慶應義塾大学SFC研究所と富士通、インターネット上のデータの確からしさを汎用的かつ容易に確認可能な「Trustable Internet」のコンセプトに関するホワイトペーパーを公開
[22/10/13]
TOKYO, Oct 13, 2022 - (JCN Newswire) - 慶應義塾大学SFC研究所(注1)と富士通株式会社(注2)(以下、富士通)は、共同研究拠点「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」(注3)における研究の成果として、既存のインターネット層とアプリ/Web層の間に、新しい階層「Endorsement Layer」を追加し、インターネット上のデータの確からしさ(正しさの程度)を汎用的に確認可能とする「Trustable Internet」(信頼できるインターネット)のコンセプトを策定し、そのホワイトペーパーを10月13日に公開しました。
「Trustable Internet」では、従来、データの確からしさの確認が困難だったインターネット上のデータに対して、データの生成や処理などに関与したヒト・モノの情報や、データを見た第三者による確認や評価に関する情報、そのデータに関連したフィジカル空間の情報(センサーデータなど)を付与し、その付加情報に基づいてデータの正しさを利用者が判断可能となります。これにより、多角的な視点からデータの確からしさを判断できるようになり、データの確からしさが不明なまま利用することや、偽情報を信じたまま再拡散することなどを未然に防止できます。
今後、慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」での技術開発を通して、2028年度までに「Endorsement Layer」、および利用者の端末からデータの確からしさを確認するアプリやブラウザ機能などを実装することで、「Trustable Internet」の実現を目指します。
「Trustable Internet」のコンセプトについては、Web技術に関する標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)の年次総会である、W3C TPAC 2022会合(2022年9月12日〜16日)において発表し、専門家の様々な意見を踏まえたうえで策定しました。
背景
現在、インターネットは社会・経済活動において不可欠である一方、意図的に誤った内容を含む偽情報や、確からしさが検証できないデータも多く存在しており、フェイクニュースによる経済損失は年間780億ドル(約10兆円)に達する(注4)とも言われています。従来、データの確からしさを確保する手法として、文書の承認管理システムや配送荷物の追跡システムなど個別システムごとに証跡を記録する機能が存在しますが、膨大なデータが存在するインターネット上でその確からしさを確認できる汎用的な方法は存在せず、該当データが本当に正しいかどうかの判別は非常に困難となっています。
慶應義塾大学SFC研究所は、1990年代よりWeb技術に関する標準化を進めてきたW3Cの日本拠点であり、様々な活動を通じてグローバルにインターネットの標準化を牽引してきています。富士通は、インターネット黎明期よりITビジネスを開始しており、長年開発・提供してきたセキュリティ関連技術や、近年開発した、異なるアイデンティティー基盤を相互接続して自己主権型で連携利用が可能な技術など、多くの技術や知見を有しています。
慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、データの確からしさの課題を解決するため互いの知見やノウハウを結集し、インターネット上で信頼に基づいたデータのやり取りを実現する技術の研究を目的とし、2022年4月に設立した共同研究拠点「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」での研究成果として、「Trustable Internet」のコンセプトをまとめたホワイトペーパーを公開しました。
「Trustable Internet」について
「Trustable Internet」によるアプローチでは、インターネット上のデータの確からしさを容易に判断できるよう、発信者または第三者が元のデータの確からしさとして裏付け可能な情報を付加し、利用者との間で共有する「Endorsement Layer」をインターネットの階層上に追加することでデータの確からしさを確認可能とする新しいアプローチです。この構成は、既存のインターネットに影響を与えず実現可能なため、インターネット利用者は従来通りにWebとアプリケーションを利用し、必要に応じてデータの確からしさの根拠となる情報が取得可能です。
確からしさの判断の根拠となる付加情報は、データ生成時に人と機器が付与するもの(生成者(人・法人)の名前、所属、資格、または生成した機器、場所、日時など)のほか、データ生成後に付与されるもの(専門家のような第三者によるデータへの確認・評価など)、さらにはセンサーの計測値といったフィジカル空間から得られるものがあります。これらの付加情報を「Endorsement Layer」にグラフデータとして蓄積し、利用者がインターネット上のデータを閲覧する際に「Endorsement Layer」から付加情報を検索・確認したり、また確からしさを判断するために必要な情報をリクエストしたりすることで、利用者がデータの確からしさを判断可能になります。
これにより、多角的な視点からデータの確からしさを判断できるため、データに基づく意思決定をより正確にすることと、確からしさが不明なデータの拡散を防ぐことが可能になります。
「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」の体制
代表 中村 修 (慶應義塾大学環境情報学部 教授)
副代表 村井 純 (慶應義塾大学 教授)
副代表 鈴木 茂哉 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授)
慶應義塾大学SFC研究所と富士通の研究員 約20名
今後について
今後、慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、2028年度までの「Trustable Internet」の実現に向けて、「Endorsement Layer」をインターネット上に搭載するためのWebプロトコルなどの技術開発、ならびに、データの確からしさを裏付け可能な情報を付与するためのインセンティブ設計を含むエコシステムの構築などの取り組みを推進し、さらにはW3Cなどの国際標準化機関でのプロトコルの提案および承認を進め、信頼できる新しいインターネットの実現を目指します。
