新定着技術「ベルトロール型高速定着技術」が日本印刷学会「技術賞」と「研究発表奨励賞」を受賞
[11/03/02]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2011年3月2日
富士ゼロックス株式会社
新定着技術「ベルトロール型高速定着技術」が
日本印刷学会「技術賞」と「研究発表奨励賞」を受賞
―高速性・高画質・用紙汎用性拡大を実現―
富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社(本社:東京都港区赤坂9-7-3、代表取締役社長:山本忠人、資本金:200億円)のカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム「Color 1000 Press/Color 800 Press」に搭載している「ベルトロール型高速定着技術」が、このたび、社団法人日本印刷学会(東京都中央区、佐藤利文会長)が選定する「平成23年度 日本印刷学会 技術賞」ならびに「日本印刷学会 研究発表奨励賞」を受賞しました。
同賞は、印刷産業の発展あるいは印刷技術の他産業への応用に顕著な貢献をした技術内容や優秀な研究発表成果に対し、日本印刷学会が毎年表彰するものです。今回の受賞では、ベルトロール型高速定着技術は印刷技術の向上に寄与するところが顕著であると評価されました。
■受賞した「ベルトロール型高速定着技術」について
近年、印刷市場では、多品種小ロット印刷、短納期の需要が増加し、電子写真技術(ゼログラフィー技術)を用いたデジタルプリンティングの活用が広がっており、より高速・高画質かつさまざまな種類や坪量の用紙への印刷対応が求められています。しかし、用紙汎用性の拡大と高生産性の両立には、定着装置の性能が制約の一つになっていました。
トナーを加熱溶融、加圧して紙に定着させる際に、特に坪量の大きい用紙では、用紙の熱容量が大きいためにトナーへの供給熱量が不足し溶融が不十分となり、トナーが用紙から剥げ落ちる定着不良が発生しやすくなります。これを防止するには、定着装置を通過する用紙速度を下げて十分な熱供給を行なうか、定着温度を上げるかの2通りの方法がありますが、出力スピードの低下もしくは、用紙が過熱され水蒸気の気泡による画質欠陥〈ブリスター注1〉が発生しやすいという課題がありました。
当社が新しく開発した「ベルトロール型高速定着技術」は、これら2つの課題である高生産性と画質欠陥の回避の両立を目指し、定着ベルトによる温度変動の少ない熱供給、定着ニップ構成、加圧分布の最適化を図ることで、さまざまな種類や坪量の用紙に対して、高速かつ高画質での印刷を可能にしました。
注1ブリスター:画質欠陥のひとつ。用紙の中の空気やガス成分が、定着の際の急激な温度上昇により膨張し、用紙表面のトナーが盛り上がり、ひどいものは破裂する現象。
■商品への搭載
当社はこの「ベルトロール型高速定着技術」を2010年1月に発売したカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム「Color 1000 Press/Color 800 Press」に搭載し、薄紙55g/平方メートル〜厚紙350g平方メートルまで全ての用紙坪量で、毎分100ページ(Color 1000 Press)/80ページ(Color 800 Press)の高速・高画質フルカラー出力を実現する基本技術となっています。
■技術の詳細
ベルトロール型高速定着技術は、2本の加熱ロールを定着ベルトの内側と外側の両側に配置しています。定着ベルトと加熱ロール間で十分なコンタクト面積を確保することにより、高速での出力においても、定着ベルトはムラなく十分に加熱され、トナー溶融に対して安定した熱供給が可能となります。(図1)
また、用紙と定着ベルトが密着するニップ幅を拡大しています。これは、従来のロールニップ幅に加えて、ベルト裏面にパッドを配置することで実現しています。ニップ幅の拡大により、定着ベルトのトナーが用紙に接する時間が増え、定着ベルトの熱を効率的にトナーの溶融に費やすことが可能になっています。(図2)
さらに、加圧ロールの表面温度をコントロールするために冷却ファンを配置しました。トナーとトナーが定着される側の用紙の表面は定着ベルトによりトナー融点以上に加熱されますが、用紙裏面側に冷却された加圧ロールが接することで用紙全体の温度上昇が抑制され、ブリスターの発生を防止しています。(図3)
図1. 2本の加熱ロールが安定した熱供給を実現
