ソニーなど、面記録密度201Gbit/inch2を達成した磁気テープストレージ技術を開発
[17/08/02]
TOKYO, Aug 2, 2017 - (JCN Newswire) - ソニーは、スイス・チューリッヒにあるIBMチューリッヒ研究所(IBM Research - Zurich)と共同で、テープストレージメディアとして業界最高※1の面記録密度201Gbit/inch2を達成した磁気テープストレージ技術を開発しました。これは、ソニーが新たに開発した潤滑剤等を採用した磁気テープ技術に加え、IBMチューリッヒ研究所が手掛けた新開発の記録/再生用ヘッドと先進的なサーボ制御技術、革新的な信号処理アルゴリズム等を組み合わせることにより実現したものです。面記録密度201Gbit/inch2は、従来※2の磁気テープストレージメディア(9.6Gbit/inch2)の約20倍となります。これは、従来技術によるデータカートリッジ1巻あたり15テラバイト(TB)の記録容量に対し、約330TB※3の大容量データ記録を可能とする技術です。
なお本成果は、2017年8月2日(水)からつくば市で開催されているThe 28th Magnetic Recording Conference(TMRC 2017、つくば国際会議場)において、IBMチューリッヒ研究所との連名で発表されました。
近年、IoT(Internet of Things)の進展や、クラウドサービスの普及、ビッグデータの活用による新たな市場創出などに伴い、データストレージメディアの大容量化への需要が高まっています。加えて、データベースやサーバー等の情報システムにおける信頼性の高いデータ復旧や、情報の安全管理という観点からもデータストレージの重要性が再認識されています。そのような中、磁気テープは、長期保存性のほか、低消費電力性能、コスト優位性、省スペースなどの点においてデータストレージメディアとしての高い将来性が見込まれています。
テープストレージメディアの高記録密度化のためには、磁気テープと磁気ヘッドの距離(スペーシング)を狭くすることが重要です。また、スペーシングの縮小に伴い、テープ表面と磁気ヘッドの接点の摩擦が上昇する傾向がありますが、より高速で高容量な記録・再生のためには摩擦を抑え、磁気ヘッドがテープ表面を滑らかに走行できるようにする必要があります。今回の磁気テープ技術の確立にあたり、ソニーはテープ表面と磁気ヘッドの間に塗布する潤滑剤を新たに開発しました。この潤滑剤は、テープ表面と磁気ヘッドの走行摩擦を抑える低摩擦特性と、テープ磁性面と潤滑剤の接合を維持するための高耐久性という二つの特性を実現しました。
さらに、本技術は微細な磁性粒子(グレイン)を有するナノ・グレイン(Nano grain)磁性膜※4の長尺化を可能としました。一般的に磁気テープの成膜時には、製造装置から発生する不純物ガスの影響により、磁性膜の結晶配向の乱れや大きさのばらつきが生じることが課題でした。今回、不純物ガスの発生を抑える新たなプロセス技術を開発し、それを磁性粒子の大きさが平均7nmというナノ・グレイン磁性膜のスパッタ法※5による成膜に用いることで長尺成膜を実現しました。この技術により、1000mを超えるテープ長が必要なテープストレージカートリッジ製造の基礎となるプロセス技術を確立しました。
ソニーは、この磁気テープ技術と、IBMチューリッヒ研究所が開発した記録および再生用ヘッドや先進的なサーボ制御技術、革新的な信号処理アルゴリズム等を組み合わせることで、現在主流の塗布型データストレージ用テープメディア※2の約20倍となる業界最高※1の面記録密度201Gbit/inch2を達成しました。
ソニーは、本テープ技術を採用した大容量データ記録が可能な次世代テープストレージメディアの商品化を目指すとともに、さらなる高記録密度化に向けて、磁気テープ技術の開発を進めていきます。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201708/17-070/
※1 磁気テープにおいて。2017年8月2日広報発表時点。
※2 エンタープライズ・テープ・システムの最新機種であるIBM製TS1155テープドライブのJDカートリッジ(非圧縮)と比較した場合。
※3 IBM製TS1155テープドライブのJDカートリッジ収納の磁気テープよりもテープ全厚が薄く、同カートリッジ(109mm×125mm×24.5mm)1巻に対し、従来よりも6.4%長く収納可能であることを考慮した場合の容量。非圧縮容量。
※4 ナノ・グレイン(Nano grain)磁性膜:ベースフィルム上に、ナノメートル(nm)サイズの磁性粒子を均一に形成するソニー独自の薄膜形成テープ技術。スパッタ条件の最適化などにより、ベースフィルム上の表面荒れの影響を最小化し、微細なサイズの磁性粒子を均一に配列させる技術。