また、富士通は、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスのもと、慶應義塾大学SFC研究所との「Trustable Internet」の開発を通じて、誰もが安心安全にインターネットを利用できる環境の実現を目指します。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/10/13.html
概要: 富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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「Trustable Internet」では、従来、データの確からしさの確認が困難だったインターネット上のデータに対して、データの生成や処理などに関与したヒト・モノの情報や、データを見た第三者による確認や評価に関する情報、そのデータに関連したフィジカル空間の情報(センサーデータなど)を付与し、その付加情報に基づいてデータの正しさを利用者が判断可能となります。これにより、多角的な視点からデータの確からしさを判断できるようになり、データの確からしさが不明なまま利用することや、偽情報を信じたまま再拡散することなどを未然に防止できます。
今後、慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」での技術開発を通して、2028年度までに「Endorsement Layer」、および利用者の端末からデータの確からしさを確認するアプリやブラウザ機能などを実装することで、「Trustable Internet」の実現を目指します。
「Trustable Internet」のコンセプトについては、Web技術に関する標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)の年次総会である、W3C TPAC 2022会合(2022年9月12日〜16日)において発表し、専門家の様々な意見を踏まえたうえで策定しました。
背景
現在、インターネットは社会・経済活動において不可欠である一方、意図的に誤った内容を含む偽情報や、確からしさが検証できないデータも多く存在しており、フェイクニュースによる経済損失は年間780億ドル(約10兆円)に達する(注4)とも言われています。従来、データの確からしさを確保する手法として、文書の承認管理システムや配送荷物の追跡システムなど個別システムごとに証跡を記録する機能が存在しますが、膨大なデータが存在するインターネット上でその確からしさを確認できる汎用的な方法は存在せず、該当データが本当に正しいかどうかの判別は非常に困難となっています。
慶應義塾大学SFC研究所は、1990年代よりWeb技術に関する標準化を進めてきたW3Cの日本拠点であり、様々な活動を通じてグローバルにインターネットの標準化を牽引してきています。富士通は、インターネット黎明期よりITビジネスを開始しており、長年開発・提供してきたセキュリティ関連技術や、近年開発した、異なるアイデンティティー基盤を相互接続して自己主権型で連携利用が可能な技術など、多くの技術や知見を有しています。
慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、データの確からしさの課題を解決するため互いの知見やノウハウを結集し、インターネット上で信頼に基づいたデータのやり取りを実現する技術の研究を目的とし、2022年4月に設立した共同研究拠点「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」での研究成果として、「Trustable Internet」のコンセプトをまとめたホワイトペーパーを公開しました。
「Trustable Internet」について
「Trustable Internet」によるアプローチでは、インターネット上のデータの確からしさを容易に判断できるよう、発信者または第三者が元のデータの確からしさとして裏付け可能な情報を付加し、利用者との間で共有する「Endorsement Layer」をインターネットの階層上に追加することでデータの確からしさを確認可能とする新しいアプローチです。この構成は、既存のインターネットに影響を与えず実現可能なため、インターネット利用者は従来通りにWebとアプリケーションを利用し、必要に応じてデータの確からしさの根拠となる情報が取得可能です。
確からしさの判断の根拠となる付加情報は、データ生成時に人と機器が付与するもの(生成者(人・法人)の名前、所属、資格、または生成した機器、場所、日時など)のほか、データ生成後に付与されるもの(専門家のような第三者によるデータへの確認・評価など)、さらにはセンサーの計測値といったフィジカル空間から得られるものがあります。これらの付加情報を「Endorsement Layer」にグラフデータとして蓄積し、利用者がインターネット上のデータを閲覧する際に「Endorsement Layer」から付加情報を検索・確認したり、また確からしさを判断するために必要な情報をリクエストしたりすることで、利用者がデータの確からしさを判断可能になります。
これにより、多角的な視点からデータの確からしさを判断できるため、データに基づく意思決定をより正確にすることと、確からしさが不明なデータの拡散を防ぐことが可能になります。
「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」の体制
代表 中村 修 (慶應義塾大学環境情報学部 教授)
副代表 村井 純 (慶應義塾大学 教授)
副代表 鈴木 茂哉 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授)
慶應義塾大学SFC研究所と富士通の研究員 約20名
今後について
今後、慶應義塾大学SFC研究所と富士通は、2028年度までの「Trustable Internet」の実現に向けて、「Endorsement Layer」をインターネット上に搭載するためのWebプロトコルなどの技術開発、ならびに、データの確からしさを裏付け可能な情報を付与するためのインセンティブ設計を含むエコシステムの構築などの取り組みを推進し、さらにはW3Cなどの国際標準化機関でのプロトコルの提案および承認を進め、信頼できる新しいインターネットの実現を目指します。
また、富士通は、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスのもと、慶應義塾大学SFC研究所との「Trustable Internet」の開発を通じて、誰もが安心安全にインターネットを利用できる環境の実現を目指します。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/10/13.html
概要: 富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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