アリックスパートナーズ、米国小売業界レポートを発表
[21/10/06]
TOKYO, Oct 6, 2021 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズは、米国小売業界の最新動向をまとめたレポートを発表しました。中でも百貨店各社は、実店舗を活かしながらデジタル化投資を加速しており、その成果が着実に出始めていることが明らかになっています。
百貨店のような最も伝統的といわれる小売業態においても米国では各社攻めの施策を講じ、生き残りを図っています。例えば、主要百貨店4社についてみると、下記の通り各社のアプローチが大きく異なることがわかります。
●サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue): デジタル・ファースト戦略。Eコマース事業を2021年3月に別会社化、その事業価値は既に20億ドル(約2,2000億円)を超え、親会社のHBCが非上場化したときの企業価値を30%も上回っています。また、2021年6月にはディスカウントラインであるSaks Off 5thも別会社化し、その事業価値は10億ドル(約1,100億円)に達しています。
●ニーマンマーカス(Neiman Marcus): デジタル技術に大型投資。2021年6月に機械学習を開発するStylyzeを買収しました。さらに今後3年間でデジタルIT投資に500億円超を投じると発表しています。
●ノードストローム(Nordstrom): Eコマースとアウトレット販売を強化。ファッション系アウトレットストアであるノードストロームラック(Nordstrom Rack)のEコマースの売上は2020年に14億ドル(1,540億円)に達していますが、さらなる拡大に向けて全ての店舗でフルフィルメントとBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)に対応させています。また、Eコマースの品揃えを30万商品から150万商品に拡充しました。
●コールズ(Kohl's): 顧客獲得に注力。アマゾンの商品の返品窓口をコールズの全店舗に設置し、2020年には200万人の顧客訪問を記録しました。また、Kohls.comのEコマースが化粧品専門店のセフォラ200店舗とオムニチャネル販売で提携しています。
米国においては小売市場の規模でみても、Eコマースが急速にシェアを伸ばしており、実店舗のシェアは今後、市場全体の3分の2の規模まで縮小すると予想されています。米国小売市場は2019年から2023年の期間で年平均4%のペースで拡大し、2023年には3兆6,240億ドル(約400兆円)に達すると見込まれています。うち、Eコマースのシェアは2019年には20%程度でしたが、2020年には25%、2023年には33%まで拡大すると予想されています。Eコマースのシェア拡大が顕著な分野としては、アパレル・アクセサリー(2019年の26%から2023年は43%)、家具関連(同23%→36%)、パーソナルケア・コスメ(同8%→15%)などがあげられます。
米国のEコマース市場においては、主に3種類のプレーヤーが台頭しており市場規模の拡大に寄与しています。
1. ファーフェッチ(Farfetch)などいわゆるデジタルネイティブと呼ばれるデジタル専業の小売・ブランドやYouTubeなどのインフルエンス・エンジン
2. ショッピファイ(Shopify)などEコマースに必須なテクノロジーやソリューションを提供するプラットフォーム・プレーヤー
3. ロナルド(Ronald)などデジタル小売市場における広告塔として定着しつつあるインフルエンサー
アリックスパートナーズでは、小売市場におけるシェア獲得競争で勝ち残るためには、消費者のニーズに合った次世代のパーソナライゼーションと米国の百貨店でも取り組まれている実店舗とデジタルを跨いだシームレスな顧客体験の構築がカギとなるとみています。例えば、アメリカの消費者の約79%はブランドが提供するパーソナライゼーション・サービスによってブランドに対するロイヤルティーが増していると回答しています。また、実店舗とデジタルを跨いだシームレスな顧客体験を実現するための施策としてBOPISなどが既に始動しています。
アリックスパートナーズで消費財・小売を担当するシニア・ヴァイス・プレジデント魚谷洋輔は次のように述べています。「日本の百貨店の足元の取組みはオフプライス店の展開や一部機能のデジタル化にとどまっているように見受けられます。今後を見据えると、実店舗を活用しながら、よりダイナミックなデジタル化を進めることは収益改善に有効なアプローチといえます。加えて、日本の百貨店が持つ立地や規模、さらには顧客基盤 などのアセットにはまだ潜在的な価値があるとみています。それらを最大限に活かしながら顧客体験を提供することが、日本の百貨店独自の価値を生み出すことにつながるはずです。」
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェッブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
