エーザイとPurdue Pharma、レンボレキサントの最新データを第32回米国睡眠学会年次総会にて発表
[18/06/06]
TOKYO, Jun 6, 2018 - (JCN Newswire) - エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とPurdue Pharma L.P.(本社:米国コネチカット州、President and CEO:Craig Landau、以下 Purdue Pharma)は、2018年6月2日から6日まで米国メリーランド州ボルチモアで開催された第32回米国睡眠学会(SLEEP2018)年次総会において、睡眠と覚醒を調節する薬剤として現在開発中のレンボレキサントに関する2つの臨床第I相試験(108試験および106試験)の最新データの発表をしたことをお知らせします。
レンボレキサントは、複数の睡眠障害を対象とした臨床試験での開発を進めています。本剤については、臨床第I相試験結果に加えて、副次評価項目としてゾルピデム酒石酸徐放性製剤(以下、ゾルピデム徐放性製剤)との直接比較を含む睡眠障害を対象としたプラセボ対照臨床第III相試験(SUNRISE 1試験/304試験)のトップライン結果を取得しています。
■108試験:「レンボレキサントのゾルピデムに対する聴覚覚醒閾値」(ポスター番号:097)
本試験の主要評価項目である夜間覚醒時の姿勢安定性について、レンボレキサント(5mg、10mg)群と、ゾルピデム徐放性製剤6.25 mg群ならびにプラセボ群との比較評価を行ったところ、姿勢安定性の指標である身体のふらつきを表す数値のベースラインからの平均変化量について、レンボレキサント5mg群: 5.8単位、レンボレキサント10mg群:8.1単位、ゾルピデム徐放性製剤群:20.4単位、プラセボ群: -1.1単位となり、レンボレキサント両群はゾルピデム徐放製剤群に対して統計学的な有意性が確認されました(p<0.0001)。
本試験では、55歳以上の健康な成人56人を対象に、就床時の薬剤投与約4時間後の夜間覚醒時の姿勢安定性を評価しました。身体のふらつきの評価については、アルコール摂取時の影響度をもとに作られた指標を用いました。その指標では、ベースラインから7単位を超える場合が、臨床上問題となる身体のふらつきと考えられており1、これは血中アルコール濃度0.05%時の身体のふらつきと同等です。ゾルピデム徐放性製剤群では、夜間覚醒時の身体のふらつきに関する数値が臨床上問題となる7単位の3倍弱増加しました。一方、レンボレキサント5mg群においては、臨床的に問題になるほどの変化は見られず、レンボレキサント10mg群では臨床的に問題となる閾値をわずかに上回る程度でした。
就床から8時間後の翌朝起床直後において、レンボレキサント群では、プラセボ投与群と同様に姿勢安定性への影響は見られず、有意な翌朝への持ち越し効果は確認されませんでしたが、ゾルピデム徐放性製剤群では、プラセボ群と比較して姿勢安定性が有意に低下しました。身体のふらつきに関する数値について、投与前のベースラインに対する平均変化量は、プラセボ群:-2.2単位、レンボレキサント5mg群:0.4単位、レンボレキサント10mg群:-0.4単位であり、レンボレキサント両群はプラセボ群に対して身体のふらつきに関する数値に有意な差は認められませんでした。一方、ゾルピデム徐放性製剤群の投与前のベースラインに対する平均変化量は5.0単位であり、プラセボ群に対して身体のふらつきに関する数値に統計学的に有意な増加(ふらつき増)が確認されました(p=0.01)。
エーザイ・ニューロロジービジネスグループのチーフクリニカルオフィサー兼チーフメディカルオフィサーであるLynn Kramer, M.D.は、「姿勢安定性の低下は、転倒を引き起こすリスクとなるため2、夜間および翌朝覚醒時の姿勢安定性に支障をきたすことのない薬剤に依然として高いアンメット・メディカル・ニーズがあると考えています。睡眠と覚醒を調節する薬剤として開発中のレンボレキサントは姿勢安定性の低下によって引き起こされる様々なリスクを低減する可能性を持っています」と述べています。
本試験において、重篤な有害事象は認められませんでした。レンボレキサント群において、2人以上に確認された有害事象は頭痛でした。また、すべての投与群において、1人以上に見られた有害事象は鼻咽頭炎であり、これはプラセボ群においても観察されました。2人の被験者が有害事象により投与を中止しました。有害事象の発生頻度は低く、確認されたものはいずれも軽度または中程度でした。なお、傾眠の有害事象は観察されませんでした。
