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リビア:欧州理事会による強制送還を非難

2011年6月27日

国境なき医師団(MSF)日本

リビア:欧州理事会による強制送還を非難

国境なき医師団(MSF)は、イタリアとリビアの暫定国民評議会(反体制派)の間で
6月17日に締結された二国間協定(覚書)に対する非難を表明した。
この協定は不法移民の取り締まりを強化し、特に不法移民送還に関する二国間援助および協力体制の構築を目的としている。

MSFは、紛争の続くなかで、対リビア軍事作戦の参加国がこのような措置をとることに衝撃を受けている。
国際的な保護を受けるためにリビアでの暴力を逃れ、船でヨーロッパに到着している人びとに対し、本国へ強制送還したり、リビア領海に追い返したりすることはノン・ルフールマンの原則*に反している。

MSFは、リビア政変をめぐる紛争問題に介入しているヨーロッパの国々が、この協定が顕著に示すような、政治的矛盾を抱えていることを指摘する。
市民を守るという大義名分のもとに軍事介入を行っている国が、一方ではその紛争の被害者に背を向けるということはあってはならない。

MSFベルギー支部の事務局長である、クリストファー・ストークスは語る。
「リビアから逃れた人びとを、再び紛争のなかに送り返す協定は、死刑宣告のようなものです」

2009年、MSFはリビアとイタリアが、移民の強制送還を規定する「友好協定」を交わした際にも懸念を表明していた。

MSFはリビア紛争が始まる前から、このような協定がイタリアへ逃れてくる人びとにとって脅威となることを認識しており、今回の措置による影響を憂慮している。

MSFは、シチリア島ミネオの中心部と、チュニジアのチョウチャ・キャンプに避難した人びとを治療している。患者らは、強制送還後にリビアの拘置所に拘禁された場合、心的外傷を患うほどの、残酷で人格を傷つける非人間的な扱いを受けると証言している。

紛争が始まる前にリビアに送還され、現在はチョウチャ・キャンプに避難しているソマリア人男性は語る。
「ランペドゥーサ島付近でイタリア人に拿捕(だほ)された後、船にロープが結びつけられ、リビアまでえい航されました。リビアの拘置所では拷問を受け、保釈金要求のために家族へ電話するよう強要されました。リビアで紛争が始まったときに脱走しました」

MSFは欧州理事会に対して、リビアから逃れてくる人びとがこのような危険にさらされている状況を踏まえ、至急に対策を講じるよう要請する。
欧州各国は、いかなるときにも、自国の領土と領海にたどりついた移民、難民、庇護を求める人びとに対してノン・ルフールマンの原則を順守しなければならない。
また、国籍にかかわりなく基本的人権を尊重し、迅速かつ公平に庇護されるよう、手続きを含め、適正な待遇を保証しなければならない。

*ノン・ルフールマンの原則:迫害を受ける恐れのある国家へ難民ならびに保護を求める者を追放、または送還してはならないと規定する国際慣習法。
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