※5 スパッタ法:薄膜形成法の一つで、放電現象によりアルゴン(Ar)イオンを薄膜にしたい物質(ターゲット)に衝突させ、その衝撃ではじき飛ばされたターゲット成分を基板上に付着させて薄膜を形成する技術。
概要:ソニー
詳細は www.sony.co.jp をご覧ください。
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なお本成果は、2017年8月2日(水)からつくば市で開催されているThe 28th Magnetic Recording Conference(TMRC 2017、つくば国際会議場)において、IBMチューリッヒ研究所との連名で発表されました。
近年、IoT(Internet of Things)の進展や、クラウドサービスの普及、ビッグデータの活用による新たな市場創出などに伴い、データストレージメディアの大容量化への需要が高まっています。加えて、データベースやサーバー等の情報システムにおける信頼性の高いデータ復旧や、情報の安全管理という観点からもデータストレージの重要性が再認識されています。そのような中、磁気テープは、長期保存性のほか、低消費電力性能、コスト優位性、省スペースなどの点においてデータストレージメディアとしての高い将来性が見込まれています。
テープストレージメディアの高記録密度化のためには、磁気テープと磁気ヘッドの距離(スペーシング)を狭くすることが重要です。また、スペーシングの縮小に伴い、テープ表面と磁気ヘッドの接点の摩擦が上昇する傾向がありますが、より高速で高容量な記録・再生のためには摩擦を抑え、磁気ヘッドがテープ表面を滑らかに走行できるようにする必要があります。今回の磁気テープ技術の確立にあたり、ソニーはテープ表面と磁気ヘッドの間に塗布する潤滑剤を新たに開発しました。この潤滑剤は、テープ表面と磁気ヘッドの走行摩擦を抑える低摩擦特性と、テープ磁性面と潤滑剤の接合を維持するための高耐久性という二つの特性を実現しました。
さらに、本技術は微細な磁性粒子(グレイン)を有するナノ・グレイン(Nano grain)磁性膜※4の長尺化を可能としました。一般的に磁気テープの成膜時には、製造装置から発生する不純物ガスの影響により、磁性膜の結晶配向の乱れや大きさのばらつきが生じることが課題でした。今回、不純物ガスの発生を抑える新たなプロセス技術を開発し、それを磁性粒子の大きさが平均7nmというナノ・グレイン磁性膜のスパッタ法※5による成膜に用いることで長尺成膜を実現しました。この技術により、1000mを超えるテープ長が必要なテープストレージカートリッジ製造の基礎となるプロセス技術を確立しました。
ソニーは、この磁気テープ技術と、IBMチューリッヒ研究所が開発した記録および再生用ヘッドや先進的なサーボ制御技術、革新的な信号処理アルゴリズム等を組み合わせることで、現在主流の塗布型データストレージ用テープメディア※2の約20倍となる業界最高※1の面記録密度201Gbit/inch2を達成しました。
ソニーは、本テープ技術を採用した大容量データ記録が可能な次世代テープストレージメディアの商品化を目指すとともに、さらなる高記録密度化に向けて、磁気テープ技術の開発を進めていきます。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201708/17-070/
※1 磁気テープにおいて。2017年8月2日広報発表時点。
※2 エンタープライズ・テープ・システムの最新機種であるIBM製TS1155テープドライブのJDカートリッジ(非圧縮)と比較した場合。
※3 IBM製TS1155テープドライブのJDカートリッジ収納の磁気テープよりもテープ全厚が薄く、同カートリッジ(109mm×125mm×24.5mm)1巻に対し、従来よりも6.4%長く収納可能であることを考慮した場合の容量。非圧縮容量。
※4 ナノ・グレイン(Nano grain)磁性膜:ベースフィルム上に、ナノメートル(nm)サイズの磁性粒子を均一に形成するソニー独自の薄膜形成テープ技術。スパッタ条件の最適化などにより、ベースフィルム上の表面荒れの影響を最小化し、微細なサイズの磁性粒子を均一に配列させる技術。
※5 スパッタ法:薄膜形成法の一つで、放電現象によりアルゴン(Ar)イオンを薄膜にしたい物質(ターゲット)に衝突させ、その衝撃ではじき飛ばされたターゲット成分を基板上に付着させて薄膜を形成する技術。
概要:ソニー
詳細は www.sony.co.jp をご覧ください。
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