図2.ニップ形成パッドによりニップ幅を拡大
図3.冷却ファンによる冷却効果でブリスターの発生を抑制
富士ゼロックス株式会社
新定着技術「ベルトロール型高速定着技術」が
日本印刷学会「技術賞」と「研究発表奨励賞」を受賞
―高速性・高画質・用紙汎用性拡大を実現―
富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社(本社:東京都港区赤坂9-7-3、代表取締役社長:山本忠人、資本金:200億円)のカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム「Color 1000 Press/Color 800 Press」に搭載している「ベルトロール型高速定着技術」が、このたび、社団法人日本印刷学会(東京都中央区、佐藤利文会長)が選定する「平成23年度 日本印刷学会 技術賞」ならびに「日本印刷学会 研究発表奨励賞」を受賞しました。
同賞は、印刷産業の発展あるいは印刷技術の他産業への応用に顕著な貢献をした技術内容や優秀な研究発表成果に対し、日本印刷学会が毎年表彰するものです。今回の受賞では、ベルトロール型高速定着技術は印刷技術の向上に寄与するところが顕著であると評価されました。
■受賞した「ベルトロール型高速定着技術」について
近年、印刷市場では、多品種小ロット印刷、短納期の需要が増加し、電子写真技術(ゼログラフィー技術)を用いたデジタルプリンティングの活用が広がっており、より高速・高画質かつさまざまな種類や坪量の用紙への印刷対応が求められています。しかし、用紙汎用性の拡大と高生産性の両立には、定着装置の性能が制約の一つになっていました。
トナーを加熱溶融、加圧して紙に定着させる際に、特に坪量の大きい用紙では、用紙の熱容量が大きいためにトナーへの供給熱量が不足し溶融が不十分となり、トナーが用紙から剥げ落ちる定着不良が発生しやすくなります。これを防止するには、定着装置を通過する用紙速度を下げて十分な熱供給を行なうか、定着温度を上げるかの2通りの方法がありますが、出力スピードの低下もしくは、用紙が過熱され水蒸気の気泡による画質欠陥〈ブリスター注1〉が発生しやすいという課題がありました。
当社が新しく開発した「ベルトロール型高速定着技術」は、これら2つの課題である高生産性と画質欠陥の回避の両立を目指し、定着ベルトによる温度変動の少ない熱供給、定着ニップ構成、加圧分布の最適化を図ることで、さまざまな種類や坪量の用紙に対して、高速かつ高画質での印刷を可能にしました。
注1ブリスター:画質欠陥のひとつ。用紙の中の空気やガス成分が、定着の際の急激な温度上昇により膨張し、用紙表面のトナーが盛り上がり、ひどいものは破裂する現象。
■商品への搭載
当社はこの「ベルトロール型高速定着技術」を2010年1月に発売したカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム「Color 1000 Press/Color 800 Press」に搭載し、薄紙55g/平方メートル〜厚紙350g平方メートルまで全ての用紙坪量で、毎分100ページ(Color 1000 Press)/80ページ(Color 800 Press)の高速・高画質フルカラー出力を実現する基本技術となっています。
■技術の詳細
ベルトロール型高速定着技術は、2本の加熱ロールを定着ベルトの内側と外側の両側に配置しています。定着ベルトと加熱ロール間で十分なコンタクト面積を確保することにより、高速での出力においても、定着ベルトはムラなく十分に加熱され、トナー溶融に対して安定した熱供給が可能となります。(図1)
また、用紙と定着ベルトが密着するニップ幅を拡大しています。これは、従来のロールニップ幅に加えて、ベルト裏面にパッドを配置することで実現しています。ニップ幅の拡大により、定着ベルトのトナーが用紙に接する時間が増え、定着ベルトの熱を効率的にトナーの溶融に費やすことが可能になっています。(図2)
さらに、加圧ロールの表面温度をコントロールするために冷却ファンを配置しました。トナーとトナーが定着される側の用紙の表面は定着ベルトによりトナー融点以上に加熱されますが、用紙裏面側に冷却された加圧ロールが接することで用紙全体の温度上昇が抑制され、ブリスターの発生を防止しています。(図3)
図1. 2本の加熱ロールが安定した熱供給を実現
図2.ニップ形成パッドによりニップ幅を拡大
図3.冷却ファンによる冷却効果でブリスターの発生を抑制