのネットワークインフラとして運用・管理できる技術を開発しました。

開発した技術の特長は以下のとおりです。

1.ITインフラの抽象化技術
ITインフラを構成する各要素の設定や、動作状況の観測機能について、ネットワークの構成要素を模した論理的なソフトウェア部品と対応づける技術を開発しました。本技術を用いることにより、設計された論理ネットワークから、複数のITインフラをまたいで自動的に仮想ネットワークインフラを構築します。加えて、仮想ネットワークインフラの運用、障害対応管理についても論理ネットワーク上で行うことができ、仮想ネットワークインフラのライフサイクル(設計、構築、運用、障害対応)管理を、論理ネットワーク上で実現できます。

2.仮想ネットワーク機能自動補完技術
仮想ネットワークインフラの設計において、論理ネットワークの接続状況から設計者の意図を抽出することにより、論理ネットワークから仮想ネットワークインフラに変換するのに必要な仮想ネットワーク機能を自動で補完する技術を開発しました。
設計された論理ネットワークにおける構成要素の接続部分に着目し、接続の両端に位置する、ITインフラ、サブネットやノードといった異なるレベルのオブジェクトの接続を確認することで、設計者の意図を判別し、必要となる仮想ネットワーク機能を自動的に補完します。

効果

今回開発した技術により、複数の企業や拠点にまたがる複雑な仮想ネットワークインフラの構築について、専門的な知識なしに短時間で構築可能になります。例えば、一つのクラウドと、端末が数十台規模の拠点にまたがった仮想ネットワークを設計・構築する場合、従来、仮想ネットワークの専門知識を持つエンジニアが4人で3日かかっていたものが、本技術を用いることでエンジニア1人が1日で完了できるようになるなど10分の1以下に構築時間を短縮できます。

本技術を用いることで、業務システムをクラウドへ移行する場合に、論理ネットワーク上での操作を行うだけでクラウドマイグレーションを短時間で実現できるようになります。また、多数の拠点のネットワークインフラを立ち上げる場合に、一つの論理ネットワークを設計し、その構成を複製するだけで簡単に各拠点の立ち上げやセキュリティ機能の追加を容易に行えるようになります。

今後

富士通研究所とFLAでは、今後、本技術を用いて論理ネットワークでライフサイクル管理を行うための他機能の開発を進め、 2017年度以降に富士通株式会社にてクラウドサービスを利用する企業ユーザー向けネットワーク管理機能として商用化を目指します。本機能は、「FUJITSU Cloud Service K5」上で利用可能となる予定です。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/03/7.html

注釈
注1 株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木繁。
注2 Fujitsu Laboratories of America:本社 米国Sunnyvale, CA、CEO 加藤雅之。

概要:富士通株式会社

詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。


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