MSF、「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機」を発表
[11/01/31]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2011年1月31日
国境なき医師団(MSF)日本
MSF、「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機」を発表
国境なき医師団(MSF)は、医薬品を必要とする全ての人への普及を目指す「必須医薬品キャンペーン」の一環として、2010年の必須医薬品の普及における大きな進展と、薬の供給を脅かす新たな危機を明らかにする10のリスト「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機」を発表した。
MSFは、世界の人びとが苦しむ多くの病気の治療に必要な医薬品が依然として高い価格であり、有効性が低いといった現状を受けて「必須医薬品キャンペーン」を展開し、薬の価格の引き下げや新薬の研究開発を促すとともに、各病気の診断法の進化や薬の供給に影響を及ぼす政策を注視している。
2010年には、途上国の人びとの命を救う上で重大な進歩となる新しい治療法や診断法が登場した。髄膜炎A型の新しい効果的なワクチンの導入が2010年12月にアフリカで開始され、最も致死率の高い髄膜炎A型の発生が予防可能になることが期待される。また、結核の新しい検査法の誕生によってより正確かつ迅速な検査が可能になり、薬剤耐性結核の診断に要する時間がこれまでの3ヵ月から2時間以内に短縮された。
さらに2010年にはマラリア研究の結果、アルテスネートを注射などで体内に直接注入する治療法が重症マラリアに苦しむ子どもの治療に効果があることが立証された。また医薬品特許プールが正式に設立され、途上国の人びとが入手可能な安価な薬の製造開発の促進が期待される。幼児の栄養失調に対する取り組みでは、MSFは2007年から幼児が必要な栄養を含む食糧援助の実施を求めるキャンペーンを実施し、2010年には国際的な食糧援助機関が食糧援助政策の見直しを始めている。
一方で、2010年には必須医薬品の供給を脅かす新たな危機も発生した。欧州連合(EU)がインドと協議を進める自由貿易協定(FTA)によって、途上国に向けた安価な薬の主要な供給国であるインドからのジェネリック薬の供給が大幅に制限される恐れが起きている。同時に、偽造医薬品の対策として誤った貿易上の措置が取られたため、品質が保証されたジェネリック薬と偽造薬の混同が生じ、途上国の数百万人が頼るジェネリック薬の供給も脅かされる結果となった。
また、国際社会から顧みられない病気への取り組みは依然として遅れ、2010年には本来予防や治療が可能な病気の大流行や治療継続の危機が発生した。HIV/エイズ対策に向けた国際的な資金拠出機関からの支援金は2010年に大幅に後退し、過去10年間で拡大したエイズ治療の進展が危ぶまれる状況となった。2010年にはアフリカ各地ではしかが流行し、基礎的な予防接種が不十分であることが明るみになった。スーダン南部ではカラアザールが過去8年間最大規模で流行が発生し、顧みられない病気に対する取り組みが依然として遅れている現状を改めて浮き彫りにした。
国境なき医師団(MSF)日本
MSF、「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機」を発表
国境なき医師団(MSF)は、医薬品を必要とする全ての人への普及を目指す「必須医薬品キャンペーン」の一環として、2010年の必須医薬品の普及における大きな進展と、薬の供給を脅かす新たな危機を明らかにする10のリスト「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機」を発表した。
MSFは、世界の人びとが苦しむ多くの病気の治療に必要な医薬品が依然として高い価格であり、有効性が低いといった現状を受けて「必須医薬品キャンペーン」を展開し、薬の価格の引き下げや新薬の研究開発を促すとともに、各病気の診断法の進化や薬の供給に影響を及ぼす政策を注視している。
2010年には、途上国の人びとの命を救う上で重大な進歩となる新しい治療法や診断法が登場した。髄膜炎A型の新しい効果的なワクチンの導入が2010年12月にアフリカで開始され、最も致死率の高い髄膜炎A型の発生が予防可能になることが期待される。また、結核の新しい検査法の誕生によってより正確かつ迅速な検査が可能になり、薬剤耐性結核の診断に要する時間がこれまでの3ヵ月から2時間以内に短縮された。
さらに2010年にはマラリア研究の結果、アルテスネートを注射などで体内に直接注入する治療法が重症マラリアに苦しむ子どもの治療に効果があることが立証された。また医薬品特許プールが正式に設立され、途上国の人びとが入手可能な安価な薬の製造開発の促進が期待される。幼児の栄養失調に対する取り組みでは、MSFは2007年から幼児が必要な栄養を含む食糧援助の実施を求めるキャンペーンを実施し、2010年には国際的な食糧援助機関が食糧援助政策の見直しを始めている。
一方で、2010年には必須医薬品の供給を脅かす新たな危機も発生した。欧州連合(EU)がインドと協議を進める自由貿易協定(FTA)によって、途上国に向けた安価な薬の主要な供給国であるインドからのジェネリック薬の供給が大幅に制限される恐れが起きている。同時に、偽造医薬品の対策として誤った貿易上の措置が取られたため、品質が保証されたジェネリック薬と偽造薬の混同が生じ、途上国の数百万人が頼るジェネリック薬の供給も脅かされる結果となった。
また、国際社会から顧みられない病気への取り組みは依然として遅れ、2010年には本来予防や治療が可能な病気の大流行や治療継続の危機が発生した。HIV/エイズ対策に向けた国際的な資金拠出機関からの支援金は2010年に大幅に後退し、過去10年間で拡大したエイズ治療の進展が危ぶまれる状況となった。2010年にはアフリカ各地ではしかが流行し、基礎的な予防接種が不十分であることが明るみになった。スーダン南部ではカラアザールが過去8年間最大規模で流行が発生し、顧みられない病気に対する取り組みが依然として遅れている現状を改めて浮き彫りにした。