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危機管理型クラウドを震災1年前に提唱『なぜクラウドコンピューティングが内部統制を楽にするのか』にて

2011年7月15日

日本マネジメント総合研究所

東日本大震災の1年前に、震災が起きた際にクラウドがあればこうなる!を提唱
危機管理型クラウドによる事業継続を仮想ストーリーで述べた書籍が再注目!
『なぜクラウドコンピューティングが内部統制を楽にするのか』(技術評論社)
災害とクラウドについての該当箇所を抜粋にて公開

報道機関各位
2011年7月15日 日本マネジメント総合研究所 理事長 戸村智憲

今般の東日本大震災で被災された方々のご安全と1日も早い復旧復興と共に、
ご無念の内に天上に旅立たれた尊い御霊へのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

本震災では、住基ネットが使えなくなるなどのIT-BCM(IT事業継続マネジメント)
の課題に直面しました。これまで危機に強く人にやさしい危機管理型クラウドを提唱
し、自治体クラウドの普及啓発や研究提言なども行って参りました。

昨年出版の拙著にて、既に、震災があった場合のクラウド活用企業と従来のIT企業
の経営への影響について仮想ストーリーでまとめたものを、下記に抜粋にて公開
させて頂きます。

 危機の際には、身を呈さなければ対応できない「場所に縛られるIT環境」ではなく、
すぐに安全な所に避難し、避難先からクラウドによる「場所に縛られないIT環境」で
対応できるよう、震災復興の在り方をIT面から見つめ直す契機となれば幸いです。

『なぜクラウドコンピューティングが内部統制を楽にするのか』
著者: 戸村智憲 版元: 技術評論社 ISBN: 978-4774141930
発売日: 2010年3月10日 下記抜粋ページ: 同書pp.90〜94

■Cさん(50歳)既婚、事業部長、勤務歴28年とDさん(52歳)既婚、事業部長、勤務歴29年の場合

 ある夕方のこと、ドーンと地面から突き上げられるような強い衝撃とともに、大きな
揺れを伴った地震が、CさんとDさんの勤務先地域を襲いました。クラウドとシンク
ライアントを併用していた企業に勤めていたCさんは、通勤中に被害に遭い、自宅に
戻って家族とともに地震で半壊した自宅に待機することになりました。
 幸い、会社支給のシンクライアントPCと通信手段が確保できていたため、クラウド上
のコミュニケーション用アプリケーションで、社員の安否を確認することができました。
また、同じくクラウド上のミーティング機能アプリケーションで、明日の業務対応をど
うするかについて、重要な項目に絞って対策を社員間でおおよその検討ができました。
 一方、クラウドに不信感を保ち、自社内にオンプレミスでIT環境を整えていた会社に
勤めるDさんは、Cさんと同じように通勤途中で被害に遭い、携帯電話も込み合って
使えず、とりあえず、なすすべもなく自宅に戻って家族とともに近くの小学校の体育館
に避難することになりました。
 一夜明け、同じ地域にあったCさんの会社もDさんの会社も、昨日の地震により本社
社屋が倒壊していることがわかりました。IT環境をすべて自社内に置くオンプレミスの
対応をしていたDさんの会社では、IT環境を完備していた社屋が壊滅的な被害を受け、
通常業務への復旧までに相当な時間がかかりそうだとDさんは直感しました。
 すぐに復旧しようにも、どこへ依頼したらよいのかわからない上、すべての大切な
顧客データやメールシステムも社内で活用していたITソフト類も、すべてが一瞬にして
崩壊してしまいました。
 一方、Cさんの会社は、そもそも、クラウドを最大限に活用し、サーバー類もクラウド
上にあったため、社屋が倒壊して困ったのは、紙媒体の資料がなくなったことや、打ち合
わせをする会議室が損壊していたり、社内のシンクライアント型のデスクトップPCが壊れ
たりしたという程度でした。
 つまり、Cさんの会社は、重要なデータや業務システムをはじめ、メールシステムなど
も全て地震とは関係なくクラウド上にあったのです。Cさんは、社屋が全壊しようと焼失
しようとも、ノートPCさえあればメールもできるし、重要な顧客データや通常業務処理
のシステムも、通信手段さえ確保できればいつでも利用して復旧できる状態だったので
す。
 そんな折、国際ニュースで日本で地震が起きたことを知ったCさん・Dさんそれぞれ
の米国のお得意先企業から、それぞれに一通のメールが送信されていました。その内容
は、米国では9・11テロ後、当たり前のように整備されてきたBCM、つまり、危機の状況下
でも事業を止めずに継続することができるかどうかという確認でした。
 Dさんの会社は、社内安否の確認すらどうにか携帯電話をつかって行う始末で、なか
なかはかどらない上、ノートPCを持っていても、そもそも、会社内のサーバー類が全壊し
ていて業務が復旧できない状態でした。
 当然ながら、米国の最大のお得意先様から、事業継続確認と納期が間に合うかといった
メールが届いていることすら、事業部長であるDさんは知る由もありませんでした。Dさ
んの会社は、企業データを持ち出すことを徹底して禁じており、自社内でのみ最高水準の
堅牢なセキュリティシステムを完備していることを誇っていた会社でした。
 クラウド活用には、様々なセキュリティ上の不安要素を掲げ、Dさんの会社ではクラウ
ド化しないことが最高のIT環境を構築するリスク対応策であると確信していた次第です。
 皮肉にも、その最高の安全策こそが、事業継続上の最大のリスクを現実のものとして
しまった震災が、米国の最大のお得意先様を「BCMに弱い信頼性の低い企業」と目されて
逃してしまう結果となりました。一方、Cさんの勤める会社では、最大のお得意先様からのメールを無事に受信でき、しかも、社内調整をクラウド上のミーティング用アプリケー
ションで済ませ、いつまでに納品できるかの見通しと善後策の提案まで行えました。
 危機管理と事業継続性マネジメントの行き届いた企業として、Cさんの会社はお得意先
様の信頼をより厚くすることができました。同業のCさんの会社とDさんの会社に対し、
Dさんの米国のお得意先企業は、メールの返事もこなければ電話もつながらないDさんの
会社を見限り、すぐに事業復旧を行うことができたCさんの会社に、緊急の発注を出して
日本からの供給ストップの危機を乗り越えて行きました。
 Cさんの会社は、社屋の立て直し費用こそかかるものの、危機を契機に却って受注も
増え、事業継続と今後の事業見通しも明るく、クラウドとシンクライアントのもたらす恩
恵に浴しているかのような状態を経験することになりました。
 一方のDさんの会社の社員は、各自の自宅近くの避難場所で寒さに凍えながら、会社の
存続や自分たちの今後の身の振り方まで考えながら、ただふるえて不安に打ちひしがれて
いました。Dさんは、自社が、まるで、BCMやクラウド対応にタカをくくっていたかのよ
うにも思え、アリとキリギリスの童話すら、頭の隅に浮かんでくる次第でした。 (以上)

以上でございます。
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