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【プレスリリース】HIV/エイズ:助成金削減で、危機に瀕する患者の命

2010年12月10日 

国境なき医師団(MSF)日本

HIV/エイズ:助成金削減
危機に瀕する患者の命

2010年12月13日に開かれる「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」理事会において、HIV感染者の多い複数の低所得国が助成金を得られない可能性が浮上している。
特に、マラウイやジンバブエ、モザンビーク、スワジランド、レソトなどHIV罹患率の高い低所得国が助成金を得られない場合、多くのHIV陽性患者が早期に死亡する可能性がある。

2010年10月には、各国政府や国際機関が表明した世界基金への拠出額が、より多くの患者をHIV/エイズ治療プログラムに受け入れるには不足していると判明したばかりである。
現在、各国政府や、米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)などの支援金拠出機関は、世界基金に対し、HIV/エイズへの資金提供を複数の国へ滞りなく存続できるよう、責務を引き継いでほしいと要請している。

MSFのオペレーション・ディレクター、ジェローム・オベレイトは語る。
「現在の支援金拠出状況は危機的です。もし資金拠出者がHIV対策を世界基金に依存するのであれば、必要な資金を拠出すべきです。しかし、支援金拠出への前向きな政治公約が成されない場合、世界基金はエイズ予防と治療の双方に対して、資金を順番に振り分けていく「配給」形式をとるしかありません。そうなると、より多くの患者が治療を受けられるようにという世界の指導者によるかつての約束は、意味をなさなくなるのです」

助成金が削減された場合、途上国の治療現場が受ける打撃は計り知れない。マラウイは、WHOの勧告に即した毒性の低い薬を用いた早期治療を取り入れており、安定した長期にわたるエイズ治療の実績がある。助成金を得て意欲的な計画を策定し、実行に移してきた国々は、成果を継続させるために今後も支援を受ける必要がある。

オベレイトは続ける。「世界基金は来週の理事会で次の増資会議が可能な限り早く開催できるように計画を立てる必要があります。そうすれば、仮に次週の会議で申請を却下された国が発生したとしても、内容を改定してすぐに再度申請書を提出することができます」

世界では、約1000万人のHIV陽性患者が、抗レトロウイルス薬(ARV)治療を受けられないまま死の危険に晒されており、その傾向はサハラ以南アフリカ諸国において特に強い。
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