本試験の副次評価項目として、レンボレキサント(5mg、10mg)投与約4時間後のアラームによる中途覚醒を評価する指標である聴覚覚醒閾値(AAT)について、ゾルピデム徐放性製剤群およびプラセボ群との比較評価を行いました。その結果、レンボレキサント両投与群において、プラセボ群およびゾルピデム徐放製剤群に対する統計学的に有意な差は認められませんでしたが、各投与群のAATのプラセボ群との差は、レンボレキサント5mg群:1.7dB(デシベル)、レンボレキサント10mg群:-0.9dB、ゾルピデム徐放性製剤群:7.2dBでした(臨床上問題となるAATの増加は、8dB以上と考えられています)。なお、すべての投与群(プラセボ群:42人、レンボレキサント5mg群:47人、レンボレキサント10mg群:50人、ゾルピデム徐放性製剤群:50人)のうち、ゾルピデム徐放性製剤群の8人は、聴覚刺激最大のアラーム105dBでも覚醒しませんでした。投与群間の人数のばらつきは、被験者がAATによる刺激を施さなくともすでに覚醒していた、もしくはAAT装置に問題が生じたことに起因しています。
レンボレキサント試験のPrincipal InvestigatorでNational Sleep Foundation の 前Chairman of the Board でもあったRussell Rosenberg, Ph.D, D.ABSMは、「レンボレキサントは、覚醒状態を調節するオレキシン神経伝達系に作用することにより、過度の覚醒状態を緩和し、よい睡眠と目覚めに影響をおよぼすと考えられます。また、外部刺激によって目を覚ましにくくなることはありませんでした。これらのレンボレキサントの姿勢安定性と外部刺激への反応性におよぼす影響についてのデータは、これまでに実施された夜間姿勢安定性と聴覚覚醒閾値を評価した最大規模の試験として、睡眠障害の治療におけるアンメット・メディカル・ニーズを満たす希望となりうると考えられます」と述べています。
また、探索的評価項目として、夜間の中途覚醒後の再入眠までの時間を評価したところ、レンボレキサント両群ともに、プラセボ群に比べて統計学的に有意に夜間覚醒後の再入眠までの時間を短縮しました(レンボレキサント5mg群:-22.5分、レンボレキサント10mg群:-28.7分、ゾルピデム徐放性製剤群:-21.0分 、全ての実薬群のプラセボに対するp<0.0001)。レンボレキサント10mg群については、ゾルピデム徐放性製剤群に対し、統計学的に有意に再入眠までの時間を短縮しました(p=0.02)。
これらの結果は、最近完了した臨床第III相試験(SUNRISE 1試験)から得られた知見をさらに補強するものです。本臨床第III相試験では、レンボレキサント(5mg、10mg)群とプラセボ群との比較評価、また、副次評価項目として、ゾルピデム徐放性製剤群に対する優越性を評価しています。睡眠ポリグラフ検査法を用いた就床から入眠までにかかる時間と睡眠維持時間、ならびに起床時の姿勢安定性の評価において、レンボレキサント群は、ゾルピデム徐放性製剤群およびプラセボ群に対して有意に優れていることが検証されました。本試験において、有害事象に起因したレンボレキサント群の投与中止は、プラセボ群と同程度でした。レンボレキサント群で高頻度に観察された有害事象は頭痛および傾眠でした。
■106試験:「レンボレキサントの成人と高齢者を対象とした公道における自動車運転能力試験」(ポスター番号:099)
106試験は、成人と高齢者(48人)を対象に、ゾピクロン群、プラセボ群を対照として、公道における自動車運転能力により、レンボレキサント群の翌朝への持ち越し効果を評価した臨床第I相試験です。本試験では、主要評価項目として、側線に沿って運転したときの車体の側線からのずれの標準偏差(Standard Deviation of Lateral Position: SDLP)を指標に、単回投与後の翌朝および最終の反復投与後の翌朝の自動車運転能力について、プラセボ群との比較で評価しました。血中アルコール濃度0.05%時の自動車運転能力を基準として、プラセボ群との比較におけるSDLP値が2.4cmを超える場合に、自動車運転能力において臨床的に問題となると考えられます。
