富士通研究所、データセンターのラックあたりのサーバ実装密度を向上させる仮想サーバ制御技術を開発
[17/06/27]
TOKYO, Jun 27, 2017 - (JCN Newswire) - 株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、データセンターのラックあたりのサーバ実装密度を向上させる仮想サーバ(以下、VM)制御技術を開発しました。
現在、データセンターでは、ラックへのサーバ搭載台数は、サーバの定格電力の合計値がラックの給電量以下となるように決められています。しかし、サーバの負荷は、10から50%程度と低くなる場合も多く、負荷に比例するラックあたりの電力使用量は定格電力に対して低い状態でした。今回、サーバ実装密度を高めるために、データセンター内に予備のサーバからなる区画を設け、VMの物理配置と電力消費に基づいて予備の区画にVMのマイグレーションを行うことで効率的なサーバ設置を実現する技術を開発しました。
これにより、VMが動作しているラックであれば、実装密度の向上による、データセンターのスペース削減が可能となり、サーバラックの稼働効率(注2)を90%とした一例では、スペースを40%削減できることを試算しました。
本技術の詳細は、6月25日(日曜日)から30日(金曜日)米国ホノルルで開催中の国際会議「IEEE Cloud 2017」にて発表しました。
開発の背景
データセンターに置かれるサーバの数が増え続ける中、今後は、AIやIoTシステムの伸長とともにさらに増加することが予想されるため、限られたスペースと電力の範囲で、サーバ実装密度の向上が求められています。
課題
データセンターでは、ラックにサーバを搭載するにあたり、各サーバの定格電力をもとにラックへの給電量を超えないようにサーバ台数を決定しますが、サーバの負荷は、10から50%程度と低いことが多く、負荷に比例するラックあたりの電力使用量も定格電力に対し低い状態のため実装密度の向上が求められています。
これに対し、給電量を超えた台数のサーバをラックに搭載し、実際の稼働状況を監視して万一給電量を超えそうな場合には、サーバの動作周波数を抑えることで消費電力を抑え込む電力キャッピング技術が近年開発されていますが、この技術は、ミッションクリティカルな用途など一定の処理性能を必要とする用途では利用することができませんでした。
開発した技術
今回、データセンター内に物理サーバをラックに高密度に実装し、さらに予備の区画を設けて、サーバの電力使用量に応じて各ラックの給電量を超えないようにVMのマイグレーション機能を利用してVMを移動させるVM制御アルゴリズムを開発しました。
開発した技術の特長は以下のとおりです。
1.物理配置に基づいたVM制御技術
VM管理ソフトで構築した仮想データセンターでは、クラスタと呼ぶ物理サーバの論理的な管理単位を定め、クラスタ内の物理サーバは、異なるラックへの収納など物理的な制限が無く、故障時やメンテナンスによりサーバが停止した際などクラスタ間のVMのマイグレーションが自動で行えますが、実際の物理的なサーバのレイアウトは、必ずしも考慮されていませんでした。今回、データセンターの管理で標準的に利用できるAPIを用いて、サービスを展開する区画のサーバの物理配置(運用区画)と給電量に近づいた時にVMを移動させる先となる予備の区画のサーバの物理配置に関するデータベースを構築し、サーバから収集した刻々と変化する電力使用量を、サーバのシリアル番号・ラック番号と紐づけて収集・管理することで、ラックへの給電量を越えないように制御する技術を開発しました(図1、2)。これにより、運用区画の実装密度が向上し、スペース削減を実現します。
2.実稼働データに基づく搭載ルール設定技術
サーバ実装密度を上げ過ぎると頻繁なマイグレーションが起こるため、電力量と比例するサーバ負荷とマイグレーション頻度の適度なバランスが必要です。今回、あらかじめ測定した各サーバの負荷をもとに、負荷の変動が正規分布となると仮定し、ラックごとのマイグレーション頻度を統計的に予測することでラックに搭載するサーバ台数を決める技術を開発しました(図3)。例えば、30%のサーバ負荷が正規分布の中心の場合、50%の負荷の電力値に基づいた台数を搭載することで、95.5%の負荷の変動を吸収しつつ、サーバ実装密度を最大にすることができます。
効果
本技術の適用により、データセンター内のサーバ実装密度の向上が可能となり、設置スペースの大幅な削減が期待できます。負荷変動が正規分布で予測できるようなクラウドサービスを提供する用途において、一例として、サーバラックの稼働効率が50%で10区画を使い運用しているデータセンターに対し、今回開発した技術を用いて5区画でサーバラックの稼働効率が90%となるように制御して運用した場合は、適用前と比べて40%のスペースの削減が行えます。
今後
富士通研究所では、本技術を富士通株式会社のインフラ運用管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」へ2018年度中に実装する予定です。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/06/27.html
注釈
注1 株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木繁。
注2 サーバラックの稼働効率:電力給電量におけるサーバの消費電量のラックあたりの合計値の比率。