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百貨店のような最も伝統的といわれる小売業態においても米国では各社攻めの施策を講じ、生き残りを図っています。例えば、主要百貨店4社についてみると、下記の通り各社のアプローチが大きく異なることがわかります。
●サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue): デジタル・ファースト戦略。Eコマース事業を2021年3月に別会社化、その事業価値は既に20億ドル(約2,2000億円)を超え、親会社のHBCが非上場化したときの企業価値を30%も上回っています。また、2021年6月にはディスカウントラインであるSaks Off 5thも別会社化し、その事業価値は10億ドル(約1,100億円)に達しています。
●ニーマンマーカス(Neiman Marcus): デジタル技術に大型投資。2021年6月に機械学習を開発するStylyzeを買収しました。さらに今後3年間でデジタルIT投資に500億円超を投じると発表しています。
●ノードストローム(Nordstrom): Eコマースとアウトレット販売を強化。ファッション系アウトレットストアであるノードストロームラック(Nordstrom Rack)のEコマースの売上は2020年に14億ドル(1,540億円)に達していますが、さらなる拡大に向けて全ての店舗でフルフィルメントとBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)に対応させています。また、Eコマースの品揃えを30万商品から150万商品に拡充しました。
●コールズ(Kohl's): 顧客獲得に注力。アマゾンの商品の返品窓口をコールズの全店舗に設置し、2020年には200万人の顧客訪問を記録しました。また、Kohls.comのEコマースが化粧品専門店のセフォラ200店舗とオムニチャネル販売で提携しています。
米国においては小売市場の規模でみても、Eコマースが急速にシェアを伸ばしており、実店舗のシェアは今後、市場全体の3分の2の規模まで縮小すると予想されています。米国小売市場は2019年から2023年の期間で年平均4%のペースで拡大し、2023年には3兆6,240億ドル(約400兆円)に達すると見込まれています。うち、Eコマースのシェアは2019年には20%程度でしたが、2020年には25%、2023年には33%まで拡大すると予想されています。Eコマースのシェア拡大が顕著な分野としては、アパレル・アクセサリー(2019年の26%から2023年は43%)、家具関連(同23%→36%)、パーソナルケア・コスメ(同8%→15%)などがあげられます。
米国のEコマース市場においては、主に3種類のプレーヤーが台頭しており市場規模の拡大に寄与しています。
1. ファーフェッチ(Farfetch)などいわゆるデジタルネイティブと呼ばれるデジタル専業の小売・ブランドやYouTubeなどのインフルエンス・エンジン
2. ショッピファイ(Shopify)などEコマースに必須なテクノロジーやソリューションを提供するプラットフォーム・プレーヤー
3. ロナルド(Ronald)などデジタル小売市場における広告塔として定着しつつあるインフルエンサー
アリックスパートナーズでは、小売市場におけるシェア獲得競争で勝ち残るためには、消費者のニーズに合った次世代のパーソナライゼーションと米国の百貨店でも取り組まれている実店舗とデジタルを跨いだシームレスな顧客体験の構築がカギとなるとみています。例えば、アメリカの消費者の約79%はブランドが提供するパーソナライゼーション・サービスによってブランドに対するロイヤルティーが増していると回答しています。また、実店舗とデジタルを跨いだシームレスな顧客体験を実現するための施策としてBOPISなどが既に始動しています。
アリックスパートナーズで消費財・小売を担当するシニア・ヴァイス・プレジデント魚谷洋輔は次のように述べています。「日本の百貨店の足元の取組みはオフプライス店の展開や一部機能のデジタル化にとどまっているように見受けられます。今後を見据えると、実店舗を活用しながら、よりダイナミックなデジタル化を進めることは収益改善に有効なアプローチといえます。加えて、日本の百貨店が持つ立地や規模、さらには顧客基盤 などのアセットにはまだ潜在的な価値があるとみています。それらを最大限に活かしながら顧客体験を提供することが、日本の百貨店独自の価値を生み出すことにつながるはずです。」
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェッブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
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