「2018年本田賞」東北大学 名誉教授 舛岡富士雄博士が受賞
[18/09/28]
TOKYO, Sep 28, 2018 - (JCN Newswire) - 公益財団法人 本田財団(設立者:本田宗一郎・弁二郎兄弟、理事長:石田寛人)は、2018年の本田賞を、世界で初めて半導体不揮発性メモリーの大容量化を実現した技術である「フラッシュメモリー」の発明と、この領域における技術進化や人材の輩出に大きく貢献した、東北大学名誉教授の舛岡富士雄(ますおか ふじお)博士に授与することを決定しました。
1980年に創設された本田賞は、エコテクノロジー※1の観点から、次世代の牽引役を果たしうる新たな知見をもたらした個人またはグループの努力を評価し、毎年1件、その業績を讃える国際褒賞です。舛岡博士は将来大容量のデータを取り扱う時代の到来を見据え、電気的に一瞬にして256kbt(キロビット)のデータを一括消去できる半導体不揮発性メモリー「フラッシュメモリー」の技術を1984年に発表しました。当時、データを記憶する半導体メモリーデバイスで多く使われていたのは1970年代に発明されたDRAM※2でしたが、DRAMは電源を切ると記憶されたデータが自動的に消去される揮発性メモリーでした。一方、フラッシュメモリーは磁気メモリーのように電源を切ってもデータが記憶できる不揮発性メモリーであり、さらに従来に比べ1ビット当たりの専有面積が4分の1以下と、サイズとコストの大幅な低減を実現しました。フラッシュメモリーの今日の普及は、IT機器の小型化や消費電力の大幅な低減に寄与するものであり、舛岡博士のこの実績は本田賞にふさわしい成果と認定し、今回の授賞に至りました。
本年で39回目となる本田賞の授与式は、2018年11月19日に東京都の帝国ホテルで開催され、メダル・賞状とともに副賞として1,000万円が舛岡博士に贈呈されます。
<舛岡博士のフラッシュメモリーについて>
コンピューターのデータを外部媒体に記憶するためには不揮発性であることが求められ、電源がなくてもデータを記録し続けることが必要です。古くは紙テープやパンチカードが用いられていましたが、1950年代からは磁性体にデータを記録する磁気テープが主流となり、その後、フロッピーディスク、ハードディスクへ発展していきました。さらに、光の反射を利用して情報を記録(光学式)するCDやDVDが普及し、今日に至っています。一方、磁性体や光学式によるデータの記録は、その構造上、データの読み出し・書き込みに時間を要すること、機器の小型化が難しいことなどが課題となっていました。
半導体不揮発性メモリーは、絶縁膜で覆われた浮遊ゲートと呼ばれる場所に電子を保持し、電流をコントロールして電子を貯めたり抜いたりすることで、データの記録と消去を行います。研究が始まった1970年代前半は浮遊ゲートを覆う絶縁膜の品質が悪く、電子を保持できる時間は数マイクロ秒程度でした。
やがて1970年代後半に絶縁膜の製造方法に技術的な目処がつき、研究テーマは電気的なデータの書き換え手法に移行しました。1980年、アメリカの半導体メーカーが電気的なデータの書き換えが可能な「EEPROM」※3を発表。しかし、電子の出入りを管理するには1ビットあたり2つのトランジスタが必要なため集積度が上げられず、大容量データの記憶は難しいものでした。
半導体不揮発性メモリーは、ハードディスクに代表される磁気メモリーに代わる記憶装置には向かないとする考えが大勢を占めていた1983年当時、舛岡博士はかねてから温めていたアイデアを用いた試作品を作りました。半導体メモリーチップの中には、セルと呼ばれる無数の部屋があります。当時世界で行われていた研究では、セルごとにデータの消去を管理しようとしていましたが、舛岡博士は複数セルのデータを一括して消去するアプローチを選択。この結果、使用するトランジスタの数を大幅に削減でき、集積度を上げることに成功、一括してデータを消去する様子がカメラのフラッシュをイメージさせることから「フラッシュメモリー」と名付けられた製品は1985年に発表され、世界的な普及の第一歩となりました。
ITが社会を支えるインフラとして欠かせない存在となった現代、フラッシュメモリーは自動車や家電、パソコンやスマートフォン、メモリーカードなど、あらゆる場面で利用されています。IoT時代の到来により、2020年における全世界のデジタルデータ量は44ZB(ゼタバイト)※4ともいわれており、記憶装置の集積化は必須です。舛岡博士は、さらに、これまで平面だったメモリーチップを円柱形にして電子を貯め、セルを多層化させる三次元フラッシュメモリーの実用化研究を進めています。
舛岡博士の研究により開発されたフラッシュメモリーは、コンピューターの性能進化を実現し、科学技術の発展に多大な影響を与えました。また、半導体不揮発性メモリーの搭載によって機器の小型化・省電力化が図られることとなり、地球上の電力消費量削減にも大いに貢献していることからも、本田賞にふさわしい成果として今回の表彰に至りました。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.honda.co.jp/news/2018/c180928b.html