本試験の結果、レンボレキサント(2.5mg、5mg、10mg)群では、単回投与後(2日目朝)および反復投与開始9日目朝におけるプラセボ群との平均SDLP値の比較について、いずれも統計学的な有意差は認められず、主要評価項目を達成しました。一方、ゾピクロン7.5mg群では、プラセボ群と比較して平均SDLP値が有意に増加しました。投与2日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.02cm、レンボレキサント5mg群:0.23cm、レンボレキサント10mg群:0.73cm、ゾピクロン7.5mg群:2.04cmでした。また、反復投与開始9日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.48cm、レンボレキサント5mg群:0.36cm、レンボレキサント10mg群:0.74cm, ゾピクロン7.5mg群:1.88cmでした。SDLPの平均変化における95%信頼区間の上限は、すべてのレンボレキサント群(投与2日目および9日目)において、2.4cm未満であり、これは臨床的に自動車運転能力に支障をきたさなかったことを示しています。ゾピクロン7.5mg群のSDLPの平均変化における95%信頼区間の上限は、投与2日目および9日目ともに2.4cmより大きく、本試験の評価感度の妥当性を担保しています。
レンボレキサント群では、運転試験が終了する前に運転を停止する例はありませんでしたが、ゾピクロン群では、384人中3人(0.8%)が予定された運転試験が終了する前に運転を停止しました。本試験のすべての投与群において重篤な有害事象および有害事象による試験中止は認められませんでした。本試験のレンボレキサント群において観察された主な有害事象は、傾眠、頭痛、口内乾燥でした。傾眠は、レンボレキサント10mg群において、レンボレキサント2.5mg群および5mg群よりも高頻度で観察されました。
Purdue PharmaのChief Medical OfficerであるMarcelo Bigal, M.D.、Ph.Dは、「不眠の治療においては、患者様が夜にぐっすり眠れることに加え、必要ならば、夜間でも問題なく目を覚まして活動ができることが重要となります。私たちは、今回の研究成果を発表できることを嬉しく思うとともに、睡眠障害の患者様のアンメット・ニーズを解決できるように、レンボレキサントの価値を探求し続けていきます」と述べています。
レンボレキサントは、エーザイが創製し、睡眠と覚醒を調節する薬剤としてエーザイとPurdue Pharmaが共同開発を行っています。両社は、患者様が眠れないという根本原因に直接作用すると考えらるレンボレキサントの開発研究を通じて、睡眠障害に悩む患者様とそのご家族のQOL向上に、より一層貢献してまいります。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2018/news201845.html
概要:エーザイ株式会社
詳細は www.eisai.co.jp をご覧ください。
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レンボレキサントは、複数の睡眠障害を対象とした臨床試験での開発を進めています。本剤については、臨床第I相試験結果に加えて、副次評価項目としてゾルピデム酒石酸徐放性製剤(以下、ゾルピデム徐放性製剤)との直接比較を含む睡眠障害を対象としたプラセボ対照臨床第III相試験(SUNRISE 1試験/304試験)のトップライン結果を取得しています。
■108試験:「レンボレキサントのゾルピデムに対する聴覚覚醒閾値」(ポスター番号:097)
本試験の主要評価項目である夜間覚醒時の姿勢安定性について、レンボレキサント(5mg、10mg)群と、ゾルピデム徐放性製剤6.25 mg群ならびにプラセボ群との比較評価を行ったところ、姿勢安定性の指標である身体のふらつきを表す数値のベースラインからの平均変化量について、レンボレキサント5mg群: 5.8単位、レンボレキサント10mg群:8.1単位、ゾルピデム徐放性製剤群:20.4単位、プラセボ群: -1.1単位となり、レンボレキサント両群はゾルピデム徐放製剤群に対して統計学的な有意性が確認されました(p<0.0001)。
本試験では、55歳以上の健康な成人56人を対象に、就床時の薬剤投与約4時間後の夜間覚醒時の姿勢安定性を評価しました。身体のふらつきの評価については、アルコール摂取時の影響度をもとに作られた指標を用いました。その指標では、ベースラインから7単位を超える場合が、臨床上問題となる身体のふらつきと考えられており1、これは血中アルコール濃度0.05%時の身体のふらつきと同等です。ゾルピデム徐放性製剤群では、夜間覚醒時の身体のふらつきに関する数値が臨床上問題となる7単位の3倍弱増加しました。一方、レンボレキサント5mg群においては、臨床的に問題になるほどの変化は見られず、レンボレキサント10mg群では臨床的に問題となる閾値をわずかに上回る程度でした。
