富士通、世界初 ネットワークのモダナイゼーションを「デジタルアニーラ」で最適化
[23/03/08]
TOKYO, Mar 8, 2023 - (JCN Newswire) - 当社は、トロント大学(注1)との共同研究において、当社の量子インスパイアード技術(注2)「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(注3)(以下、「デジタルアニーラ」)を用いて、老朽化した広域ネットワーク設備を最新の光ネットワーク技術を用いた設備へと移行するネットワークのモダナイゼーションを最適化する検証を2021年4月から2023年2月に実施し、有効性を確認しました。ネットワークのモダナイゼーションに量子インスパイアード技術を適用する取り組みは世界初となります。
本検証では、実在する複数の広域ネットワークの構造に基づき、膨大な回線が複雑に絡み合うネットワークから「デジタルアニーラ」に適した組合せ最適化問題を導出する技術を開発し、移行プランを探索した結果、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合に比べ、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%、また、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認しました。
当社は、ネットワークのモダナイゼーションで先行する北米市場向けに本技術の提供準備を進めるとともに、さらなる研究開発を進めることで、あらゆる業界の新しい価値や競争力を「デジタルアニーラ」で生み出し、スマートでサステナブルな産業社会の構築に貢献します。
本技術の詳細は、2023年3月5日(日曜日)から米国サンディエゴで開催される国際会議「The Optical Fiber Communication Conference and Exposition (OFC) 2023」にて発表します。
背景
昨今、老朽化したネットワーク設備の故障リスクの増加を背景に、最新の光ネットワーク技術を用いた設備へ移行するネットワークのモダナイゼーションが米国を中心に活発化しています。サービスを停止せずに各地に点在する旧設備を撤去するためには、旧設備を利用する全ての回線を新設備へ切り替える必要があり、回線切り替え順序によっては数か月から数年に及ぶ移行期間の後半まで多くの旧設備を維持し続けることとなり、占有スペースや、電気、空調、メンテナンス費用などの多大な運用コストが発生します(図1)。また、回線を切り替えるには、回線が設置されている施設へ技術者を派遣する必要があり、切り替え順序によっては遠方施設へ何度も訪問が必要になるなど、旅費や人件費などの多大な移動コストが発生します。このため、移行作業期間の初期段階でより多くの旧設備を撤去でき、かつ技術者の移動コストを最小化できる回線切り替え順序を見出すことが極めて重要です。
「デジタルアニーラ」による最適化
従来からこのようなネットワーク設備の更新は行われてきましたが、その多くは、企業などの施設や敷地に設置された小規模なネットワークを対象としていたため、移行計画の策定は手作業で行われてきました。しかし、現在、移行が急務となっている国や地域に広がる広域ネットワークでは、膨大な回線と設備が複雑に絡みあうため、回線切り替え順序の組合せは小規模な場合でも10の150乗以上になり、これらの組合せから最適なものを実用的な時間内に手作業で導き出すのは不可能です。
今回、トロント大学Shahrokh Valaee教授のチームとの共同研究において、数十の設備と数百の回線が複雑に絡み合う複数の大規模ネットワークから組合せ最適化問題を導出し、「デジタルアニーラ」を用いてコストを最小化する回線切り替えの順序を探索しました。「デジタルアニーラ」には、探索の対象となる変数を0か1で行列に配置した際、それぞれの行と列に1を取る変数が1つであるというルール(2way-1hot制約)を持つ最適化問題に対して、探索しなければいけない変数の組合せの数を大幅に削減し、高速に解を探索できる特長があります。そこで今回、データ表現形式を工夫することにより2way-1hot制約を持つ最適化問題を導出しました。これにより、「デジタルアニーラ」の特長を活かした探索が可能となり、大幅な高速化を実現しました。
本検証では、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合に比べ、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%削減し、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認しました。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/03/8.html
概要: 富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
Copyright 2023 JCN Newswire. All rights reserved. www.jcnnewswire.com
本検証では、実在する複数の広域ネットワークの構造に基づき、膨大な回線が複雑に絡み合うネットワークから「デジタルアニーラ」に適した組合せ最適化問題を導出する技術を開発し、移行プランを探索した結果、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合に比べ、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%、また、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認しました。
当社は、ネットワークのモダナイゼーションで先行する北米市場向けに本技術の提供準備を進めるとともに、さらなる研究開発を進めることで、あらゆる業界の新しい価値や競争力を「デジタルアニーラ」で生み出し、スマートでサステナブルな産業社会の構築に貢献します。
本技術の詳細は、2023年3月5日(日曜日)から米国サンディエゴで開催される国際会議「The Optical Fiber Communication Conference and Exposition (OFC) 2023」にて発表します。
背景
昨今、老朽化したネットワーク設備の故障リスクの増加を背景に、最新の光ネットワーク技術を用いた設備へ移行するネットワークのモダナイゼーションが米国を中心に活発化しています。サービスを停止せずに各地に点在する旧設備を撤去するためには、旧設備を利用する全ての回線を新設備へ切り替える必要があり、回線切り替え順序によっては数か月から数年に及ぶ移行期間の後半まで多くの旧設備を維持し続けることとなり、占有スペースや、電気、空調、メンテナンス費用などの多大な運用コストが発生します(図1)。また、回線を切り替えるには、回線が設置されている施設へ技術者を派遣する必要があり、切り替え順序によっては遠方施設へ何度も訪問が必要になるなど、旅費や人件費などの多大な移動コストが発生します。このため、移行作業期間の初期段階でより多くの旧設備を撤去でき、かつ技術者の移動コストを最小化できる回線切り替え順序を見出すことが極めて重要です。
「デジタルアニーラ」による最適化
従来からこのようなネットワーク設備の更新は行われてきましたが、その多くは、企業などの施設や敷地に設置された小規模なネットワークを対象としていたため、移行計画の策定は手作業で行われてきました。しかし、現在、移行が急務となっている国や地域に広がる広域ネットワークでは、膨大な回線と設備が複雑に絡みあうため、回線切り替え順序の組合せは小規模な場合でも10の150乗以上になり、これらの組合せから最適なものを実用的な時間内に手作業で導き出すのは不可能です。
今回、トロント大学Shahrokh Valaee教授のチームとの共同研究において、数十の設備と数百の回線が複雑に絡み合う複数の大規模ネットワークから組合せ最適化問題を導出し、「デジタルアニーラ」を用いてコストを最小化する回線切り替えの順序を探索しました。「デジタルアニーラ」には、探索の対象となる変数を0か1で行列に配置した際、それぞれの行と列に1を取る変数が1つであるというルール(2way-1hot制約)を持つ最適化問題に対して、探索しなければいけない変数の組合せの数を大幅に削減し、高速に解を探索できる特長があります。そこで今回、データ表現形式を工夫することにより2way-1hot制約を持つ最適化問題を導出しました。これにより、「デジタルアニーラ」の特長を活かした探索が可能となり、大幅な高速化を実現しました。
本検証では、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合に比べ、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%削減し、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認しました。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/03/8.html
概要: 富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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