【プレスリリース】リビア:MSF、EUに紛争被害者の受け入れを公開書簡で要請
[11/05/19]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2011年5月19日
国境なき医師団(MSF)
リビア:EUは紛争の被害者の受け入れを。国境なき医師団、EUへの公開書簡で要請
2011年5月19日、国境なき医師団(MSF)はリビア紛争に介入している欧州連合(EU)の首脳陣と、ヨーロッパ諸国で発行されている11の新聞に向けた公開書簡を発表した。この書簡でMSFは、各国が紛争被害者を庇護(ひご)する責任を果たし、国境を閉ざすことなくリビアから逃れてきた人びとを受け入れるよう強く訴えている。
MSFは現在起きている人道上の問題点を、次のように指摘する。
「リビア政変をめぐる紛争問題に介入しているヨーロッパの国々は、暴力の犠牲者を法的および人道的に庇護する責任を果たしていません。それどころか、首脳陣はこれらの人びとがヨーロッパへ逃げてこられないよう、不法入国者の取り締まり強化対策を打ち出しています。このような政治的矛盾は恥ずべきものです」
公開書簡では、リビア近隣国とヨーロッパ諸国における紛争被害者の受け入れ対策の差について言及している。ヨーロッパの国々では、生命をとし危険な船旅などを経て逃れてくる人びとの受け入れを拒んでいる。その一方で、チュニジアとエジプトでは、これらの国々から追い返された人びとなど、63万人を超える紛争の被害者らを受け入れている。
またMSFは、紛争被害者を庇護するノン・ルフールマンの原則*についても触れている。紛争被害者は、ヨーロッパの海域およびその領土から、生命を危険にさらす環境へ再び送還されることなく、同地にて庇護を申請する権利を有している。
MSFのオペレーション・ディレクター、ロリ・ド・フィリピは語る。
「MSFはイタリア南部のランペドゥーサ島で、リビアから逃れてきた人びとに援助を提供しています。目の前で知人が殺されたり、自身が暴行されたりと、耐え難い経験を経ている人もいます。長時間の過酷な旅路の末、低体温症に陥った状態でたどり着く人びともいますが、ヨーロッパでも劣悪な受け入れ環境の中で、先の見えない暮らしを余儀なくされるのです」
*ノン・ルフールマンの原則:迫害を受ける恐れのある国家へ難民ならびに保護を求める者を追放、または送還してはならないと規定する国際慣習法。
******************************************************************************
◆リビアから欧州へ避難する人びとに関する、欧州連合(EU)への公開書簡
2011年5月19日
欧州連合(EU)の一部加盟国は、リビアで市民の保護を名目にカダフィ大佐派に対する軍事介入を行い、紛争に加担している。現在も続く紛争によって、リビアではこれまでに75万人以上が国外への避難を余儀なくされている。
このような状況が続く中、チュニジアとエジプトはリビアから逃れてきた63万人を超える人びとをこれまでに受け入れている。しかしながら、EU加盟各国は不法入国の取り締まりを口実として、リビアから逃れてきた人びとを欧州で受け入れる責任を回避している。
一方で、リビアで軍事介入を行うEU加盟国は、従来、介入の責任を負い、市民への影響を最小限に抑えるためのあらゆる措置を取るとしている。これは、EU加盟国が調印している国際条約で規定される法的義務であり、道義的責任である。
EU及びその加盟国は、リビアから欧州に逃れてくるすべての市民が保護される権利を尊重すべきである。また、ノン・ルフールマンの原則*をEU圏内で保証し、欧州でリビアから逃れてきた人びとの適切な受け入れ措置を行い、要求があった場合には保護施設での受け入れがなされるよう保証しなければならない。
しかしながら、リビアから欧州に逃れてくる人びとが本来保証されるべきこれらの権利は、現在なおざりにされている。紛争の影響を受けた数千人の人びとが、EU加盟国の矛盾した政策の犠牲となっている。リビアから船で欧州への入国を試みた数百人の男性や女性、子どもたちは、道中で船が沈んだために命を落としている。過去数週間で、さらに数千人以上がリビアから船でイタリアの沿岸に到着している。イタリア最南端のランペドゥーサ島で活動するMSFのチームは、到着した人びとの受け入れ状況が全く不十分であることを確認している。
EU加盟各国の中でも、とりわけリビアで軍事介入を行う国々は、リビア市民の保護に関する責任を実行に移すことが求められる。リビアから避難する人びとが適用されるノン・ルフールマンの原則、ならびに欧州での保護施設を求めるすべての人びとに向けた適切な受け入れ態勢が保証されるべきである。EU及びその加盟国は、リビアでの紛争の被害を受けた市民に対して責任を負い、人びとの権利の尊重を保証しなければならない。
この責任はEU諸国が果たすものである。
国境なき医師団(MSF)
インターナショナル会長
ウンニ・カルナカラ医師
*ノン・ルフールマンの原則:迫害を受ける恐れのある国家へ難民ならびに保護を求める者を追放、または送還してはならないと規定する国際慣習法。