就床から8時間後の翌朝起床直後において、レンボレキサント群では、プラセボ投与群と同様に姿勢安定性への影響は見られず、有意な翌朝への持ち越し効果は確認されませんでしたが、ゾルピデム徐放性製剤群では、プラセボ群と比較して姿勢安定性が有意に低下しました。身体のふらつきに関する数値について、投与前のベースラインに対する平均変化量は、プラセボ群:-2.2単位、レンボレキサント5mg群:0.4単位、レンボレキサント10mg群:-0.4単位であり、レンボレキサント両群はプラセボ群に対して身体のふらつきに関する数値に有意な差は認められませんでした。一方、ゾルピデム徐放性製剤群の投与前のベースラインに対する平均変化量は5.0単位であり、プラセボ群に対して身体のふらつきに関する数値に統計学的に有意な増加(ふらつき増)が確認されました(p=0.01)。
エーザイ・ニューロロジービジネスグループのチーフクリニカルオフィサー兼チーフメディカルオフィサーであるLynn Kramer, M.D.は、「姿勢安定性の低下は、転倒を引き起こすリスクとなるため2、夜間および翌朝覚醒時の姿勢安定性に支障をきたすことのない薬剤に依然として高いアンメット・メディカル・ニーズがあると考えています。睡眠と覚醒を調節する薬剤として開発中のレンボレキサントは姿勢安定性の低下によって引き起こされる様々なリスクを低減する可能性を持っています」と述べています。
本試験において、重篤な有害事象は認められませんでした。レンボレキサント群において、2人以上に確認された有害事象は頭痛でした。また、すべての投与群において、1人以上に見られた有害事象は鼻咽頭炎であり、これはプラセボ群においても観察されました。2人の被験者が有害事象により投与を中止しました。有害事象の発生頻度は低く、確認されたものはいずれも軽度または中程度でした。なお、傾眠の有害事象は観察されませんでした。
本試験の副次評価項目として、レンボレキサント(5mg、10mg)投与約4時間後のアラームによる中途覚醒を評価する指標である聴覚覚醒閾値(AAT)について、ゾルピデム徐放性製剤群およびプラセボ群との比較評価を行いました。その結果、レンボレキサント両投与群において、プラセボ群およびゾルピデム徐放製剤群に対する統計学的に有意な差は認められませんでしたが、各投与群のAATのプラセボ群との差は、レンボレキサント5mg群:1.7dB(デシベル)、レンボレキサント10mg群:-0.9dB、ゾルピデム徐放性製剤群:7.2dBでした(臨床上問題となるAATの増加は、8dB以上と考えられています)。なお、すべての投与群(プラセボ群:42人、レンボレキサント5mg群:47人、レンボレキサント10mg群:50人、ゾルピデム徐放性製剤群:50人)のうち、ゾルピデム徐放性製剤群の8人は、聴覚刺激最大のアラーム105dBでも覚醒しませんでした。投与群間の人数のばらつきは、被験者がAATによる刺激を施さなくともすでに覚醒していた、もしくはAAT装置に問題が生じたことに起因しています。
レンボレキサント試験のPrincipal InvestigatorでNational Sleep Foundation の 前Chairman of the Board でもあったRussell Rosenberg, Ph.D, D.ABSMは、「レンボレキサントは、覚醒状態を調節するオレキシン神経伝達系に作用することにより、過度の覚醒状態を緩和し、よい睡眠と目覚めに影響をおよぼすと考えられます。また、外部刺激によって目を覚ましにくくなることはありませんでした。これらのレンボレキサントの姿勢安定性と外部刺激への反応性におよぼす影響についてのデータは、これまでに実施された夜間姿勢安定性と聴覚覚醒閾値を評価した最大規模の試験として、睡眠障害の治療におけるアンメット・メディカル・ニーズを満たす希望となりうると考えられます」と述べています。
また、探索的評価項目として、夜間の中途覚醒後の再入眠までの時間を評価したところ、レンボレキサント両群ともに、プラセボ群に比べて統計学的に有意に夜間覚醒後の再入眠までの時間を短縮しました(レンボレキサント5mg群:-22.5分、レンボレキサント10mg群:-28.7分、ゾルピデム徐放性製剤群:-21.0分 、全ての実薬群のプラセボに対するp<0.0001)。レンボレキサント10mg群については、ゾルピデム徐放性製剤群に対し、統計学的に有意に再入眠までの時間を短縮しました(p=0.02)。