概要:本田技研工業株式会社
詳細は www.honda.co.jp をご覧ください。
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1980年に創設された本田賞は、エコテクノロジー※1の観点から、次世代の牽引役を果たしうる新たな知見をもたらした個人またはグループの努力を評価し、毎年1件、その業績を讃える国際褒賞です。舛岡博士は将来大容量のデータを取り扱う時代の到来を見据え、電気的に一瞬にして256kbt(キロビット)のデータを一括消去できる半導体不揮発性メモリー「フラッシュメモリー」の技術を1984年に発表しました。当時、データを記憶する半導体メモリーデバイスで多く使われていたのは1970年代に発明されたDRAM※2でしたが、DRAMは電源を切ると記憶されたデータが自動的に消去される揮発性メモリーでした。一方、フラッシュメモリーは磁気メモリーのように電源を切ってもデータが記憶できる不揮発性メモリーであり、さらに従来に比べ1ビット当たりの専有面積が4分の1以下と、サイズとコストの大幅な低減を実現しました。フラッシュメモリーの今日の普及は、IT機器の小型化や消費電力の大幅な低減に寄与するものであり、舛岡博士のこの実績は本田賞にふさわしい成果と認定し、今回の授賞に至りました。
本年で39回目となる本田賞の授与式は、2018年11月19日に東京都の帝国ホテルで開催され、メダル・賞状とともに副賞として1,000万円が舛岡博士に贈呈されます。
<舛岡博士のフラッシュメモリーについて>
コンピューターのデータを外部媒体に記憶するためには不揮発性であることが求められ、電源がなくてもデータを記録し続けることが必要です。古くは紙テープやパンチカードが用いられていましたが、1950年代からは磁性体にデータを記録する磁気テープが主流となり、その後、フロッピーディスク、ハードディスクへ発展していきました。さらに、光の反射を利用して情報を記録(光学式)するCDやDVDが普及し、今日に至っています。一方、磁性体や光学式によるデータの記録は、その構造上、データの読み出し・書き込みに時間を要すること、機器の小型化が難しいことなどが課題となっていました。
半導体不揮発性メモリーは、絶縁膜で覆われた浮遊ゲートと呼ばれる場所に電子を保持し、電流をコントロールして電子を貯めたり抜いたりすることで、データの記録と消去を行います。研究が始まった1970年代前半は浮遊ゲートを覆う絶縁膜の品質が悪く、電子を保持できる時間は数マイクロ秒程度でした。
やがて1970年代後半に絶縁膜の製造方法に技術的な目処がつき、研究テーマは電気的なデータの書き換え手法に移行しました。1980年、アメリカの半導体メーカーが電気的なデータの書き換えが可能な「EEPROM」※3を発表。しかし、電子の出入りを管理するには1ビットあたり2つのトランジスタが必要なため集積度が上げられず、大容量データの記憶は難しいものでした。
半導体不揮発性メモリーは、ハードディスクに代表される磁気メモリーに代わる記憶装置には向かないとする考えが大勢を占めていた1983年当時、舛岡博士はかねてから温めていたアイデアを用いた試作品を作りました。半導体メモリーチップの中には、セルと呼ばれる無数の部屋があります。当時世界で行われていた研究では、セルごとにデータの消去を管理しようとしていましたが、舛岡博士は複数セルのデータを一括して消去するアプローチを選択。この結果、使用するトランジスタの数を大幅に削減でき、集積度を上げることに成功、一括してデータを消去する様子がカメラのフラッシュをイメージさせることから「フラッシュメモリー」と名付けられた製品は1985年に発表され、世界的な普及の第一歩となりました。
ITが社会を支えるインフラとして欠かせない存在となった現代、フラッシュメモリーは自動車や家電、パソコンやスマートフォン、メモリーカードなど、あらゆる場面で利用されています。IoT時代の到来により、2020年における全世界のデジタルデータ量は44ZB(ゼタバイト)※4ともいわれており、記憶装置の集積化は必須です。舛岡博士は、さらに、これまで平面だったメモリーチップを円柱形にして電子を貯め、セルを多層化させる三次元フラッシュメモリーの実用化研究を進めています。
舛岡博士の研究により開発されたフラッシュメモリーは、コンピューターの性能進化を実現し、科学技術の発展に多大な影響を与えました。また、半導体不揮発性メモリーの搭載によって機器の小型化・省電力化が図られることとなり、地球上の電力消費量削減にも大いに貢献していることからも、本田賞にふさわしい成果として今回の表彰に至りました。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.honda.co.jp/news/2018/c180928b.html
概要:本田技研工業株式会社
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