NEC・NICT・京都大・慶應大学、量子セキュアクラウドシステムを使って次世代レーザー設計の最適化の処理・高秘匿伝送・分散保管を実現
[22/10/04]
TOKYO, Oct 4, 2022 - (JCN Newswire) - 日本電気株式会社(注1、以下 NEC)、国立研究開発法人情報通信研究機構(注2、以下 NICT)、国立大学法人京都大学(注3、以下 京都大学)、慶應義塾大学(注4)は、量子暗号技術と秘密分散技術を融合した量子セキュアクラウドシステム(注5)を適用した検証試験で、スマート製造分野での設計情報の最適化の処理・高秘匿伝送・分散保管に成功しました。
本検証試験では、量子計算技術を利用した次世代アクセラレータ(注6)によって最適化された次世代レーザー(フォトニック結晶レーザー、注7)の高度設計情報(注8)を、今回初めてインターネット回線を用いて離れた拠点間で安全に伝送できることを確認しました。
本検証試験の成功により、将来のスマート製造の核となると期待されるフォトニック結晶レーザーの重要な設計情報である最適設計パラメータを量子計算によって導く際に、量子セキュアクラウドシステムの適用可能性が実証できたと言え、今後、半導体産業や自動車産業など様々な製造分野への適用が期待されます。
なお、本検証試験は、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP、注9)「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術」(管理法人:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)の一環として実施しました。
背景
先端技術を用いて設計・製造工程などをデジタル化するスマート製造を実現するためには、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムが必要とされています。人材不足や技術伝承などの課題を抱える半導体産業や自動車産業などの製造分野でもこうしたシステムが生産性向上の鍵となりますが、日々巧妙化する組織化されたサイバー攻撃への懸念がこうしたシステムの実現を阻んでいます。さらに、最近では現在の暗号を高速に解読できることが知られている量子コンピュータ技術の研究開発が急速に進展するなど、潜在的な脅威もますます高まっています。
こうした中、経済安全保障の観点からも、日本の製造業の持続的な競争力の強化に寄与する技術情報や設計情報など価値の高い機密情報を安心して流通・保管・利活用できるオンプレミスのシステムの整備が求められています。
検証試験の概要
今回NECとNICTは、機密情報を安心して流通・保管・利活用できるサイバー空間を整備するため、製造分野への量子計算技術の適用可能性の検証を進めている京都大学および慶應義塾大学の間に、インターネット回線も用いて構成した量子セキュアクラウドシステムを構築しました。
現在、京都大学および慶應義塾大学では、製造分野の最適化問題の具体的な例題として、将来のスマート加工用レーザー光源としての普及が期待されるフォトニック結晶レーザーの量子最適化問題に連携して取り組んでいます。本連携では、京都大学で導出したフォトニック結晶レーザーの設計パラメータおよび性能評価プログラム(機密情報に相当)を、慶應義塾大学の次世代アクセラレータに伝送して解析を行いますが、今回、両大学の研究者が安全にデータの伝送および秘密分散保管が行えるネットワークを構築しました。
現在、製造現場で使用されているレーザー加工機に革新を起こす可能性があるフォトニック結晶レーザーは、日本発の独創的な技術であり、その設計パラメータや解析プログラムは確実に守る必要がある重要な技術情報です。そこで、本検証試験では、NECの回線暗号装置COMCIPHER-Q(注10)をNICT、京都大学、慶應義塾大学の計3拠点に設置しました。専用回線を新たに敷設することなくインターネット回線上に、量子鍵配送装置で生成した暗号鍵を用いて仮想的な暗号回線を構築し、異なる組織の3拠点間で安全にデータを伝送できることを確認しました。さらに、本検証試験では拠点間の伝送と同時にNICTからTokyo QKD Network(注11)上に形成した秘密分散システムへ接続し、秘密分散保管を行いました。
今回の検証試験では、次世代アクセラレータなど優れた計算エンジンを包含した量子セキュアクラウドシステムをユーザ環境でも動作させることができました。本検証試験は、今後、様々な製造分野で適用可能であると言え、日本の製造業の国際競争力の向上に貢献できることを示しました。
実施体制
NEC:量子セキュアクラウドシステムと連携するネットワークの構築・運用
NICT:秘密分散システムの提供
京都大学:ユーザ環境の提供、フォトニック結晶レーザーの設計パラメータおよび性能評価プログラムの提供
慶應義塾大学:ユーザ環境の提供、次世代アクセラレータによる構造最適化の実施、最適化した設計パラメータの提供
今後の展望
NECは、本検証試験やSIPの成果を踏まえて、量子暗号技術の社会実装に向けた開発を加速するとともに、量子技術を融合した先進的なネットワークの研究に取り組んでいきます。
NICTは、超長期に秘匿する必要があるデータを安心して預けることができる量子セキュアクラウド技術を確立し、価値の源泉と成り得るデータを安心して利用可能な技術の研究開発を続けていきます。
京都大学は、スマート製造分野およびスマートモビリティ分野へのフォトニック結晶レーザーの適用を目指して、量子技術を活用しながらフォトニック結晶レーザーのさらなる性能向上および社会実装に取り組んでいきます。