これらの結果は、最近完了した臨床第III相試験(SUNRISE 1試験)から得られた知見をさらに補強するものです。本臨床第III相試験では、レンボレキサント(5mg、10mg)群とプラセボ群との比較評価、また、副次評価項目として、ゾルピデム徐放性製剤群に対する優越性を評価しています。睡眠ポリグラフ検査法を用いた就床から入眠までにかかる時間と睡眠維持時間、ならびに起床時の姿勢安定性の評価において、レンボレキサント群は、ゾルピデム徐放性製剤群およびプラセボ群に対して有意に優れていることが検証されました。本試験において、有害事象に起因したレンボレキサント群の投与中止は、プラセボ群と同程度でした。レンボレキサント群で高頻度に観察された有害事象は頭痛および傾眠でした。
■106試験:「レンボレキサントの成人と高齢者を対象とした公道における自動車運転能力試験」(ポスター番号:099)
106試験は、成人と高齢者(48人)を対象に、ゾピクロン群、プラセボ群を対照として、公道における自動車運転能力により、レンボレキサント群の翌朝への持ち越し効果を評価した臨床第I相試験です。本試験では、主要評価項目として、側線に沿って運転したときの車体の側線からのずれの標準偏差(Standard Deviation of Lateral Position: SDLP)を指標に、単回投与後の翌朝および最終の反復投与後の翌朝の自動車運転能力について、プラセボ群との比較で評価しました。血中アルコール濃度0.05%時の自動車運転能力を基準として、プラセボ群との比較におけるSDLP値が2.4cmを超える場合に、自動車運転能力において臨床的に問題となると考えられます。
本試験の結果、レンボレキサント(2.5mg、5mg、10mg)群では、単回投与後(2日目朝)および反復投与開始9日目朝におけるプラセボ群との平均SDLP値の比較について、いずれも統計学的な有意差は認められず、主要評価項目を達成しました。一方、ゾピクロン7.5mg群では、プラセボ群と比較して平均SDLP値が有意に増加しました。投与2日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.02cm、レンボレキサント5mg群:0.23cm、レンボレキサント10mg群:0.73cm、ゾピクロン7.5mg群:2.04cmでした。また、反復投与開始9日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.48cm、レンボレキサント5mg群:0.36cm、レンボレキサント10mg群:0.74cm, ゾピクロン7.5mg群:1.88cmでした。SDLPの平均変化における95%信頼区間の上限は、すべてのレンボレキサント群(投与2日目および9日目)において、2.4cm未満であり、これは臨床的に自動車運転能力に支障をきたさなかったことを示しています。ゾピクロン7.5mg群のSDLPの平均変化における95%信頼区間の上限は、投与2日目および9日目ともに2.4cmより大きく、本試験の評価感度の妥当性を担保しています。
レンボレキサント群では、運転試験が終了する前に運転を停止する例はありませんでしたが、ゾピクロン群では、384人中3人(0.8%)が予定された運転試験が終了する前に運転を停止しました。本試験のすべての投与群において重篤な有害事象および有害事象による試験中止は認められませんでした。本試験のレンボレキサント群において観察された主な有害事象は、傾眠、頭痛、口内乾燥でした。傾眠は、レンボレキサント10mg群において、レンボレキサント2.5mg群および5mg群よりも高頻度で観察されました。
Purdue PharmaのChief Medical OfficerであるMarcelo Bigal, M.D.、Ph.Dは、「不眠の治療においては、患者様が夜にぐっすり眠れることに加え、必要ならば、夜間でも問題なく目を覚まして活動ができることが重要となります。私たちは、今回の研究成果を発表できることを嬉しく思うとともに、睡眠障害の患者様のアンメット・ニーズを解決できるように、レンボレキサントの価値を探求し続けていきます」と述べています。
レンボレキサントは、エーザイが創製し、睡眠と覚醒を調節する薬剤としてエーザイとPurdue Pharmaが共同開発を行っています。両社は、患者様が眠れないという根本原因に直接作用すると考えらるレンボレキサントの開発研究を通じて、睡眠障害に悩む患者様とそのご家族のQOL向上に、より一層貢献してまいります。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
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概要:エーザイ株式会社
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