日立、稀な事象の発生を予測する人工知能を用いて、融資データを活用した貸し倒れ予測の精度向上を確認
[17/12/26]
TOKYO, Dec 26, 2017 - (JCN Newswire) - 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、発生頻度の少ない事象の発生を高精度に予測し、その根拠を提示する人工知能(AI)を開発しました。融資データを活用した貸し倒れ予測に適用したところ、従来のディープラーニング*1を用いたAIと比較*2して43%高い精度で予測できるという検証結果を得ました。今後、日立グループ内に本AIのソースコードを公開し、日立グループ内の幅広い分野の事例を対象に、効果検証を推進する計画です。
日立では、多様な事業分野における経営数値を向上するために、多目的に使用可能な人工知能Hitachi AI Technology/H*3を開発し、多くの案件に適用してきました。一方で、幅広いお客さまとの協創を進めるなかで、例えば取引における不正や融資における貸し倒れなど、稀にしか起きない事象の発生を予測することと、その根拠を提示することの重要性を認識し、これを解決することが研究課題となっていました。
従来のディープラーニングでは、大量の実績データを用いて予測誤差が小さくなるように予測式を調整(学習)しますが、稀にしか起きない事象の場合、実績データが少ないため、データからの学習がより難しくなります。また、予測モデルを高精度化しようとすると、予測式が複雑になり、結果を要因分解できず、根拠の説明が難しくなることが課題でした。
そこで日立は、新たな学習機構を開発するとともに、予測結果を要因ごとに分解する技術を採用し、稀な事象の予測精度を向上するだけでなく、その根拠を提示する人工知能を開発しました。開発した技術の特長は以下の通りです。
1.偏ったデータや極端なデータに影響を受けないことを学習するシグナルノイズ学習
発生頻度の低い事象の場合、実績データが少ないことから、特定の状況で偶然発生した事象にあわせてパラメータを調整(学習)してしまい、新しい状況で発生する事象に対する予測精度を下げてしまう「過学習」が発生してしまうことが課題でした。そこで、日立は、実績データを教師データとして使い、予測式のパラメータを調整(学習)する従来の学習機構に加え、意図的に間違った教師データを使う第二の学習機構を備え、両機構による学習を同時に多数回繰り返すアルゴリズムを開発しました。これにより、意味のない「ノイズ」による影響を受にくく、より正確な「シグナル」を学ぶ学習が可能となります。
2. AIによる予測根拠を説明しやすくする積和関数を用いた予測式の採用
従来のディープラーニングでは、複雑な非線形関数を組み合わせた予測を行うのに対し、本技術では、予測式に、積と和による関数を多層化したネットワーク構成を採用しました*4。予測した結果を一般的な要因分解手法であるMECE*5で構造化し、それぞれの要素の重み(影響度)を定量化することで、「条件Aと条件Bと条件C,…が同時に成り立つ」という要因の組合せで根拠を説明可能にします。
今回、本AIの効果を検証するため、過去の住宅融資への申し込み時のデータを用いて貸し倒れの発生を予測し、実績と比較したところ、予測精度を表すAR(Accuracy Ratio)値において、従来のディープラーニングと比較すると43%高精度という結果が得られました*6。
今回は、特定の融資データで本AIの効果が確認された段階ですが、今後、日立グループ内にソースコードを公開し、さまざまな事業部門における事例での効果検証を進めていく計画です。今後、サービスや製品に本AIを組み込むことにより、幅広い分野の社会課題や顧客課題の解決に向けたAIの活用を拡大していきます。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/12/1226a.html
概要:日立製作所
詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。
Copyright 2017 JCN Newswire. All rights reserved. www.jcnnewswire.com
日立では、多様な事業分野における経営数値を向上するために、多目的に使用可能な人工知能Hitachi AI Technology/H*3を開発し、多くの案件に適用してきました。一方で、幅広いお客さまとの協創を進めるなかで、例えば取引における不正や融資における貸し倒れなど、稀にしか起きない事象の発生を予測することと、その根拠を提示することの重要性を認識し、これを解決することが研究課題となっていました。
従来のディープラーニングでは、大量の実績データを用いて予測誤差が小さくなるように予測式を調整(学習)しますが、稀にしか起きない事象の場合、実績データが少ないため、データからの学習がより難しくなります。また、予測モデルを高精度化しようとすると、予測式が複雑になり、結果を要因分解できず、根拠の説明が難しくなることが課題でした。
そこで日立は、新たな学習機構を開発するとともに、予測結果を要因ごとに分解する技術を採用し、稀な事象の予測精度を向上するだけでなく、その根拠を提示する人工知能を開発しました。開発した技術の特長は以下の通りです。
1.偏ったデータや極端なデータに影響を受けないことを学習するシグナルノイズ学習
発生頻度の低い事象の場合、実績データが少ないことから、特定の状況で偶然発生した事象にあわせてパラメータを調整(学習)してしまい、新しい状況で発生する事象に対する予測精度を下げてしまう「過学習」が発生してしまうことが課題でした。そこで、日立は、実績データを教師データとして使い、予測式のパラメータを調整(学習)する従来の学習機構に加え、意図的に間違った教師データを使う第二の学習機構を備え、両機構による学習を同時に多数回繰り返すアルゴリズムを開発しました。これにより、意味のない「ノイズ」による影響を受にくく、より正確な「シグナル」を学ぶ学習が可能となります。
2. AIによる予測根拠を説明しやすくする積和関数を用いた予測式の採用
従来のディープラーニングでは、複雑な非線形関数を組み合わせた予測を行うのに対し、本技術では、予測式に、積と和による関数を多層化したネットワーク構成を採用しました*4。予測した結果を一般的な要因分解手法であるMECE*5で構造化し、それぞれの要素の重み(影響度)を定量化することで、「条件Aと条件Bと条件C,…が同時に成り立つ」という要因の組合せで根拠を説明可能にします。
今回、本AIの効果を検証するため、過去の住宅融資への申し込み時のデータを用いて貸し倒れの発生を予測し、実績と比較したところ、予測精度を表すAR(Accuracy Ratio)値において、従来のディープラーニングと比較すると43%高精度という結果が得られました*6。
今回は、特定の融資データで本AIの効果が確認された段階ですが、今後、日立グループ内にソースコードを公開し、さまざまな事業部門における事例での効果検証を進めていく計画です。今後、サービスや製品に本AIを組み込むことにより、幅広い分野の社会課題や顧客課題の解決に向けたAIの活用を拡大していきます。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/12/1226a.html
概要:日立製作所
詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。
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