慶應義塾大学は、本検証試験やSIPの成果を踏まえて、今後の次世代アクセラレータの社会実装に向けた研究開発を進めていきます。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202210/20221004_01.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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本検証試験では、量子計算技術を利用した次世代アクセラレータ(注6)によって最適化された次世代レーザー(フォトニック結晶レーザー、注7)の高度設計情報(注8)を、今回初めてインターネット回線を用いて離れた拠点間で安全に伝送できることを確認しました。
本検証試験の成功により、将来のスマート製造の核となると期待されるフォトニック結晶レーザーの重要な設計情報である最適設計パラメータを量子計算によって導く際に、量子セキュアクラウドシステムの適用可能性が実証できたと言え、今後、半導体産業や自動車産業など様々な製造分野への適用が期待されます。
なお、本検証試験は、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP、注9)「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術」(管理法人:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)の一環として実施しました。
背景
先端技術を用いて設計・製造工程などをデジタル化するスマート製造を実現するためには、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムが必要とされています。人材不足や技術伝承などの課題を抱える半導体産業や自動車産業などの製造分野でもこうしたシステムが生産性向上の鍵となりますが、日々巧妙化する組織化されたサイバー攻撃への懸念がこうしたシステムの実現を阻んでいます。さらに、最近では現在の暗号を高速に解読できることが知られている量子コンピュータ技術の研究開発が急速に進展するなど、潜在的な脅威もますます高まっています。
こうした中、経済安全保障の観点からも、日本の製造業の持続的な競争力の強化に寄与する技術情報や設計情報など価値の高い機密情報を安心して流通・保管・利活用できるオンプレミスのシステムの整備が求められています。
検証試験の概要
今回NECとNICTは、機密情報を安心して流通・保管・利活用できるサイバー空間を整備するため、製造分野への量子計算技術の適用可能性の検証を進めている京都大学および慶應義塾大学の間に、インターネット回線も用いて構成した量子セキュアクラウドシステムを構築しました。
現在、京都大学および慶應義塾大学では、製造分野の最適化問題の具体的な例題として、将来のスマート加工用レーザー光源としての普及が期待されるフォトニック結晶レーザーの量子最適化問題に連携して取り組んでいます。本連携では、京都大学で導出したフォトニック結晶レーザーの設計パラメータおよび性能評価プログラム(機密情報に相当)を、慶應義塾大学の次世代アクセラレータに伝送して解析を行いますが、今回、両大学の研究者が安全にデータの伝送および秘密分散保管が行えるネットワークを構築しました。
現在、製造現場で使用されているレーザー加工機に革新を起こす可能性があるフォトニック結晶レーザーは、日本発の独創的な技術であり、その設計パラメータや解析プログラムは確実に守る必要がある重要な技術情報です。そこで、本検証試験では、NECの回線暗号装置COMCIPHER-Q(注10)をNICT、京都大学、慶應義塾大学の計3拠点に設置しました。専用回線を新たに敷設することなくインターネット回線上に、量子鍵配送装置で生成した暗号鍵を用いて仮想的な暗号回線を構築し、異なる組織の3拠点間で安全にデータを伝送できることを確認しました。さらに、本検証試験では拠点間の伝送と同時にNICTからTokyo QKD Network(注11)上に形成した秘密分散システムへ接続し、秘密分散保管を行いました。
今回の検証試験では、次世代アクセラレータなど優れた計算エンジンを包含した量子セキュアクラウドシステムをユーザ環境でも動作させることができました。本検証試験は、今後、様々な製造分野で適用可能であると言え、日本の製造業の国際競争力の向上に貢献できることを示しました。
実施体制
NEC:量子セキュアクラウドシステムと連携するネットワークの構築・運用
NICT:秘密分散システムの提供
京都大学:ユーザ環境の提供、フォトニック結晶レーザーの設計パラメータおよび性能評価プログラムの提供
慶應義塾大学:ユーザ環境の提供、次世代アクセラレータによる構造最適化の実施、最適化した設計パラメータの提供
今後の展望
NECは、本検証試験やSIPの成果を踏まえて、量子暗号技術の社会実装に向けた開発を加速するとともに、量子技術を融合した先進的なネットワークの研究に取り組んでいきます。
NICTは、超長期に秘匿する必要があるデータを安心して預けることができる量子セキュアクラウド技術を確立し、価値の源泉と成り得るデータを安心して利用可能な技術の研究開発を続けていきます。
京都大学は、スマート製造分野およびスマートモビリティ分野へのフォトニック結晶レーザーの適用を目指して、量子技術を活用しながらフォトニック結晶レーザーのさらなる性能向上および社会実装に取り組んでいきます。
慶應義塾大学は、本検証試験やSIPの成果を踏まえて、今後の次世代アクセラレータの社会実装に向けた研究開発を進めていきます。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202210/20221004_01.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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