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
Copyright 2017 JCN Newswire. All rights reserved. www.jcnnewswire.com
現在、データセンターでは、ラックへのサーバ搭載台数は、サーバの定格電力の合計値がラックの給電量以下となるように決められています。しかし、サーバの負荷は、10から50%程度と低くなる場合も多く、負荷に比例するラックあたりの電力使用量は定格電力に対して低い状態でした。今回、サーバ実装密度を高めるために、データセンター内に予備のサーバからなる区画を設け、VMの物理配置と電力消費に基づいて予備の区画にVMのマイグレーションを行うことで効率的なサーバ設置を実現する技術を開発しました。
これにより、VMが動作しているラックであれば、実装密度の向上による、データセンターのスペース削減が可能となり、サーバラックの稼働効率(注2)を90%とした一例では、スペースを40%削減できることを試算しました。
本技術の詳細は、6月25日(日曜日)から30日(金曜日)米国ホノルルで開催中の国際会議「IEEE Cloud 2017」にて発表しました。
開発の背景
データセンターに置かれるサーバの数が増え続ける中、今後は、AIやIoTシステムの伸長とともにさらに増加することが予想されるため、限られたスペースと電力の範囲で、サーバ実装密度の向上が求められています。
課題
データセンターでは、ラックにサーバを搭載するにあたり、各サーバの定格電力をもとにラックへの給電量を超えないようにサーバ台数を決定しますが、サーバの負荷は、10から50%程度と低いことが多く、負荷に比例するラックあたりの電力使用量も定格電力に対し低い状態のため実装密度の向上が求められています。
これに対し、給電量を超えた台数のサーバをラックに搭載し、実際の稼働状況を監視して万一給電量を超えそうな場合には、サーバの動作周波数を抑えることで消費電力を抑え込む電力キャッピング技術が近年開発されていますが、この技術は、ミッションクリティカルな用途など一定の処理性能を必要とする用途では利用することができませんでした。
開発した技術
今回、データセンター内に物理サーバをラックに高密度に実装し、さらに予備の区画を設けて、サーバの電力使用量に応じて各ラックの給電量を超えないようにVMのマイグレーション機能を利用してVMを移動させるVM制御アルゴリズムを開発しました。
開発した技術の特長は以下のとおりです。
1.物理配置に基づいたVM制御技術
VM管理ソフトで構築した仮想データセンターでは、クラスタと呼ぶ物理サーバの論理的な管理単位を定め、クラスタ内の物理サーバは、異なるラックへの収納など物理的な制限が無く、故障時やメンテナンスによりサーバが停止した際などクラスタ間のVMのマイグレーションが自動で行えますが、実際の物理的なサーバのレイアウトは、必ずしも考慮されていませんでした。今回、データセンターの管理で標準的に利用できるAPIを用いて、サービスを展開する区画のサーバの物理配置(運用区画)と給電量に近づいた時にVMを移動させる先となる予備の区画のサーバの物理配置に関するデータベースを構築し、サーバから収集した刻々と変化する電力使用量を、サーバのシリアル番号・ラック番号と紐づけて収集・管理することで、ラックへの給電量を越えないように制御する技術を開発しました(図1、2)。これにより、運用区画の実装密度が向上し、スペース削減を実現します。
2.実稼働データに基づく搭載ルール設定技術
サーバ実装密度を上げ過ぎると頻繁なマイグレーションが起こるため、電力量と比例するサーバ負荷とマイグレーション頻度の適度なバランスが必要です。今回、あらかじめ測定した各サーバの負荷をもとに、負荷の変動が正規分布となると仮定し、ラックごとのマイグレーション頻度を統計的に予測することでラックに搭載するサーバ台数を決める技術を開発しました(図3)。例えば、30%のサーバ負荷が正規分布の中心の場合、50%の負荷の電力値に基づいた台数を搭載することで、95.5%の負荷の変動を吸収しつつ、サーバ実装密度を最大にすることができます。
効果
本技術の適用により、データセンター内のサーバ実装密度の向上が可能となり、設置スペースの大幅な削減が期待できます。負荷変動が正規分布で予測できるようなクラウドサービスを提供する用途において、一例として、サーバラックの稼働効率が50%で10区画を使い運用しているデータセンターに対し、今回開発した技術を用いて5区画でサーバラックの稼働効率が90%となるように制御して運用した場合は、適用前と比べて40%のスペースの削減が行えます。
今後
富士通研究所では、本技術を富士通株式会社のインフラ運用管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」へ2018年度中に実装する予定です。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/06/27.html
注釈
注1 株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木繁。
注2 サーバラックの稼働効率:電力給電量におけるサーバの消費電量のラックあたりの合計値の比率。
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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