MSFはこの公開書簡を欧州連合(EU)加盟各国の政府代表ならびにEU各機関の代表、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際移住機関(IOM)に送付した。また、EU加盟国の新聞各紙にも寄稿している。
国境なき医師団(MSF)
リビア:EUは紛争の被害者の受け入れを。国境なき医師団、EUへの公開書簡で要請
2011年5月19日、国境なき医師団(MSF)はリビア紛争に介入している欧州連合(EU)の首脳陣と、ヨーロッパ諸国で発行されている11の新聞に向けた公開書簡を発表した。この書簡でMSFは、各国が紛争被害者を庇護(ひご)する責任を果たし、国境を閉ざすことなくリビアから逃れてきた人びとを受け入れるよう強く訴えている。
MSFは現在起きている人道上の問題点を、次のように指摘する。
「リビア政変をめぐる紛争問題に介入しているヨーロッパの国々は、暴力の犠牲者を法的および人道的に庇護する責任を果たしていません。それどころか、首脳陣はこれらの人びとがヨーロッパへ逃げてこられないよう、不法入国者の取り締まり強化対策を打ち出しています。このような政治的矛盾は恥ずべきものです」
公開書簡では、リビア近隣国とヨーロッパ諸国における紛争被害者の受け入れ対策の差について言及している。ヨーロッパの国々では、生命をとし危険な船旅などを経て逃れてくる人びとの受け入れを拒んでいる。その一方で、チュニジアとエジプトでは、これらの国々から追い返された人びとなど、63万人を超える紛争の被害者らを受け入れている。
またMSFは、紛争被害者を庇護するノン・ルフールマンの原則*についても触れている。紛争被害者は、ヨーロッパの海域およびその領土から、生命を危険にさらす環境へ再び送還されることなく、同地にて庇護を申請する権利を有している。
MSFのオペレーション・ディレクター、ロリ・ド・フィリピは語る。
「MSFはイタリア南部のランペドゥーサ島で、リビアから逃れてきた人びとに援助を提供しています。目の前で知人が殺されたり、自身が暴行されたりと、耐え難い経験を経ている人もいます。長時間の過酷な旅路の末、低体温症に陥った状態でたどり着く人びともいますが、ヨーロッパでも劣悪な受け入れ環境の中で、先の見えない暮らしを余儀なくされるのです」
*ノン・ルフールマンの原則:迫害を受ける恐れのある国家へ難民ならびに保護を求める者を追放、または送還してはならないと規定する国際慣習法。
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◆リビアから欧州へ避難する人びとに関する、欧州連合(EU)への公開書簡
2011年5月19日
欧州連合(EU)の一部加盟国は、リビアで市民の保護を名目にカダフィ大佐派に対する軍事介入を行い、紛争に加担している。現在も続く紛争によって、リビアではこれまでに75万人以上が国外への避難を余儀なくされている。
このような状況が続く中、チュニジアとエジプトはリビアから逃れてきた63万人を超える人びとをこれまでに受け入れている。しかしながら、EU加盟各国は不法入国の取り締まりを口実として、リビアから逃れてきた人びとを欧州で受け入れる責任を回避している。
一方で、リビアで軍事介入を行うEU加盟国は、従来、介入の責任を負い、市民への影響を最小限に抑えるためのあらゆる措置を取るとしている。これは、EU加盟国が調印している国際条約で規定される法的義務であり、道義的責任である。
EU及びその加盟国は、リビアから欧州に逃れてくるすべての市民が保護される権利を尊重すべきである。また、ノン・ルフールマンの原則*をEU圏内で保証し、欧州でリビアから逃れてきた人びとの適切な受け入れ措置を行い、要求があった場合には保護施設での受け入れがなされるよう保証しなければならない。
しかしながら、リビアから欧州に逃れてくる人びとが本来保証されるべきこれらの権利は、現在なおざりにされている。紛争の影響を受けた数千人の人びとが、EU加盟国の矛盾した政策の犠牲となっている。リビアから船で欧州への入国を試みた数百人の男性や女性、子どもたちは、道中で船が沈んだために命を落としている。過去数週間で、さらに数千人以上がリビアから船でイタリアの沿岸に到着している。イタリア最南端のランペドゥーサ島で活動するMSFのチームは、到着した人びとの受け入れ状況が全く不十分であることを確認している。
EU加盟各国の中でも、とりわけリビアで軍事介入を行う国々は、リビア市民の保護に関する責任を実行に移すことが求められる。リビアから避難する人びとが適用されるノン・ルフールマンの原則、ならびに欧州での保護施設を求めるすべての人びとに向けた適切な受け入れ態勢が保証されるべきである。EU及びその加盟国は、リビアでの紛争の被害を受けた市民に対して責任を負い、人びとの権利の尊重を保証しなければならない。
この責任はEU諸国が果たすものである。
国境なき医師団(MSF)
インターナショナル会長
ウンニ・カルナカラ医師
*ノン・ルフールマンの原則:迫害を受ける恐れのある国家へ難民ならびに保護を求める者を追放、または送還してはならないと規定する国際慣習法。
MSFはこの公開書簡を欧州連合(EU)加盟各国の政府代表ならびにEU各機関の代表、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際移住機関(IOM)に送付した。また、EU加盟国の新聞各紙にも寄稿している。